司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問44

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問題

令和3年度 司法書士試験 午後の部 問44 (訂正依頼・報告はこちら)

供託所の管轄に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア  譲渡制限株式を取得した者からの譲渡の承認の請求に対して、株式会社が譲渡を承認せず対象株式を買い取る旨の通知をしようとするときの供託は、その株式会社の本店の所在地の供託所にしなければならない。
イ  宅地建物取引業者が事業の開始後新たに事務所を設置したときの営業保証金の供託は、主たる事務所の最寄りの供託所にしなければならない。
ウ  仮差押えの執行を取り消すために債務者がする仮差押解放金の供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。
エ  不法行為に基づく損害賠償債務について、債権者の住所が不明である場合の受領不能を原因とする弁済供託は、不法行為があった地の供託所にすることができる。
オ  衆議院小選挙区選出議員の選挙の候補者の届出をするためにする選挙供託は、候補者の選挙区又はその最寄りの供託所にしなければならない。
  • アイ
  • アエ
  • イオ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

ア…正しいです。株式会社が譲渡制限株式の買取りを行うための供託は、当該株式会社の本店の所在地の供託所にしなければなりません(会社法141条2項)。

イ…正しいです。宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したときは、当該事務所についての営業保証金を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません(宅地建物取引業法26条1項、2項、25条1項)。

ウ…誤りです。仮差押解放金の供託は、仮差押命令を発した裁判所、または、保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所、の管轄区域内の供託所にしなければなりません(供託法22条2項)。

エ…誤りです。債権者の受領不能を原因とする弁済供託(民法494条1項2号)は、債務の履行地の供託所にしなければなりません(民法495条1項)。不法行為による損害賠償の債務の履行地は、債権者の現在の住所になりますが(民法484条)、その住所地が知れない場合、「債権者の最後の住所地」を債務の履行地として、その地を管轄する供託所に供託してもよいとされています(昭39全国供託課長合同決議)。

オ…誤りです。選挙供託などの没収供託については、供託所の定めはありません。したがって全国どこの供託所にも供託することができます。

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02

ア 〇 株式会社は、譲渡制限株式を取得した者からの譲渡の承認の請求に対して、株式会社が譲渡を承認せず対象株式を買い取る旨の通知をしようとするときの供託は、その株式会社の本店の所在地の供託所にしなければなりません。

イ 〇 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置した時は、当該事務所につき営業保証金の供託を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません。

ウ × 仮差押命令において、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消を得るために債務者が供託すべき金額(仮差押開放金)を定めなければならない。

そして、仮差押解放金の供託所は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない(民保22Ⅱ)

よって、本肢は債務履行地の供託所にしなければならないとする点が誤っています。

エ × 原則として不法行為に基づく損害賠償債務は持参債務です。

そして、持参債務について、弁済の場所の契約がなく、債権者の住所が不明であるため、受領不能を原因として弁済供託する場合には、債権者の最後の住所地の供託所に供託できます。

つまり、被害者の最後の住所地の供託所に供託することとなります。

オ × 選挙供託は全国どこの供託所にでも供託をすることができます。

選挙供託はどこでも供託できると、覚えておきましょう。

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03

正解 1

ア 正しい

株式会社は、譲渡制限株式を取得した者からの譲渡の承認の請求に対して、株式会社が譲渡を承認せず対象株式を買い取る旨の通知をしようとするときは、1株あたりの純資産額に対象株式の数を乗じて得た額をその株式会社の本店の所在地の供託所にしなければなりません(会社法141条2項)。

イ 正しい

宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません(宅建業法25条1項)。

ウ 誤り

仮差押解放金の供託は、仮差押命令を発した裁判所または保全裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内にある供託にしなければなりません(民保法22条2項)。

エ 誤り

債権者の受領不能を原因としてなされる供託は、債務の履行地の供託所にしなければなりません(民法495条1項)。

持参債務において、債権者の住所が不明である場合は、債権者の最後の住所地の最寄りの供託所に供託する必要があります。

オ 誤り

先例(昭31.1.23.民甲144)は、「選挙供託は、選挙の区別等に関係なく、全国どこの供託所でも供託することができる。」としています。

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