司法書士の過去問
平成31年度
午前の部 問5

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問題

平成31年度 司法書士試験 午前の部 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

条件に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。

ア  ある事実が発生しないことを停止条件とする法律行為は、無効となる。
イ  不法な停止条件を付した法律行為は、無効となる。
ウ  解除条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合にはその法律行為は、無効となる。
エ  単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる。
オ  不能の解除条件を付した法律行為は、無条件となる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:1

ア:誤
停止条件付きの法律行為は、条件が成就することによってその効力が発生します。本肢についていえば、効力の発生の有無が「ある事実が発生しないこと」の成就、不成就いずれかに確定することにかかっていることになり、当該停止条件付法律行為も有効となり得ます。

イ:正
不法な条件を付した法律行為は、無効となります(不法条件:民132前段)。よって、不法な停止条件を付した法律行為は、無効となります。

ウ:誤
条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が解除条件であるときはその法律行為は「無条件」となります(既成条件:民131Ⅱ)。

エ:正
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効となります(随意条件:民134)。

オ:正
不能の解除条件を付した法律行為は、無条件となります(不能条件:民133Ⅱ)。

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02

正解は1です。停止条件とは、その条件の成就により、法律行為の効力が発生するような条件のことです。解除条件とは、ある条件の成就により、法律行為の効力が消滅するような条件のことです。

ア…誤りです。条件は、以下に示す既成条件、不法条件、不能条件、随意条件の例外を除き、どのような条件でも付けることができます。したがって、「ある事実が発生しないこと」が上記の条件に当てはまることが確実に判明していない限り、条件は有効です。

イ…正しいです。不法な条件を付した法律行為は、無効となります。不法行為をしないことを条件にした場合も同様です(132条、不法条件)。

ウ…誤りです。条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していたときは、その条件が解除条件であれば、当該法律行為は無条件となります(131条、既成条件)。無効となるのは、条件が停止条件であった場合です(同条)。

エ…正しいです。停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効となります(134条、随意条件)。なお、停止条件でも債権者側の意思のみに係るとき、及び、解除条件が当事者の一方の意思のみに係るときは、法律行為は有効です。

オ…正しいです。不能の解除条件を付した法律行為は、無条件となります(133条2項、不能条件)。不能とは、条件が実現不可能であることを指します。

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03

正解:1

ア:誤
条件とは、法律行為の効力の発生や消滅を将来の実現が不確実な事実に係らせる旨の特約をいいます。不法であったり、無意味であったりするなど民法の定める一定のものを除き広く認められます。
ある事実が発生しないことを停止条件とすることは何らの問題もありませんので、このような条件を付したとしても、無効とはなりません。
よって、誤った記述です。

イ:正
民法132条前段は「不法な条件を付した法律行為は、無効とする」と規定します。
よって、正しい記述です。

ウ:誤
解除条件について、「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合」には「その法律行為は無条件」とされます(民法131条2項前段)。条件が成就しないことが確定しているため、解除条件の成就により法律行為の効力が失われることがないためです。
なお、これに対して、停止条件が「条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合」には「その法律行為は無効」とされます(同項前段)。停止条件の成就により法律行為の効力が生じることがないためです。
よって、誤った記述です。

エ:正
民法134条は「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする」と規定しています。
単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となります。
よって、正しい記述です。

オ:正
民法132条2項は「不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする」と規定しています。不能の解除条件は条件成就をすることがなく、法律行為の効力が失われることがないためです。
したがって、不能の解除条件を付した法律行為は、無条件となります。
よって、正しい記述です。

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