司法書士の過去問
平成31年度
午前の部 問21
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問題
平成31年度 司法書士試験 午前の部 問21 (訂正依頼・報告はこちら)
養子縁組に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
ア 普通養子縁組の届出が受理された後に、養子が養親よりも年長であったことが判明したときは、当該縁組の当事者の一方は、他方に対する取消しの意思表示をすることにより、当該縁組を取り消すことができる。
イ 普通養子縁組の当事者は、養子が15歳未満であって離縁後にその法定代理人となるべき者がないときは、離縁の訴えによらなければ、離縁をすることができない。
ウ 夫婦が共に未成年者を養子とする普通養子縁組をした後に、当該養子が未成年者である間に離縁をするには、その夫婦の一方がその意思を表示することができないときを除き、夫婦が共にしなければならない。
工 特別養子縁組において、養親となる夫婦の一方が25歳に達しているときは、他の一方が20歳に達していなくても、当該夫婦は養親となることができる。
オ 特別養子縁組の養親は、縁組を継続し難い重大な事由があっても、家庭裁判所に対して特別養子縁組の当事者を離縁させることを請求することはできない。
ア 普通養子縁組の届出が受理された後に、養子が養親よりも年長であったことが判明したときは、当該縁組の当事者の一方は、他方に対する取消しの意思表示をすることにより、当該縁組を取り消すことができる。
イ 普通養子縁組の当事者は、養子が15歳未満であって離縁後にその法定代理人となるべき者がないときは、離縁の訴えによらなければ、離縁をすることができない。
ウ 夫婦が共に未成年者を養子とする普通養子縁組をした後に、当該養子が未成年者である間に離縁をするには、その夫婦の一方がその意思を表示することができないときを除き、夫婦が共にしなければならない。
工 特別養子縁組において、養親となる夫婦の一方が25歳に達しているときは、他の一方が20歳に達していなくても、当該夫婦は養親となることができる。
オ 特別養子縁組の養親は、縁組を継続し難い重大な事由があっても、家庭裁判所に対して特別養子縁組の当事者を離縁させることを請求することはできない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア:誤
民法793条は「尊属又は年長者は、これを養子とすることができない」と定め、この規定に違反した縁組は、「各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます」(805条)。このように取消しは、家庭裁判所に請求する必要があり、当事者間で取消しの意思表示をするだけでは認められません。
よって、誤った記述です。
イ:誤
普通養子縁組の離縁は協議ですることができますが(民法811条1項)、養子が15歳未満であるときは、協議は、養親と、養子の離縁後に法定代理人となるべき者との協議で行うものとされています(同条2項)。この場合に、「法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する」とされています(同条5項)。つまり、この手続きを用いれば、養親と「養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者」との協議での離縁が可能ですので、離縁の訴えによる必要がありません。
よって、誤った記述です。
ウ:正
民法817条の2は、「養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない」と定めています。
よって、正しい記述です。
エ:誤
817条の4は、「25歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても、その者が20歳に達しているときは、この限りでない」と定めています。
よって、誤った記述です。
オ:正
特別養子縁組の離縁は、①養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること、②実父母が相当の監護をすることができることのいずれの要件もみたされる場合に、「養子、実父母又は検察官の請求により」認められます(817条の10第1項)。
したがって、「縁組を継続し難い重大な事由」は、特別養子縁組の離縁の要件をみたさず、また養親からの請求は認められません。
よって、正しい記述です。
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02
正解 5
ア 誤り
民法793条の規定(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます(民法805条)。
よって、本肢において、当該縁組の当事者の一方が普通養子縁組を取り消すためには、その取消しを家庭裁判所に請求しなければなりません。
イ 誤り
養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをします(民法811条2項)。
法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任します(同条5項)。
よって、本肢では、裁判所により選任された「養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者」との協議で離縁をすることができます。
ウ 正しい
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、一方がその意思を表示することができないときを除き、夫婦が共にしなければなりません(民法811条の2)。
エ 誤り
特別養子縁組においては、25歳に達しない者は、養親となることができませんが、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても、その者が20歳に達しているときは、養親となることができます(民法817条の4)。
本肢の場合、夫婦の一方が20歳に達していないため、当該夫婦は養親となることができません。
オ 正しい
家庭裁判所は、①養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること、そして、②実父母が相当の監護をすることができることのいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができます(民817条の10)。
このように、家庭裁判所に対して特別養子縁組の当事者を離縁させることを請求できるのは養子、実父母又は検察官に限られているため、養親が離縁を請求することはできません。
以上から、正しい選択肢はウとオとなり、正解は5となります。
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03
ア:誤
民法第794条の規定(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます(民805)。
よって、当事者の一方が、他方に対する取り消しの意思表示をしても、当該縁組を取り消すことはできません。
イ:誤
養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをします(民811Ⅱ)。そして、法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任し(民811Ⅴ)、その者との間で協議し離縁をすることができます。
ウ:正
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければなりません。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りではありません(民811の2)。
エ:誤
特別養子縁組においては、25歳に達しない者は、養親となることができません。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても、その者が20歳に達しているときは、この限りではありません(民817の4)。
本肢について、夫婦の一方が20歳に達していないので、当該夫婦は養親となることができません。
オ:正
特別養子縁組の離縁については、①養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。②実父母が相当の監護をすることができること。①②のいずれにも該当した場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときに限って、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができます(民817の10)。
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