司法書士の過去問
平成28年度
午前の部 問31

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問題

平成28年度 司法書士試験 午前の部 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

監査役会設置会社と監査等委員会設置会社との異同に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものは、幾つあるか。


ア  監査役会設置会社及び監査等委員会設置会社の取締役会は、いずれも、取締役の過半数が社外取締役である場合には、その決議によって、重要な業務執行の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる。

イ  監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない。監査等委員会も、監査等委員の中から常勤の監査等委員を選定しなければならない。

ウ  監査役会設置会社の監査役は、株主総会において、取締役の選任について監査役会の意見を述べることができる。監査等委員会設置会社の監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任について監査等委員会の意見を述べることができる。

エ  監査役会設置会社の監査役及び監査等委員会設置会社の監査等委員は、いずれも、取締役が定款に違反する行為をするおそれがある場合において、当該行為によって会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。

オ  監査役の任期及び監査等委員である取締役の任期は、いずれも、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。
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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 1 です。

正しい選択肢は1個なので、1が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 監査等委員会設置会社では、取締役の過半数が社外取締役である場合には、その決議によって、重要な業務執行の決定の全部又は一部を取締役に委任することができますが、監査役会設置会社の場合には、このようなことはできません(会社法399条の13第5項、362条4項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 監査役会は常勤の監査役を選定しなくてはなりませんが、監査等委員会設置会社にはそのような規定はありません(会社法390条3項、331条6項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 監査委員会等設置会社の監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の選任若しくは解任又は辞任について、監査等委員会の意見を述べることができますが、監査役設置会社の監査役にはこのような規定はありません(会社法342条の2第4項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

エ. 監査役は、取締役が監査役設置会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又は、これらの行為をするおそれがある場合、当該行為によって当該監査役設置会社に著しい損害が生じる恐れがある時は、当該取締役に対して、当該行為をやめることを請求することができます。同様の規定は、監査当委員会設置会社にも定められているので、本選択肢は正しいです(会社法385条1項、399条の6第1項参照)。

オ. 監査等委員である取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうちの最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(会社法332条1項)。一方、監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(会社法336条1項)。従って、本選択肢は誤りです。

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02

正解は1です。監査役会を監査等委員会にする意義は、監査を行う機関に社外取締役を導入し(400条3項)、監査委員会に会計監査人の選任についての議案提出権を持たせる(404条2項2号)ことなどによって、会社経営の透明化と健全化を図ることにあります。

ア…誤りです。監査役会設置会社については誤りであり、監査等委員会設置会社については正しいです。監査役会設置会社では、重要な業務執行の決定を取締役に委任できません(362条4項)。一方、監査等委員会設置会社では、取締役の過半数が社外取締役である場合、取締役会の決議によって、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができます(399条5項)。

イ…誤りです。監査役会設置会社については正しいですが、監査等委員については誤りです。監査役会における監査役については、常勤の監査役を定めなくてはなりません(390条2項)。しかし、監査等委員会における監査等委員は、常勤である委員の定めは必要ありません。

ウ…誤りです。監査役については誤りであり、監査等委員については正しいです。監査役会および監査役は、取締役の選任について意見を述べることはできません。一方、監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員以外の取締役の選任に対し、監査等委員会の意見を述べることができます(342条の2第4項)。

エ…正しいです。監査役は、取締役が定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合について、当該行為によって会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます(385条1項)。同様に、監査等委員は、取締役が定款に違反する行為をし、または違反するおそれがある場合において、当該行為が会社に著しい損害を生じるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます(399条の6第1項)。

オ…誤りです。監査役については正しいですが、監査等委員については誤りです。監査役の任期は、原則として、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(336条1項)。監査等委員である取締役の任期については、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(332条1項)。また、監査等委員会設置会社であっても、監査等委員でない取締役の任期は1年です(332条3項)。

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03

正しい肢は1つですので1が正解です

ア. 監査等委員会設置会社では、取締役の過半数が社外取締役である場合は、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができます。監査役会設置会社にそういう規定はありません。

イ. 監査役会においては、常勤の監査役を選定しなければなりませんが、監査等委員会設置会社において常勤の監査等委員を選任する旨の規定はありません。

ウ. 監査役会設置会社の監査役は、取締役の選任について意見を述べることはできません。

エ. 監査役及び各監査等委員は、取締役が目的の範囲外の行為その他法令・定款に違反する行為をし、又はするおそれがある場合に、当該行為によって株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは取締役に対して当該行為をやめるよう請求できます。

オ. 監査役については正しいですが、監査等委員については誤りです。

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