司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問70
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問題
平成31年度 司法書士試験 午後の部 問70 (訂正依頼・報告はこちら)
一般社団法人及び一般財団法人の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
ア 設立しようとする一般社団法人の定款に主たる事務所の所在場所の定めがない場合は、当該一般社団法人の設立の登記の申請書には、主たる事務所の所在場所について設立時理事の過半数の一致があったことを証する書面を添付しなければならない。
イ 公益認定を受けた一般財団法人がするその名称中の一般財団法人の文字を公益財団法人と変更する名称の変更の登記の申請書には、当該一般財団法人の名称の変更を決議した評議員会の議事録を添付しなければならない。
ウ 設立しようとする一般社団法人の定款に公告方法の定めがない場合は当該定款を添付して一般社団法人の設立の登記を申請することはできない。
工 定款に解散した後も監事を置く旨の定めのある一般財団法人が、定款で定めた存続期間の満了によって解散した場合において、解散の登記、清算人の登記及び監事設置法人である旨の登記を申請するときは、これらの登記と同時に監事の退任及び就任による変更の登記を申請しなければならない。
オ 新設合併をする法人が一般社団法人のみである場合は、新設合併による一般財団法人の設立の登記を申請することはできない。
ア 設立しようとする一般社団法人の定款に主たる事務所の所在場所の定めがない場合は、当該一般社団法人の設立の登記の申請書には、主たる事務所の所在場所について設立時理事の過半数の一致があったことを証する書面を添付しなければならない。
イ 公益認定を受けた一般財団法人がするその名称中の一般財団法人の文字を公益財団法人と変更する名称の変更の登記の申請書には、当該一般財団法人の名称の変更を決議した評議員会の議事録を添付しなければならない。
ウ 設立しようとする一般社団法人の定款に公告方法の定めがない場合は当該定款を添付して一般社団法人の設立の登記を申請することはできない。
工 定款に解散した後も監事を置く旨の定めのある一般財団法人が、定款で定めた存続期間の満了によって解散した場合において、解散の登記、清算人の登記及び監事設置法人である旨の登記を申請するときは、これらの登記と同時に監事の退任及び就任による変更の登記を申請しなければならない。
オ 新設合併をする法人が一般社団法人のみである場合は、新設合併による一般財団法人の設立の登記を申請することはできない。
- アエ
- アオ
- イウ
- イエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア × 一般社団財団の規定は株式会社とほぼ同じなので、本試験で分からない場合は会社法の知識を当てはめましょう。
本肢も会社法の知識を当てはめたら解けます。
設立中の一般社団法人における業務執行の決定は、原則として設立時社員(株式会社でいう発起人)が行い、定款に別段の定めがない場合には、設立時理事(株式会社でいう設立時取締役)は、理事会設置一般社団法人における設立時代表理事の選任その他一般法人法に規定のある事項に限りその決定を行う。
そして、設立しようとする一般社団法人の定款に主たる事務所の所在場所の定めがない場合は、当該一般社団法人の設立の登記の申請書には、主たる事務所の所在場所について設立時社員の議決権の過半数の一致があったことを証する書面を添付しなければならない。
イ × 公益認定を受けた一般財団法人がするその名称中の一般財団法人の文字を公益財団法人と変更する名称の変更の登記の申請書には、公益認定を受けたことを証する書面を添付すれば足り、名称の変更を決議した評議委員会の議事録を添付することを要しない。
なぜなら、公益認定を受けるための審査は私人間で決議できないからです。
よって、一般財団法人の名称の変更を決議した評議委員会の議事録を添付しなければならないとする点で、本肢は誤っています。
ウ 〇 一般社団法人の定款に公告方法は絶対的記載事項です。
これに対し株式会社の定款に公告方法は任意的記載事項です。
この点は株式会社と異なります。
したがって、設立しようとする一般社団法人の定款に公告方法の定めがない場合は、当該定款を添付して一般社団法人の設立の登記を申請することはできない。
エ × 一般財団法人が解散して清算一般財団法人となった場合には、監事は任意機関です。
よって、清算一般財団法人は改めて監事を置く旨を定款で定める必要があります。
そして、当該定款の定めのある一般財団法人が解散した場合には、既存の監事は退任しません。
本肢は、同時に監事の退任及び就任による変更の登記を申請しなければならないとする点が誤っています。
オ 〇
一般社団と一般社団が合併 → 一般社団のみなれます。
一般財団と一般財団が合併 → 一般財団のみなれます。
基金(借金)を返還している一般社団と一般財団 → 一般社団と一般財団のどちらでもなれます。
基金(借金)を返還していない一般社団と一般財団 → 一般社団のみしかなれません。
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02
ア…誤りです。一般社団法人の定款の絶対的記載事項は、①目的、②名称、③主たる事務所の所在地、④設立時社員の氏名または名称および住所、⑤社員の資格の得喪に関する規定、⑥公告方法、です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、以下一般法人法11条1項)。したがって定款に主たる事務所の所在地を定めないことはできません。
イ…誤りです。公益認定を受けた一般財団法人は、名称中の「一般財団法人」の文字を「公益財団法人」と変更する旨の登記をしたものとみなされます(公益認定法9条1項)。議事録等は必要ありません。
ウ…正しいです。公告方法は定款の絶対的記載事項です(一般法人法11条1項)。またその方法として①官報に掲載する、②時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する、③電子公告、④主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲載する、の方法が認められています(一般法人法331条1項)。
エ…誤りです。一般財団法人に清算が開始した場合は、定款に監事の設置を継続する旨の定めがなければ、監事は清算開始時に任期満了により退任します(先例)。この先例によれば、定款に解散後も監事の継続を定めたときは、監事は退任しないと考えられます。なお、一般社団法人の場合は清算を開始しても当然に監事設置清算法人となり、監事が退任することはありません。
オ…正しいです。一般社団法人のみで新設合併を行う場合は、新設合併設立法人は一般社団法人でなければなりません(一般法人法243条1項1号)。吸収合併の場合も同様です。
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03
正解 5
ア 誤り
一般社団法人の設立の登記においては、主たる事務所及び従たる事務所の所在場所を登記しなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律301条2項3号)。
本肢のように、書面に代えることはできません。
イ 誤り
公益認定を受けた一般財団法人がする名称の変更の登記の申請書には、公益認定を受けたことを証する書面を添付しなければなりません(公益社団法人及び公益財産法人の認定等に関する法律9条2項)。
ウ 正しい
一般社団法人の設立の登記においては、公告方法を登記しなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律301条2項14号)。
よって、設立しようとする一般社団法人の定款に公告方法の定めがない場合は、当該定款を添付して一般社団法人の設立の登記を申請することはできません。
エ 誤り
一般財団法人について清算が開始した場合、定款に解散した後も監事を置く旨の定めがないかぎり、監事は清算開始時に任期満了により退任するものとされています。
このことから言えば、定款に解散した後も監事を置く旨の定めがあるときは、監事は退任しないものと考えられます。
よって、本肢の場合、監事の退任及び就任による変更の登記は必要ありません。
オ 正しい
合併をする法人が一般社団法人のみである場合には、合併により設立する法人は、一般社団法人でなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律243条1項1号)。
よって、本肢では、新設合併による一般社団法人の設立の登記を申請することはできません。
以上から、正しい肢はウとオであり、5が正解となります。
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