司法書士の過去問
平成31年度
午前の部 問22
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問題
平成31年度 司法書士試験 午前の部 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
遺言に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。
ア 満15歳に達した未成年者は、他人の遺言の証人になることができる。
イ 自筆証書によって遺言をするに当たっては、押印の代わりに花押を用いることができる。
ウ 秘密証書による遺言がされた場合には、その遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
工 遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができる。
オ 疾病によって死亡の危急に迫った者は、証人に遺言の趣旨を口授する方式によって、遺言をすることができる。
ア 満15歳に達した未成年者は、他人の遺言の証人になることができる。
イ 自筆証書によって遺言をするに当たっては、押印の代わりに花押を用いることができる。
ウ 秘密証書による遺言がされた場合には、その遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
工 遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができる。
オ 疾病によって死亡の危急に迫った者は、証人に遺言の趣旨を口授する方式によって、遺言をすることができる。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
順番に解説します。
ア:誤
民法974条1号は「未成年者」を他人の遺言の承認となることができないと定めています。したがって、満15歳に達した未成年者は、他人の遺言の証人になることはできません。
なお、遺言に関して、満15歳の未成年者に認められているのは、自己の遺言をすることです(民法961条)。
イ:誤
968条1項「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自筆し、これに印を押さなければならない」と定めていますが、印について、判例は、花押を書くことは、押印の要件を満たさないとしています(最判平成28年6月3日70巻5号1263頁)。
ウ:正
民法1004条1項は、「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない」と定めており、秘密証書による遺言についてこれを免除する規定は存在しません。
エ:誤
民法1026条は「遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない」と定めています。
オ:正
民法976条1項は、疾病によって死亡の危急に迫った者は、証人に遺言の趣旨を口授する方式によって、遺言をすることができるとしています。
なお、関連して、次のことにも注意してください。具体的な方式は、
① 証人3人以上の立会いをもって、その1人に遺言の趣旨を口授して、
② その口授を受けた者が、これを筆記して、
③ 遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、
④ 各証人がその筆記の正確なことを承認した後に、
⑤ これに署名し、印を押さなければならないとされています(民法976条1項)。
そして、遺言の日から20日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じず(同条4項)、「家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない」(同条5項)とされています。
こちらが正解です。
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02
ア 誤り
未成年者は、遺言の証人となることができません(民法974条1号)。
イ 誤り
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません(民法968条1項)。
ここでいう押印の代わりに花押を用いることができるかという点について、判例は、「花押を書くことは、印章による押印と同視することはできず、民法968条1項の押印の要件を満たさないというべきである」としています(最判平成28年6月3日)。
ウ 正しい
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません(民法1004条1項)。
この規定が適用除外となるのは、公正証書による遺言の場合だけであり(同条2項)、秘密証書による遺言の場合は、原則どおり、家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。
エ 誤り
遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することはできません(民法1026条)。
オ 正しい
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができます(民法976条1項)。
以上から、正しい選択肢はウとオとなります。
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03
ア:誤
①未成年者 ②推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族 ③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人、これら①②③の者は、遺言の証人又は立会人となることができません(民974)。
イ:誤
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない(民968Ⅰ)と規定されているところ、判例は、花押を書くことは、印章による押印と同視することはできず、民法第968条第1項の押印の要件を満たさないというべきである(最判平28.6.3)としています。
ウ:正
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする(民1004Ⅰ)と規定されており、また、この規定は公正証書による遺言については、適用されません(民1004Ⅱ)。よって、秘密証書遺言については、検認の請求をしなければなりません。
エ:誤
遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができません(民1026)。
オ:正
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができます(民976Ⅰ前段)。
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