司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問48
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問題
令和3年度 司法書士試験 午後の部 問48 (訂正依頼・報告はこちら)
官庁又は公署が行う登記の嘱託に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
なお、不動産登記令附則第5条に規定する添付情報の提供方法に関する特例(特例方式)は、考慮しないものとする。
ア 財務省が私人に対して普通財産である国有財産の土地の売払いの手続をしたことにより当該土地につき行う売買を登記原因とする所有権の移転の登記について、当該私人の請求があったときは、財務省は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
イ 財務省が私人に対して普通財産である国有財産の土地の売払いの手続をしたことにより当該土地につき売買を登記原因とする所有権の移転の登記を嘱託する場合において、当該私人に対して用途並びにその用途に供すべき期日及び期間を指定して当該指定に違反したときに当該売払いの契約を解除する旨の定めがあるときは、当該定めを当該登記の嘱託情報の内容とすることができる。
ウ 財務省が私人に対して普通財産である国有財産の土地の売払いの手続をしたことにより当該土地につき行う売買を登記原因とする所有権の移転の登記を、電子情報処理組織を使用する方法によって財務省が単独で嘱託するときは、官庁又は公署が作成した電子証明書であって、登記官が電子署名を行った者を確認することができるものの送信をすることを要しない。
エ 土地に対する滞納処分による差押えの登記の前提として、県が相続人に代位して当該土地につき相続を登記原因とする所有権の移転の登記を嘱託し、当該登記が完了したときは、登記官は、被代位者である当該相続人に対し、登記識別情報を通知しなければならない。
オ 土地に対する滞納処分による差押えの登記の前提として、県が相続人に代位して当該土地につき相続を登記原因とする所有権の移転の登記を嘱託し、当該登記が完了したときは、登記官は、被代位者である当該相続人に対し、当該登記が完了した旨を通知しなければならない。
なお、不動産登記令附則第5条に規定する添付情報の提供方法に関する特例(特例方式)は、考慮しないものとする。
ア 財務省が私人に対して普通財産である国有財産の土地の売払いの手続をしたことにより当該土地につき行う売買を登記原因とする所有権の移転の登記について、当該私人の請求があったときは、財務省は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
イ 財務省が私人に対して普通財産である国有財産の土地の売払いの手続をしたことにより当該土地につき売買を登記原因とする所有権の移転の登記を嘱託する場合において、当該私人に対して用途並びにその用途に供すべき期日及び期間を指定して当該指定に違反したときに当該売払いの契約を解除する旨の定めがあるときは、当該定めを当該登記の嘱託情報の内容とすることができる。
ウ 財務省が私人に対して普通財産である国有財産の土地の売払いの手続をしたことにより当該土地につき行う売買を登記原因とする所有権の移転の登記を、電子情報処理組織を使用する方法によって財務省が単独で嘱託するときは、官庁又は公署が作成した電子証明書であって、登記官が電子署名を行った者を確認することができるものの送信をすることを要しない。
エ 土地に対する滞納処分による差押えの登記の前提として、県が相続人に代位して当該土地につき相続を登記原因とする所有権の移転の登記を嘱託し、当該登記が完了したときは、登記官は、被代位者である当該相続人に対し、登記識別情報を通知しなければならない。
オ 土地に対する滞納処分による差押えの登記の前提として、県が相続人に代位して当該土地につき相続を登記原因とする所有権の移転の登記を嘱託し、当該登記が完了したときは、登記官は、被代位者である当該相続人に対し、当該登記が完了した旨を通知しなければならない。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は4です。
ア…正しいです。国または地方公共団体が国有財産である普通財産について売払いの手続をし登記義務者となる権利について登記権利者の請求があったときは、(当該普通財産を所管する)官庁または公署は登記所に登記を嘱託します(不動産登記法116条2項)。
イ…正しいです。国または地方公共団体が国有財産である普通財産の売払いをした場合、当該財産を所管する各省各庁の長は、その買受人に対し用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間を指定しなければならず、買受人がこの指定に違反したときは、当該財産を所管した各省各庁の長は、その契約を解除することができます(国有財産法29条、30条)。この定めは、登記の目的を「所有権移転解除の定め」として、当該所有権移転の登記の付記登記に登記することができます(平21・2・20民二500号通達記録例204)。
ウ…誤りです。電子情報処理組織を使用する方法で申請する場合は、電子署名の真正を保証する電子証明書の送信が必要です(不動産登記令14条)。この場合、官庁又は公署が登記を嘱託するときは、官庁又は公署が作成した電子証明書であって、登記官が電子署名を行った者を確認することができるものを送信しなければなりません(不動産登記規則43条1項4号)。
エ…誤りです。登記識別情報の通知は、申請人自らが登記名義人である場合になされます(不動産登記法21条)。代位による登記では、申請人(=代位者)が登記名義人になることはないので、登記識別情報の通知は代位者と被代位者のいずれにもされません。
オ…正しいです。代位による登記では、登記が完了した旨の通知は、申請人(=代位者)と登記権利者にされますが(不動産登記法181条1項)、被代位者に対しても当該登記が完了した旨の通知がされます(不動産登記規則183条1項2号)。
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02
ア 〇 本肢は単に条文知識そのままです。
国又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、官庁又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければなりません(不登法116条2項)。
わざわざ私人から請求しないと嘱託してくれないなんていかにもお役所仕事ですよね。
イ 〇 先例(昭和30.5.17 民甲968)は、「財務省が普通財産を売り渡し、買受人に対して用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間を指定して当該指定に違反したときに当該売払いの契約を解除する旨の定めがある場合、不動産登記法59条5号にいう
「登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め」として、当該定めを登記することができる。」としています。
そして、こういう時のために買い戻し特約を定めておくことも有効な手段です。
ウ × 本肢は単に条文知識です。(今年度は不動産登記法は条文知識が多かったように思います。)
官庁又は公署が電子情報処理組織を使用する方法によって登記を嘱託するときは、官庁又は公署が作成した電子証明書であって、登記官が電子署名を行った者を確認することができるものを送信しなければなりません(不登法43条1項4号)。
エ × 結論から申し上げますと、被代位者には登記完了通知がされます。
登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了した時は、速やかに当該申請人に対し登記識別情報を通知しなければなりません。(不登法21)
よって、代位によって申請がされた場合は自らが申請人として申請していないので登記識別情報は通知されません。
覚え方としては積極的な人でなければ登記識別情報は通知しませんよ。ということです。
オ 〇 先ほどのエの肢の続きの問題です。
代位の登記が完了したら、登記官は被代位者に登記完了通知というハガキを出します。
そして、そのハガキにより被代位者は登記がされたことを初めて知ります。
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03
正解 4
ア 正しい
国又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、
官庁又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければなりません(不登法116条2項)。
イ 正しい
先例(昭和30.5.17 民甲968)は、「財務省が普通財産を売り渡し、買受人に対して用途並びに
その用途に供しなければならない期日及び期間を指定して当該指定に違反したときに
当該売払いの契約を解除する旨の定めがある場合、不動産登記法59条5号にいう
「登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときは、その定め」として、当該定めを登記することができる。」としています。
ウ 誤り
官庁又は公署が電子情報処理組織を使用する方法によって登記を嘱託するときは、官庁又は公署が作成した電子証明書であって、
登記官が電子署名を行った者を確認することができるものを送信しなければなりません(不登法43条1項4号)。
エ 誤り
登記官は、官庁又は公署が登記権利者のためにした登記の嘱託に基づいて登記を完了したときは、速やかに、
当該登記権利者のために登記識別情報を当該官庁又は公署に通知しなければなりません(不登法117条1項)。
そして、これにより登記識別情報の通知を受けた官庁又は公署は、遅滞なく、
これを当該登記権利者に通知しなければなりません(同条2項)。
オ 正しい
登記官は、他人に代位してする申請に基づく登記を完了した場合には、当該他人に対し、登記が完了した旨を通知しなければなりません(不登規183条1項2号)。
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