司法書士の過去問
平成29年度
午後の部 問52
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問題
平成29年度 司法書士試験 午後の部 問52 (訂正依頼・報告はこちら)
Aを所有権の登記名義人とする甲不動産について、書面を提出する方法により登記を申請する場合における添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付の請求に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 売買を登記原因とする賃借権の移転の登記を申請する場合において、当該賃借権の賃貸人Aの所在が知れないために裁判所によって選任された不在者の財産の管理人Bが、裁判所の許可を得て当該賃借権の譲渡について承諾し、そのことを証する書面及び当該書面に押印されたBの印鑑について裁判所書記官が作成した証明書を添付したときは、いずれの書面についても、原本の還付を請求することができない。
イ 贈与を登記原因とするAからBへの所有権の移転の登記を申請する場合において、その申請書に押印されたAの印鑑に関する証明書を添付したときは、当該証明書の原本の還付を請求することができない。
ウ Aが死亡し、Aの相続人全員が押印した遺産分割協議書を添付して相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合には、当該遺産分割協議書に押印された相続人の印鑑に関する証明書の原本の還付を請求することができない。
エ 外国に居住する日本人AからBへの売買を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、Aが当該申請を資格者代理人に委任する旨のみを記載した委任状に署名し、日本の公証人の認証を受けた上で当該委任状を添付したときは、当該委任状の原本の還付を請求することができない。
オ Aが、Bを抵当権者とする抵当権の設定の登記を申請する場合において、前所有者からAへの所有権の移転の登記が完了したときにAに対して通知された登記識別情報を記載した書面を添付したときは、当該書面の原本の還付を請求することができない。
ア 売買を登記原因とする賃借権の移転の登記を申請する場合において、当該賃借権の賃貸人Aの所在が知れないために裁判所によって選任された不在者の財産の管理人Bが、裁判所の許可を得て当該賃借権の譲渡について承諾し、そのことを証する書面及び当該書面に押印されたBの印鑑について裁判所書記官が作成した証明書を添付したときは、いずれの書面についても、原本の還付を請求することができない。
イ 贈与を登記原因とするAからBへの所有権の移転の登記を申請する場合において、その申請書に押印されたAの印鑑に関する証明書を添付したときは、当該証明書の原本の還付を請求することができない。
ウ Aが死亡し、Aの相続人全員が押印した遺産分割協議書を添付して相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合には、当該遺産分割協議書に押印された相続人の印鑑に関する証明書の原本の還付を請求することができない。
エ 外国に居住する日本人AからBへの売買を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、Aが当該申請を資格者代理人に委任する旨のみを記載した委任状に署名し、日本の公証人の認証を受けた上で当該委任状を添付したときは、当該委任状の原本の還付を請求することができない。
オ Aが、Bを抵当権者とする抵当権の設定の登記を申請する場合において、前所有者からAへの所有権の移転の登記が完了したときにAに対して通知された登記識別情報を記載した書面を添付したときは、当該書面の原本の還付を請求することができない。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
誤っているのはアとウなので、1が正解です。
各選択肢の解説は以下のとおりです。
ア 賃借権の譲渡について承諾をしたことを証する書面については、第三者の許可、同意又は承諾を証する情報に関する書面が原本還付できるとされていることに準じて、原本還付できるものとされています。従って、本選択肢は誤りです。
イ 所有権移転登記申請書に押印した登記義務者の印鑑に関する印鑑証明書は、原本還付ができないとされています。従って、本選択肢は正しいです。
ウ 相続を登記原因とする所有権移転登記の申請における遺産分割協議書に関する印鑑証明書は、原本還付できるとされています。従って、本選択肢は誤りです。
エ 当該申請のみに作成された委任状その他の書面は原本還付できないとされています。従って、本選択肢は正しいです。
オ 抵当権の設定登記申請書における登記義務者の登記識別情報を記載した書面は「当該申請のためのみに作成された委任状その他の書面」に該当するため原本還付できません。従って、本選択肢は正しいです。
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02
ア…誤りです。賃借権について、譲渡を許す旨の特約がなくても、賃貸人の承諾があれば賃借権移転の登記ができます(H6過去問)。申請に際して第三者の承諾書が必要な場合、その承諾書に押印された印鑑の印鑑証明書は原本還付請求できません(不動産登記令19条2項)。しかし、承諾書そのものは原本還付請求できない対象ではありません。
イ…正しいです。申請書に添付した申請人の印鑑証明書の原本還付請求はできません(不動産登記令16条2項)。書類偽造などの不正防止、および証拠保全のためです。
ウ…誤りです。相続を原因とする所有権移転登記の申請には、遺産分割協議書に押印された相続人全員の印鑑証明書を添付することが必要ですが(先例)、これに対しては制限がなく、原本還付請求ができます。
エ…正しいです。当該申請のためにのみ作成された委任状の原本還付請求はすることができません(不動産登記規則55条1項)。
オ…正しいです。再使用する必要を認めない書面についても、原本還付請求はできません(不動産登記規則55条1項の「その他の書面」)。報告書形式である登記識別情報もこれにあたりますので、本問の場合も原本還付請求ができません。
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03
書面申請をした申請人は、原則として、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができます。
ただし、一部の書面については、原本の還付を受けられないこととされています(不動産登記規則55条1項)。
ア 誤り
申請情報と併せて提供しなければならない承諾を証する情報を記載した書面に添付する印鑑証明書については、原本の還付を受けることはできません(不動産登記規則55条1項但書)。
もっとも、承諾を証する情報を記載した書面については、原本の還付を請求することができます。
イ 正しい
申請情報を記載した書面に添付した印鑑証明書は、原本の還付を請求することができません(不動産登記規則55条1項但書)。
ウ 誤り
申請情報を記載した書面に添付した遺産分割協議書に係る相続人の印鑑証明書は、原本の還付を請求することができます(不動産登記規則55条1項但書参照)。
エ 正しい
当該申請のためにのみ作成された委任状は、原本の還付を請求することはできません(不動産登記規則55条1項但書)。
オ 正しい
当該申請のためにのみ作成された委任状「その他の書面」については、原本の還付を請求することができません(不動産登記規則55条1項但書)。
登記識別情報を記載した書面は、ここでいう「その他の書面」にあたるため、原本の還付を請求することはできません。
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