司法書士の過去問
平成29年度
午後の部 問36

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問題

平成29年度 司法書士試験 午後の部 問36 (訂正依頼・報告はこちら)

民事訴訟における訴訟能力に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア 未成年者は、その親権者の同意があるときは、自ら訴訟行為をすることができる。
イ 被告が未成年者である場合であっても、被告本人に対する当事者尋問をすることができる。
ウ 被告が成年被後見人である場合であっても、被告本人に対してされた訴状の送達は有効である。
エ 訴訟係属中に原告が成年被後見人になった場合には、その原告について訴訟代理人があるときを除き、訴訟手続が中断する。
オ 成年被後見人が自らした訴訟行為は、その成年後見人が追認した場合であっても有効とはならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。


ア…誤りです。未成年者および成年被後見人(=訴訟無能力者)は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができません(民事訴訟法31条)。独立して法律行為をすることができる場合はこの限りではありませんが(同項ただし書)、その場合でも、親権者の同意は必要とされていません。


イ…正しいです。訴訟において当事者を代表する法定代理人がいる場合、当事者本人に対する尋問は法定代理人に対して行われます(民事訴訟法211条)。ただし、この規定は、当事者本人を尋問することを妨げません(同項ただし書)。よって未成年者でも尋問の対象になります。


ウ…誤りです。訴訟無能力者に対する送達は、その法定代理人に対してします(民事訴訟法102条1項)。


エ…正しいです。当事者の一方が、成年被後見人になるなどして、訴訟能力を喪失した場合は、訴訟手続は中断します(民事訴訟法124条1項3号)。ただし、訴訟代理人がいる間は、この規定は適用されないので(同条2項)、訴訟の中断はされません。


オ…誤りです。成年被後見人は訴訟無能力者ですので、その訴訟行為は無効となります。しかし、訴訟能力を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者または法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼって効力を生じます(民事訴訟法34条2項)。

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02

正解は3です。

正しい選択肢は、イ、エなので、3が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

イ.  民事訴訟法第207条で定める当事者尋問に関する規定は、法定代理人に準用されますが、当事者本人への尋問を妨げるものではないと解釈されます。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 民事訴訟法第124条によると、当事者の訴訟能力の喪失により訴訟手続が中断するとされています。ただし、民事訴訟法第58条により当事者の訴訟能力の喪失の場合でも、訴訟代理権は消滅しないとされており、訴訟代理人があるときは訴訟手続きが中断することはありません。従って、本選択肢は正しいです。

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03


正解 3

ア 誤り
未成年者は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができません(民事訴訟法31条)。未成年者による訴訟行為は、あくまで法定代理人によることが必要であり、親権者の同意を得ていたとしても、未成年者が自ら訴訟行為をすることはできません。

イ 正しい
当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用されますが、当事者本人を尋問することもできます(民事訴訟法211条)。
よって、未成年者である当事者に対しても当事者尋問をすることができます。

ウ 誤り
成年被後見人は訴訟無能力者とされています(民事訴訟法31条参照)。
そのため、成年被後見人を被告とする訴状の送達は、その法定代理人に対してしなければならず(民事訴訟法102条)、被告本人に対してされた訴状の送達は無効となります。

エ 正しい 
当事者が訴訟能力を喪失した場合、訴訟代理人があるときを除き、訴訟手続が中断します(民事訴訟法124条1項3号、同2項)。
よって、訴訟係属中に原告が成年被後見人になった場合には、その原告について訴訟代理人があるときを除き、訴訟手続は中断します。

オ 誤り
訴訟能力を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者又は法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼってその効力を生ずることになります(民事訴訟法34条2項)。

よって、正しい肢はイとエとなり、3が正解となります。

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