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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問15

問題

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集合動産を目的とする集合物譲渡担保権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、どれか。

ア  構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は、譲渡担保の目的である集合動産の構成部分である動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶ。

イ  譲渡担保権設定契約において、その目的物を「譲渡担保権設定者の甲店舗内にある商品一切のうち譲渡担保権設定者が所有する物」と定めたときは、譲渡担保権設定者がいずれの商品について所有権を有するかが外形上明確になっていなくても、譲渡担保権の目的物は特定されている。

ウ  譲渡担保権設定契約において、その目的物を「甲倉庫内に保管された商品乙50トン中20トン」と定めたのみでは、譲渡担保権の目的物が特定されているとはいえない。

工  構成部分の変動する集合動産を目的として集合物譲渡担保権が設定され、譲渡担保権者が占有改定の方法によって対抗要件を具備したときは、譲渡担保権者は、その後に新たにその集合動産の構成部分となった動産についても、譲渡担保権を第三者に対して主張することができる。

オ  構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において通常の営業の範囲内でその構成部分である動産を売却する権限を付与されていた譲渡担保権設定者が、その範囲を超えた売却をした場合において、譲渡担保権者が対抗要件を具備していたときは、売却された動産が集合物から離脱したかどうかにかかわらず、その所有権は、譲渡担保権の負担付きで買主に移転する。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イオ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問15 )
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この過去問の解説 (3件)

8
正解:3

ア:正
「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶ」としています(最判平成22年12月2日民集64巻8号1990頁)。
よって、正しい記述です。

イ:誤
集合物の範囲の特定性は、設定者が拘束を受ける範囲を認識させること、第三者の認識可能性の確保、失効上の明確性の確保等から求められます。
判例は、「家財一切」というのでは何が対象となるか不明で、特定として不十分であるとしています(最判昭和57年10月14日判時1060号78頁)。
よって、誤った記述です。

ウ:正
判例は、集合物の範囲の特定が、食用乾燥ネギフレークという種類、保管場所、総トン数のうちの譲渡担保とする数量について定められたという事案において、特定されているとはいえないとしています(最判昭和54年2月15日民集33巻1号51頁)。
よって、正しい記述です。

エ:正しい
判例は、「債務者がその構成部分である動産の占有を取得したときは債権者が占有改定の方法によってその占有権を取得する旨の合意」があり、「債務者が右集合物の構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、債権者は、当該集合物を目的とする譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至ったものということができ、この対抗要件具備の効力は、その後構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となった動産を包含する集合物について及ぶ」としています(最判昭和62年11月10日民集41巻8号1559頁)。
よって、正しい記述です。

オ:誤
判例は、集合動産を目的とする譲渡担保は、構成部分の変動を前提とするものであるから、通常の営業の範囲内では、譲渡担保権の設定者が集合物を構成する動産を処分する権限を有するが、「対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該処分は上記権限に基づかないものである以上、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない」としています(最判平成18年7月20日民集60巻6号2499頁)。
すなわち、対抗要件を備えた集合物譲渡担保の目的物の設定者による処分は、通常の営業の範囲内でなされなければならず、これを超える処分がなされても相手方は、目的物の所有権を承継取得することはできないのです。
よって、誤った記述です。

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6
正解:3

ア:正
判例は、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である(最判平22.12.2)としています。

イ:誤
判例は、譲渡担保権設定契約において、その目的物を「譲渡担保権設定者の甲店舗内にある商品一切のうち譲渡担保権設定者が所有する物」と定めた場合、本件譲渡担保契約においては、一応目的物につきその所在場所及び量的範囲が指定されてはいるが、そのうち「商品一切のうち譲渡担保権設定者が所有する物」というような指定だけでは、どれが譲渡担保権設定者の物かを識別することが困難な場合が当然予想される。そして、これだけでは譲渡担保の目的物の種類についての特定があったとするのに十分であるとは考えられず、譲渡担保権設定者所有の物とそれ以外の物とを明確に識別する指標が示されるとか、また、現実に右の区別ができるような適宜な措置が講じられた形跡は全くない場合は、これらの物件について、当該譲渡担保権設定契約は契約成立の要件としての目的物の外部的、客観的な特定を欠くものと解するのが相当である(最判昭57.10.14)としています。

ウ:正
構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となり得ますが、本肢のように「甲倉庫内に保管された商品乙50トン中20トン」と指定されたにすぎない場合、集合動産譲渡担保は有効とされません(最判昭54.2.15)。

エ:正
判例は、債権者と債務者との間に、集合物を目的とする譲渡担保権設定契約が締結され、債務者がその構成部分である動産の占有を取得したときは債権者が占有改定の方法によってその占有権を取得する旨の合意に基づき、債務者が当該集合物の構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、債権者は、当該集合物を目的とする譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至ったものということができ、この対抗要件具備の効力は、その後構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となった動産を包含する集合物について及ぶものと解すべきである(最判昭62.11.10)としています。

オ:誤
判例は、対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者が、その目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該処分は譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできないというべきである(最判平18.7.20)としています。

4
正解は3です。構成部分の変動する集合動産は、その種類、所在場所および量的範囲を指定するなどの方法で目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができます(最判昭54・2・15、最判昭62・11・10)。

ア…正しいです。構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は、譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合に、その損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金の請求権に及びます(最判平22・12・2)。

イ…誤りです。上記の通り、本問の定め方では、目的物の種類、所在場所、量的範囲が一応指定されていますが、譲渡担保設定時の物の種類が明確ではありません。判例では、譲渡担保権設定者の店舗・居宅内に存すべき運搬具、什器、備品、家財一切のうち当該設定者所有のものを目的とする譲渡担保契約は、当該設定者所有の物とそれ以外の物を明確に識別できる指標が示されるべきであり、そのような措置が講じられていない場合、契約成立の要件としての外部的、客観的な特定を欠くものとされています(最判昭57・10・14)。

ウ…正しいです。上記の通り、本問の場合、目的物の所在場所と量的範囲は特定されていますが、目的物の種類について何も示されていませんので、無効な定めといえます(最判昭54・2・15)。

エ…正しいです。譲渡担保の目的となった集合動産について、一度占有改定により対抗要件が具備されると、以後新たに加わった動産についても、当然にこの対抗要件具備の効力が及びます(最判昭62・11・10)。

オ…誤りです。集合物譲渡担保において、通常の営業の範囲内で売却の権限を付与されていた譲渡担保権設定者が、その通常の営業範囲を超える売却をした場合には、権限に基づかない売却であるため、譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、処分の相手方は所有権を取得することはできません(最判平18・7・20)。なお、通常の営業の範囲内で売却されたものに関しては、譲渡担保の拘束を受けない所有権を取得することができます(同判例)。

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