司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問47

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問題

令和3年度 司法書士試験 午後の部 問47 (訂正依頼・報告はこちら)

登記の申請に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア  同一の不動産について、同時に二件(各登記権利者を異にする。)の所有権の移転請求権を保全するための仮登記の申請があった場合には、これらの申請は同一の受付番号を付して受け付けられるとともに、いずれの申請も同時に却下される。
イ  登記官の配偶者であった者が登記の申請人であるときは、当該登記官は、当該申請に係る登記をすることができる。
ウ  抵当権の設定の登記について、その申請人が登記識別情報を提供できないために登記義務者に対して事前通知をする場合において、当該登記義務者の住所について変更の登記がされているときは、登記官は、当該登記義務者の登記記録上の前の住所に宛てて、当該登記の申請があった旨を通知しなければならない。
エ  登記官が、登記の申請において提供された添付情報から、登記の申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合において、当該申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているときは、登記官は、他の登記所の登記官に当該申請人の申請の権限の有無の調査を嘱託しなければならない。
オ  書面申請をした申請人は、申請に係る登記が完了するまでの間、申請書及びその添付書面の受領証の交付を請求することができる。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

ア 〇 同一の不動産について同時に2以上の申請がされた場合、同一の受付番号が付されます。

そして、同一の不動産について、登記権利者を異にする所有権移転請求権の保全の仮登記を同時に申請した場合、双方とも同一の受付番号で受け付けられ当該登記の申請は同時に却下されます。

なぜなら、甲区なので排他性があるからです。

逆に、乙区の抵当権ならば、同順位で登記が入ります。

イ × 登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族が登記の申請人であるときは、当該登記官は、当該登記をすることができません。

誰しも身内には甘くなってしまうからです。

ウ × 本肢のキーワードは「抵当権設定登記」です。

前住所通知が必要な場合は以下のすべての要件を満たすときです。

1.所有権に関する登記。

2.登記申請の日が登記義務者の住所についてされた最後の変更登記又は更正登記の受付の日から3か月以内であるとき。

3.登記義務者が法人でない場合。

4.行政区画の変更等で住所が変わった場合ではないこと。

5.資格者代理人の本人確認情報の提供があり、申請人が登記義務者であることが確実ではないと判断された場合。

よって、抵当権の設定登記なので前住所通知は不要です。

エ × 本肢は単に、義務か任意かの違いを問うているだけの肢です。

申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認める場合、当該申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているときは、登記官は、他の登記所の登記官に調査を嘱託することができます。(不登法24条)

調査を嘱託しなければならないとしている点で本肢は誤りです。

つまり、仕事が暇なら遠隔の地に足を運んで調査してもよいということです。

オ 〇 本肢は単に条文知識です。

書面申請をした申請人は、申請に係る登記が完了するまでの間、申請書及びその添付書面の受領証の交付を請求することができます(不登規54条1項)。

つまり、重要な書面を渡したのだから後々「渡した。」「いや、受け取ってません。」の争いを防ぐための措置です。

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02

正解は2です。

ア…正しいです。同一の不動産について、同時に二以上の所有権移転請求権を保全するための仮登記の申請があった場合には、それぞれの登記申請には同一の受付番号が付され、同時に却下されます(昭30・4・11民甲693号通達)。

イ…誤りです。登記官またはその配偶者もしくは四親等内の親族が登記の申請者である場合、登記官はその登記を登記することができません。この「配偶者もしくは四親等内の親族」には、過去に当該関係にあった者も含まれます(不動産登記法9条)。

ウ…誤りです。「所有権に関する」登記の申請において、その申請人が登記識別情報を提供できないために登記義務者に対して事前通知をする場合において、登記義務者の住所について変更の登記がなされている場合には、登記記録上の前の住所にあてて、当該登記の申請があった旨を通知しなければなりません(不動産登記法23条2項)。

エ…誤りです。登記官は、登記の申請人となるべき以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認める場合において、当該申請人またはその代表者もしくは代理人が遠隔の地に居住しているときは、他の登記所の登記官に、出頭や文書の提示等により申請人の申請の権限の有無の調査を嘱託することができます(不動産登記法24条2項)。必ず嘱託を行うべきであるとされているわけではなく、嘱託を行わない場合は登記官自らが調査を行います(同条1項)。

オ…正しいです。書面申請をした申請人は、申請に係る登記が完了するまでの間、申請書およびその添付書面の受領証の交付を請求することができます(不動産登記規則54条1項)。

参考になった数5

03

正解 2

ア 正しい

先例(昭30.4.11 民甲693)は、「同一の不動産について、同時に二件(各別人)の所有権の移転請求権を保全するための仮登記の申請があった場合は、二件とも同一の受付番号を付して、同時に却下すべきである。」としています。

イ 誤り

登記官又はその配偶者もしくは4親等内の親族(配偶者又は4親等内の親族であった者を含む。)が登記の申請人であるときは、当該登記官は、当該登記をすることができません(不登法10条)。

ウ 誤り

事前通知の方法により登記を申請する場合において、当該登記義務者の住所について変更の登記がされているときに当該登記義務者の登記記録上の前の住所に宛てて、当該登記の申請があった旨を通知しなければならないのは、登記の申請が所有権に関する場合です(不登法23条2項、1項)。

エ 誤り

申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認める場合、当該申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているときは、登記官は、他の登記所の登記官に調査を嘱託することができます(不登法24条)。

調査を嘱託しなければならないとしている点で本肢は誤りです。

オ 正しい

書面申請をした申請人は、申請に係る登記が完了するまでの間、申請書及びその添付書面の受領証の交付を請求することができます(不登規54条1項)。

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