司法書士の過去問
令和2年度
午前の部 問19
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問題
令和2年度 司法書士試験 午前の部 問19 (訂正依頼・報告はこちら)
消費貸借契約に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、どれか。
なお、当該消費貸借契約の締結は、商行為に当たらないものとする。
ア 書面でする消費貸借契約の貸主は、借主に対して目的物を交付するまでは、契約の解除をすることができる。
イ 借主は、消費貸借契約において返還の時期が定められていた場合であっても、いつでも返還をすることができる。
ウ 消費貸借契約において利息に関する特約がなかった場合は、貸主は、借主に対して法定利率による利息を請求することができる。
エ 消費貸借契約において返還の時期が定められていなかった場合において、貸主が期間を明示せずに返還の催告をしたときであっても、借主が催告を受けた時から返還の準備をするのに相当な期間を経過したときは、借主は、返還義務について遅滞の責任を負う。
オ 貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる。
なお、当該消費貸借契約の締結は、商行為に当たらないものとする。
ア 書面でする消費貸借契約の貸主は、借主に対して目的物を交付するまでは、契約の解除をすることができる。
イ 借主は、消費貸借契約において返還の時期が定められていた場合であっても、いつでも返還をすることができる。
ウ 消費貸借契約において利息に関する特約がなかった場合は、貸主は、借主に対して法定利率による利息を請求することができる。
エ 消費貸借契約において返還の時期が定められていなかった場合において、貸主が期間を明示せずに返還の催告をしたときであっても、借主が催告を受けた時から返還の準備をするのに相当な期間を経過したときは、借主は、返還義務について遅滞の責任を負う。
オ 貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア × 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭、その他の物を受け取るまで契約の解除をすることができます。しかし、貸主には解除権はありません。
本肢は具体例で考えたら分かりやすいです。
銀行から融資を受ける契約をした場合であっても、たまたま宝くじが当たって融資を受ける必要がなくなったら、「銀行さん、申し訳ないです。融資は必要なくなりました。」と借主側から断ってもOKということです。
しかし、一度融資契約が成立したのに銀行側から融資はやっぱりできません。ということはできないのです。
ちなみに口頭でする消費貸借契約は要物契約なので金銭、その他の物を受け取るまでは契約の効力は発生しません。
イ 〇 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返済をすることができる(民法591Ⅱ)。
よって、住宅ローンの繰り上げ返済が可能ということなのです。
ウ × 貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない(民法589Ⅰ)。
しかし、実務では無利息など絶対にありえません。(あくまで民法の規定です。)
つまり、実務では特別法である商法が適用されます。
民法と商法の比較をしながら勉強すると、午前の35問目の正答率が上がります。
エ 〇 当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができます(民法591条1項)。
この場合において、貸主が期間を明示せずに返還の催告をしたときであっても、借主が催告を受けた時から相当な期間を経過したときは、借主は、返還義務について遅滞の責任を負う。(大判昭5.1.29)
本肢を解くポイントは「消費貸借」というキーワードを見つけたら「相当な期間」という言葉をすぐに連想できるかどうかにかかっています。
消費貸借ときたら相当な期間をすぐに頭に思い浮かべれるようにしておきましょう。
オ 〇 貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができます(民法590条2項)。
なぜ借りた物と同等の物ではなく、その価格を返還することができるのかというと、
昭和の時代はご近所で味噌や醤油の貸し借りが頻繁にありました。
そして味噌を消費貸借したらたまたま腐っていた場合を想定してみてください。
同等の物を返さないといけないのであれば、わざわざ腐った味噌を調達して返さなければなりません。
しかしその価格(腐った味噌の価格)で返すほうが合理的だとは思いませんか?(ほぼ0円だと思いますが)
よって、その物の価格を返還することができるのです。
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02
正解 1
ア 誤り
書面でする消費貸借において、目的物が交付されるまでの間、契約を解除できるのは借主側です(民法587条の2第2項)。
イ 正しい
消費貸借において、借主は返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還することができます(民法591条2項)。
ウ 誤り
貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することはできません(民法589条1項)。
エ 正しい
当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができます(民法591条1項)。
この場合において、貸主が期間を明示せずに返還の催告をしたときであっても、借主が催告を受けた時から相当な期間を経過したときは、借主は、返還義務について遅滞の責任を負うとするのが判例の立場です。
オ 正しい
貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができます(民法590条2項)。
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03
ア…誤りです。書面でする消費貸借契約の借主は、貸主から金銭その他の消費貸借契約の目的物を受け取るまで、契約の解除をすることができます(587条の2第2項)。
イ…正しいです。借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができます(591条2項)。ただし、返還の時期を定めていた場合に、その時期よりも前に返還がされたことで貸主に損害が発生した場合は、貸主は借主に損害の賠償を請求することができます(同条3項)。
ウ…誤りです。貸主は、特約がなければ借主に対して利息を請求することができません(589条1項)。
エ…正しいです。消費貸借契約において返還の時期を定めていなかった場合、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができます(591条1項)。また、多数の判例は、(催告の時からではなく)催告で定めた相当の期間経過後に、借主が履行遅滞になるものとしています(大判昭5・1・29など)。
オ…正しいです。貸主から引き渡された物が種類または品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができます(590条2項)。
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