ア × 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭、その他の物を受け取るまで契約の解除をすることができます。しかし、貸主には解除権はありません。
本肢は具体例で考えたら分かりやすいです。
銀行から融資を受ける契約をした場合であっても、たまたま宝くじが当たって融資を受ける必要がなくなったら、「銀行さん、申し訳ないです。融資は必要なくなりました。」と借主側から断ってもOKということです。
しかし、一度融資契約が成立したのに銀行側から融資はやっぱりできません。ということはできないのです。
ちなみに口頭でする消費貸借契約は要物契約なので金銭、その他の物を受け取るまでは契約の効力は発生しません。
イ 〇 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返済をすることができる(民法591Ⅱ)。
よって、住宅ローンの繰り上げ返済が可能ということなのです。
ウ × 貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない(民法589Ⅰ)。
しかし、実務では無利息など絶対にありえません。(あくまで民法の規定です。)
つまり、実務では特別法である商法が適用されます。
民法と商法の比較をしながら勉強すると、午前の35問目の正答率が上がります。
エ 〇 当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができます(民法591条1項)。
この場合において、貸主が期間を明示せずに返還の催告をしたときであっても、借主が催告を受けた時から相当な期間を経過したときは、借主は、返還義務について遅滞の責任を負う。(大判昭5.1.29)
本肢を解くポイントは「消費貸借」というキーワードを見つけたら「相当な期間」という言葉をすぐに連想できるかどうかにかかっています。
消費貸借ときたら相当な期間をすぐに頭に思い浮かべれるようにしておきましょう。
オ 〇 貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができます(民法590条2項)。
なぜ借りた物と同等の物ではなく、その価格を返還することができるのかというと、
昭和の時代はご近所で味噌や醤油の貸し借りが頻繁にありました。
そして味噌を消費貸借したらたまたま腐っていた場合を想定してみてください。
同等の物を返さないといけないのであれば、わざわざ腐った味噌を調達して返さなければなりません。
しかしその価格(腐った味噌の価格)で返すほうが合理的だとは思いませんか?(ほぼ0円だと思いますが)
よって、その物の価格を返還することができるのです。