司法書士の過去問
平成29年度
午後の部 問51

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問題

平成29年度 司法書士試験 午後の部 問51 (訂正依頼・報告はこちら)

裁判所に選任された財産の管理人等が行う登記の申請に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア Aのために選任された不在者の財産の管理人が、Aを所有権の登記名義人とする不動産を家庭裁判所の許可を得てBに売却し、AからBへの所有権の移転の登記を申請する場合においては、その許可があったことを証する情報は、その作成の日から3か月以内のものを提供しなければならない。
イ 被相続人Aに相続人のあることが明らかでない場合において、家庭裁判所に選任されたAの相続財産の管理人が、Aが生前に売却したAを所有権の登記名義人とする不動産の所有権の移転の登記を申請するときは、家庭裁判所の許可があったことを証する情報を提供することを要しない。
ウ 被相続人Aの相続人がB及びCである場合において、相続開始後にBが破産手続開始の決定を受け、その後Aの相続財産についてCから遺産分割調停が申し立てられ、Bの破産管財人Dが当事者となって遺産分割調停が成立し、その調停調書の正本を提供して相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請するときは、Dが遺産分割調停に参加することについての破産裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければならない。
エ 被相続人Aの相続人がB及びCである場合において、相続開始後にBが破産手続開始の決定を受け、その後Aの相続財産についてCとBの破産管財人Dが当事者となって遺産分割協議をし、その協議に基づく相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請するときは、Dが遺産分割協議に参加することについての破産裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければならない。
オ 被相続人Aの遺産分割の審判において、審判前の保全処分として選任された財産の管理人Bが、Aを所有権の登記名義人とする不動産を、家庭裁判所の許可を得てCに売却した場合には、Bは、その許可があったことを証する情報を提供して、AからCへの所有権の移転の登記を申請することができる。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 4 です。

正しい選択肢はイとエなので、4が正解となります。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

ア 第三者が許可、同意又は承諾したことを証する情報は、作成後3か月以内であることを要するという規定は存在しないため、本選択肢は誤りです。

イ 被相続人が生前に売り渡した不動産について相続財産管理人により所有権移転登記の申請をする場合には、家庭裁判所の許可は不要です。従って、本選択肢は正しいです。

ウ 破産管財人が遺産分割協議書に参加するには家庭裁判所の許可を得る必要があるが、調停又は審判が行われた場合には裁判所による参加資格の確認が行われているため、家庭裁判所の許可があったことを証する書面の添付は不要です。従って、本選択肢は誤りです。

エ 相続人の一人が相続開始後に破産手続き開始決定を受けた後、破産者である相続人は当事者として参加せず、その破産管財人が裁判所の許可を得て、遺産分割協議に当事者として参加して、その内容に基づいて所有権移転登記を行う場合、その登記申請書には、破産管財人が破産者の代わりに遺産分割協議に参加することについて裁判所の許可があったことを証する書面の添付が必要です。従って、本選択肢は正しいです。

オ 遺産管理人が遺産に属する不動産を家庭裁判所の許可を得て第三者に売却する際に、買主名義に所有権移転登記をするには、その前提として、相続による所有権移転登記をしなければなりません。従って、本選択肢は誤りです。

参考になった数11

02


正解 4

ア 誤り
不在者財産管理人が、家庭裁判所の許可を得て不在者の不動産を売却した場合において、不動産の所有権の移転登記を申請する場合、家庭裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければなりません。
もっとも、家庭裁判所の許可証明情報について、有効期間の定めはありません。

イ 正しい
被相続人が生前に処分した不動産について、相続財産管理人が所有権の移転登記を申請する場合は、家庭裁判所の許可を受ける必要はありません。
よって、この場合、家庭裁判所の許可があったことを証する情報を提供する必要はありません。

ウ 誤り
相続開始後に相続人の一人が破産手続開始の決定を受け、その後、相続財産について他の相続人から遺産分割調停が申し立てられた場合において、破産管財人が当事者となって遺産分割調停が成立した場合、当該調停に基づく所有権移転登記の申請は、戸籍謄本等の相続証明情報のほか、当該調停に係る調停調書の正本を提供することで足ります。
よって、破産管財人が遺産分割調停に参加することについての破産裁判所の許可があったことを証する情報を提供する必要はありません(平成22年8月24日民二第2078号)。

エ 正しい
相続人の破産管財人が、遺産分割協議に参加する場合は、破産裁判所の許可を受ける必要があります(平成22年8月24日民二第2078号)。
よって、本肢の場合、ウとは異なり、破産管財人が遺産分割協議に参加することについての破産裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければなりません。

オ 誤り
遺産分割の審判において、審判前の保全処分として選任された財産管理人が、被相続人を所有権の登記名義人とする不動産を、家庭裁判所の許可を得て第三者に売却した場合、買主への所有権の移転登記をする前提として、相続登記をする必要があります(平成4年2月29日民三897号)。

よって、正しい肢はイとエとなり、4が正解となります。

参考になった数6

03

正解は4です。


ア…誤りです。不在者財産管理人が、その権限を超えて不在者の財産の処分行為をする場合には、家庭裁判所の許可が必要です(民法103条)。不在者の財産に属する不動産の売却は、不在者財産管理人の権限を超えた処分行為であるため、売却に伴う所有権移転登記の申請には、家庭裁判所の許可を証する情報が必要ですが、発行日に関する定めはありません。


イ…正しいです。相続財産管理人は、被相続人が生前に売主として売買契約を締結し所有権移転登記が未了であった不動産につき、家庭裁判所の許可なくして、所有権移転の登記の申請ができます(昭32・8・26民甲1610号)。当該登記の申請は単なる手続の実行であり、期限の到来した債務の実行と同様に、新たな権利の移転が発生しないためと解されています。


ウ…誤りです。被相続人の一般承継人である相続人が、被相続人が申請人である所有権移転の登記の申請を被相続人に代わって行うときは、相続を証する情報の添付が必要です(不動産登記令7条1項5号)。相続人の一人が相続開始後に破産手続開始の決定を受け、その破産管財人が相続人の代わりに遺産分割調停または審判に参加したときは、当該調停または審判の結果、相続を原因とする所有権移転登記を行うために必要な「相続を証する情報」は、➀一般的な相続を証する情報(戸籍謄本等)、②当該調停または審判に係る調停調書または審判調書の正本、で足りるとされています(平22・8・24民二第2078号通知)。


エ…正しいです。相続人の一人が相続開始後に破産手続開始の決定を受け、その破産管財人が相続人の代わりに遺産分割協議に参加するときは、破産裁判所の許可が必要です(破産法78条2項)。当該遺産分割協議の結果、相続を原因とする所有権移転登記を行うために必要な「相続を証する情報」は、➀一般的な相続を証する情報(戸籍謄本、遺産分割協議書等)、②破産管財人が当該遺産分割協議に参加するにあたり裁判所の許可を得たことを証する情報、とされています(平22・8・24民二第2078号通知)。


オ…誤りです。遺産分割審判手続で遺産管理者が選任された場合、遺産管理者が家庭裁判所の許可を得て遺産に属する不動産を第三者に売却したときは、当該第三者への所有権移転登記の前提として、遺産管理者が相続人を代理して、相続による所有権移転登記をしなければなりません(平4・2・29民三897号回答)。

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