司法書士の過去問
平成31年度
午前の部 問23
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問題
平成31年度 司法書士試験 午前の部 問23 (訂正依頼・報告はこちら)
夫婦であるA及びBは、子C,D及びEをもうけ、Cは、Fと婚姻し、Fとの間に子Gをもうけた。その後Cが死亡し、さらにその1年後、Aは死亡した。Aは、Aが死亡する半年前にFに対して生計の資本として1800万円を贈与した上、Eに対して600万円を遺贈した。また、Aは、死亡時に、遺贈した財産を除いて3000万円を有していた。この事例において、Aの相続に関する関係者の具体的相続分の額を記載した次のうち、正しいものは、どれか。
なお、遺産分割の対象となる財産並びに贈与及び遺贈の目的財産の価額は相続開始時の価額を示しており、その後に価額の変動はないものとする。
なお、遺産分割の対象となる財産並びに贈与及び遺贈の目的財産の価額は相続開始時の価額を示しており、その後に価額の変動はないものとする。
- Bは1800万円、Dは900万円、Eは300万円
- Bは1800万円、Dは600万円、Eは0円、Gは600万円
- Bは1800万円、Dは600万円、Eは0円、Fは300万円、Gは300万円
- Bは2700万円、Dは900万円、Eは300万円、Gは900万円
- Bは2700万円、Dは900万円、Eは300万円、Fは450万円、Gは450万円
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 2
本肢における相続人は、B(民法890条)とD及びE(同887条1項)、Aより先に死亡したCの子であるG(同条2項)となり、それぞれの相続分は、Bが2分の1、D及びE、そしてGが各6分の1となります(同900条1号、901条1項)。
Aが死亡する半年前にFに贈与された1800万円は、FがAの相続人ではないため、特別受益には当たらず、相続財産に加えられません(同903条1項参照)。
他方で、Eに対してなされた600万円の遺贈は、EがAの相続人であるため、特別受益として相続財産に加えられます。
よって、Aの相続財産は、3000(万円)+600(万円)=3600(万円)となります。
Aの相続財産である3600万円を各自の相続分に応じて算出すると、Bが1800万円、D及びE、そしてGが各600万円となります。
そして、Eについては、相続分から遺贈分である600万円が控除されるため、600(万円)ー600(万円)=0円となります。
よって、Aの相続に関する関係者の具体的相続分の額は、Bが1800万円、D及びE、そしてGが各600万円となります。
以上から、正解は2となります。
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02
①民法903条1項は、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」と定めています。
Eは、被相続人Aから遺贈を受けているため、特別受益者にあたりますので、この遺贈の額である600万円を相続財産に加えます。
Fは、Aの相続人ではないため、Fに対する1800万円の贈与は903条1項の対象とはならないことに注意してください。
以上から相続財産は3600万円となります。
②相続人は、配偶者Bと子D・E、子Cの代襲者であるG(900条1項)ですので、相続分は2分の1ずつとなります(900条1号)。
これによれば、配偶者Bが1800万円を、D・E・Gが合計1800万円、それぞれ600万円ずつを取得します。しかし、Eは遺贈を受けており、特別受益者にあたるので、この相続分から遺贈の額600万円を控除しますので(903条1項)、Eの相続分は0となります。
以上から、各相続分は、Bが1800万円、Dが600万円、Eが0円、Gが600万円となります。
1:誤
(Bは1800万円、Dは900万円、Eは300万円)
Gも代襲相続により相続分を有し、D・Eの相続分の計算を誤っています。
2:正
(Bは1800万円、Dは600万円、Eは0円、Gは600万円)
上の計算から正しいものです。
3:誤
(Bは1800万円、Dは600万円、Eは0円、Fは300万円、Gは300万円)
Fは相続人ではなく、F相続分の計算を誤っています。
4:誤
(Bは2700万円、Dは900万円、Eは300万円、Gは900万円)
Gも代襲相続により相続分を有し、B・D・Eの相続分の計算を誤っています。
5:誤
(Bは2700万円、Dは900万円、Eは300万円、Fは450万円、Gは450万円)
Fは相続人ではなく、B・D・E・Gの相続分の計算を誤っています。
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03
Aの相続人について、CはAより先に死亡しているので、Cの子Gが、Cを代襲してAの相続人になります。
よって、Aの相続人及び相続分はそれぞれ、B:2分の1、D:6分の1、E:6分の1、G:6分の1です。
Aが死亡したときに有していた相続財産について、FはAの相続人ではないので、Fに贈与した財産は特別受益に当たらず、持戻しは不要であり、相続開始時のAの財産に加算されません。
一方、Eへの遺贈分は特別受益として相続開始時のAの財産に加算されます。
よって、Aの相続財産の総額は、特別受益者Eへの遺贈分600万円を含む3600万円となります。
この金額と上記相続分を基に、各相続人の具体的相続分の額を算出するとB:1800万円、D:600万円、E:600万円、G:600万円となりますが、Eについては、遺贈分600万円が控除されますのでE:0円となります。
したがって、Aの相続に関する関係者の具体的相続分の額は、Bは1800万円、Dは600万円、Eは0円、Gは600万円となります。
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