司法書士の過去問
平成29年度
午後の部 問70

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問題

平成29年度 司法書士試験 午後の部 問70 (訂正依頼・報告はこちら)

一般財団法人に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア 設立の登記の申請書には、法人を代表しない設立時理事が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することを要しない。
イ 定款に非業務執行理事等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定めがある場合には、その定めの登記の申請をしなければならない。
ウ 監事を置く一般財団法人の設立の登記の申請書には、登記すべき事項として、監事を置く一般財団法人である旨を記載しなければならない。
エ 一般財団法人が定款で定めた解散の事由の発生により解散した場合には、清算が結了するまで、継続を決議した評議員会の議事録を添付して継続の登記の申請をすることができる。
オ 一般財団法人が解散した場合には、当該一般財団法人は、当該一般財団法人が合併後存続する一般財団法人となる合併による変更の登記の申請をすることができない。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 4 です。

誤っているのはウとエであり、4が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア 一般財団法人は常に理事会の設置が必要であるため、一般社団法人のような分け隔てはなく、法人を代表しない設立時理事の就任承諾書には印鑑証明書の添付を要しません。従って、本選択肢は正しいです。

イ 一般財団法人の非業務執行理事等は定款に、責任限定契約に関する規定を定めることができますが、当該定めが設けられた時は、その定めは登記事項になります。従って、本選択肢は正しいです。

ウ 一般財団法人は、必ず、①3人以上の評議員②評議員会③3人以上の理事④理事会⑤監事、の機関を置く必要があります。そのため、評議員会、理事会、監事を設置する旨は登記事項となっていません。従って、本選択肢は誤りです。

エ 一般財団法人は①純資産額が2期連続で300万円を下回ったことにより解散となった後、清算事務年度に係る貸借対照表上の純資産額が300万円以上となった場合、②みなし解散によって解散した場合には、評議員会の決議によって継続することができますが、定款で定めた解散の事由の発生によって解散した場合には、継続することはできず、継続の登記を申請することはできません。従って、本選択肢は誤りです。

オ 一般財団法人には合併の制限規定があり、解散した一般財団法人を合併後に存続する一般財団法人とする合併をすることはできません。従って、本選択肢は正しいです。


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02

正解は4です。一般社団法人と一般財団法人の違いは整理しておく必要があります。

ア…正しいです。一般財団法人の設立登記の添付書面には、「設立時評議員、設立時理事、設立時監事および設立時代表理事が就任を承諾したことを証する書面」が含まれますが、印鑑については「設立時代表理事の就任承諾書に押印した印鑑の印鑑証明書」のみが必要です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、以下一般法人法319条2項、3項、一般社団法人等登記規則3条、61条2項、3項、18条)。

イ…正しいです。一般財団法人の定款の記載事項の中に「外部役員等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め(一般法人法198条、115条1項)」があります。

ウ…誤りです。一般財団法人には、評議員、(評議員全員で構成される)評議員会、理事、理事会、および監事を置かなければなりません(一般法人法170条2項)。したがって監事は絶対に存在しますので、特別の記載はいりません。

エ…誤りです。定款で定めた解散事由の発生による解散で、法人を継続できるのは、清算一般社団法人であり、社員総会の特別決議によります(一般法人法150条、49条2項6号)。清算一般財団法人は、ある事業年度およびその翌事業年度に係る貸借対照表上純資産額が300万円に満たないことによる解散である場合、清算事務年度に係る貸借対照表上の純資産額が300万円以上となったときは、清算が結了するまでの間、評議員会の特別決議によって、一般財団法人を継続できます(一般法人法204条1号、189条2項5号)。

オ…正しいです。合併により当該一般財団法人が消滅する場合に限り、解散の理由になります(一般法人法202条)が、存続する場合は解散理由になりません。

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03

正解 4

ア 正しい
一般財団法人の設立の登記の申請書に添付が必要となるのは,設立時代表理事が就任を承諾したことを証する書面とその者に係る印鑑証明書です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律319条2項5号)。

イ 正しい
非業務執行理事等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定めの登記申請をしなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律302条2項10号)。

ウ 誤り
一般財団法人は、必ず監事を置く必要があります(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律170条1項)。
そのため、監事を置く一般財団法人である旨は登記事項となっていません(同法302条2項参照)。

エ 誤り
一般財団法人が継続する場合、2週間以内に、その主たる事務所の所在地において、継続の登記をする必要があります(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律309条)。
したがって、清算が結了するまで、継続の登記申請をすることができるとする本肢は誤りです。

オ 正しい
一般財団法人が解散した場合、当該一般財団法人が、当該一般財団法人が合併後存続する一般財団法人となる合併をすることはできません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律205条)。

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