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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問25

問題

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放火罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、どれか。

ア  放火罪にいう「焼損」といえるためには、目的物の重要な部分が焼失してその効用が失われる状態に達することを要せず、目的物が独立しで燃焼を継続し得る状態に達すれば足りる。

イ  現に人が住居に使用する建造物に放火する目的で、その居室内に敷かれていた布団に点火したものの、同布団及びその下の畳を焼損したにとどまるときは、現住建造物等放火未遂罪が成立する。

ウ  放火罪にいう「公共の危険」とは、不特定かつ多数の人の生命、身体又は財産に対する危険をいう。

工  現住建造物等放火罪にいう「現に人が住居に使用する」の「人」には、犯人も含まれる。

オ  1個の放火行為により、現住建造物を焼損する目的で、当該現住建造物とこれに隣接する非現住建造物とを焼損したときは、現住建造物等放火罪のみが成立する。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
ウエ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問25 )
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この過去問の解説 (3件)

6
正解:4

ア:正
判例は、「焼損」とは、火が媒介物を離れて、目的物が独立して燃焼を継続するに至った状態であれば足りるとしています(大判明治43年3月4日刑録16輯384頁)。
よって、正しい記述です。

イ:正
判例は、居室内に置かれていた布団や畳を焼損したにとどまるときは、現住建造物放火罪の既遂は認められず、未遂にとどまるとしています(最判昭和25年12月14日刑集4巻12号2548頁)。
よって、正しい記述です。

ウ:誤
刑法110条1項にいう「『公共の危険は』、必ずしも同法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険のみに限られるものではなく、不特定又は多数の人の生命、身体又は前期建造物等以外の財産に対する危険も含まれる」としています(最決平成15年4月14日刑集57巻4号445頁)。
これに対して、選択肢では「不特定かつ多数」と限定していますが、判例によれば、これに限られず、不特定かつ少数、特定かつ少数、特定かつ多数のそれぞれに対する危険の場合も「公共の危険」に含まれますので、これは判例に反する記述です。
よって、誤った記述です。

エ:誤
判例は、刑法108条の「現に人が住居に使用する」との規定の「人」とは犯人以外の者を意味するとしています(最判昭和32年6月21日刑集11巻6号1700頁)。
よって、誤った記述です。

オ:正
判例は、複数の建造物を焼損しても、生じた危険が1個であれば、行為者が認識していた客体に対する最も重い罪が成立するとしています(大判明治42年11月19日刑録15輯1645頁など)。放火罪の公共危険罪という性質によるものです。そして、現住建造物放火罪(刑法108条)と非現住建造物放火罪(109条1項)とでは、前者の方が重い犯罪です。
よって、正しい記述です。

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4

正解 4

ア 正しい
放火罪にいう「焼損」とは、火が媒介物を離れ、目的物が独立に燃焼を継続するに至った状態をいうと解されています(大判明治43年3月4日)。
よって、目的物の重要な部分が焼失してその効用が失われる状態に達することまでは必要ありません。

イ 正しい
放火罪の実行の着手は、媒介物に火を放った時点で認められるため、本肢のように、居室内に敷かれていた布団に点火した場合には、放火罪の実行の着手が認められます。
また、畳は建物を毀損せずに自由に取り外しができるため、建造物の一部を構成するものとはいえません(最判昭和25年12月14日)。
よって、布団及びその下の畳を焼損したにとどまるときは、現住建造物等放火未遂罪が成立します。

ウ 誤り
「放火罪にいう「公共の危険」は、必ずしも刑法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険のみに限られるものではなく、不特定又は多数の人の生命、身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれると解するのが相当である」(最決平15.4.14)とされています。

エ 誤り
現住建造物等放火罪にいう「現に人が住居に使用する」の「人」とは、犯人以外の者を指します(最判昭和32年6月21日)。

オ 正しい
判例は、1個の放火行為により、処罰規定を異にする数個の目的物を焼損した場合は、この目的物を包括的に観察し最も重い処罰規定で処罰すべきである(大判明治42年11月19日)としています。
よって、1個の放火行為により、現住建造物を焼損する目的で、当該現住建造物とこれに隣接する非現住建造物とを焼損したときは、処罰がより重い現住建造物等放火罪のみが成立します。

以上から、誤っている選択肢はウとエとなり、正解は4となります。

4
正解:4

ア:正
放火罪にいう「焼損」といえるためには、犯人が点じた火がその媒介物たる燃料を離れ、燃焼の目的物たる建造物等に移り、独立してその燃焼力を継続する事実があれば足り(大判明43.3.4)、目的物の重要な部分が焼失してその効用が失われる状態に達することまでは要求されていません。

イ:正
放火罪の実行の着手は、媒介物に点火した時点も含まれるので、本肢のように、居室内に敷かれていた布団に点火したときに着手が認められます。また、畳は建物を毀損せずとも自由に取り外しができるので、建造物の一部を構成するものといえず(最判昭25.12.14)、布団及びその下の畳だけが焼損した本肢については、現住建造物等放火罪の既遂にはならず、現住建造物等放火未遂罪が成立します。

ウ:誤
放火罪にいう「公共の危険」とは、不特定“又は”多数の人の生命、身体又は財産に対する危険をいいます(最決平15.4.14)。

エ:誤
現住建造物等放火罪(刑108)にいう「現に人が住居に使用する」の「人」とは、犯人以外の者を指します(最判昭32.6.21)。

オ:正
判例は、単一の放火行為により処罰規定を異にする数個の目的物を焼損した場合は、この目的物を包括的に観察し最も重い処罰規定で処罰すべきである(大判明42.11.19)としています。
よって、本肢については、現住建造物等放火罪のみが成立します。

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