司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問50

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問題

令和3年度 司法書士試験 午後の部 問50 (訂正依頼・報告はこちら)

甲区1番でAを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記がされている甲建物又は甲区2番でA及びBを所有権の登記名義人とする共有者全員の持分の全部の移転の登記がされている乙土地について、第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる登記の目的及び登記原因で登記の申請をすることができないものの組合せはどれか。
なお、登記の申請は令和3年7月1日にすることとし、登記原因につき第三者の許可、同意又は承諾を要する場合には、同日までに、それぞれ第三者の許可、同意又は承諾を得ているものとする。
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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

ア…登記原因に誤りがあります。当事者の一方が相手方の死亡時まで定期に金銭を相手方に給付する契約は、終身定期金契約(民法689条)です。終身定期金契約に基づき、定期金の元本となる不動産の所有権移転の登記を行う場合、その登記原因は「年月日終身定期金契約」とするのが相当とされています(昭60・4・17民三2044号回答)。

イ…申請できます。裁判外の和解により所有権を譲渡した場合、和解契約(民法695条)を行ったといえるので、登記原因も「年月日和解」として申請できます。

ウ…申請できます。共有物分割禁止の定め(民法256条1項ただし書)は、所有権の移転の登記とは別個に申請することができます。その場合、登記目的は「所有権変更」、登記原因は「年月日特約」とし、特約の内容(本問であれば「特約 3年間共有物不分割」)を記載するべきとされています(平21・2・20民二500号通達記録例202)。

エ…申請できます。所有権移転の登記について、登記原因に錯誤がある場合には、所有権移転の登記の更正で対応でき、必ず付記登記でする必要があります。この場合、登記目的は「所有権更正」、登記原因を「錯誤」とし、更正の内容(本問であれば「原因:年月日代物弁済」)を記載します(平21・2・20民二500号通達記録例234)。

オ…登記原因に誤りがあります。登記原因である売買契約そのものが錯誤により取り消され、所有権が買主から売主に戻る場合、登記の目的は「所有権更正」ですが、登記原因は「年月日取消」となります。民法上、錯誤による法律行為は、初めから無効なのではなく、取り消すことのできる行為に代わったためです(民法95条)。したがって原因日付も、もとの契約の日ではなく、取消しの意思表示が相手方に到達した日(本問であれば「令和3年7月1日取消」)となります。

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02

本問題は覚えておくしかない。ということしか解説できません。

理由付けなどできなく、丸暗記しか方法がないので各自で暗記してください。

ア できない

結論から申し上げますと、「年月日終身定期金契約」と記載しなければなりません。

これは覚えておきましょう。

よって、贈与を登記原因として所有権移転登記を申請することはできません。

イ できる 

和解契約の成立による所有権移転の登記原因は和解です。

年月日和解

本肢も覚えておくしかありません。

ウ できる

所有権の変更登記ができる稀なケースです。

年月日特約

覚えておきましょう。

エ できる

錯誤の場合は年月日が不要です。

なお、売買と信託の錯誤はできません。 

オ できない

錯誤によって意思表示が取り消されたことにより登記の抹消申請をする場合の登記原因は「錯誤」ではなく「年月日取消」です。

覚えておきましょう。

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03

正解 2

ア 第2欄に掲げる登記の目的及び登記原因で登記の申請をすることはできない。

先例(昭60.4.17 民3.2044)は、「終身定期金契約に基づく終身定期金の元本としての譲渡による所有権の移転登記の登記原因は「年月日終身定期金契約」とする。」としています。

イ 第2欄に掲げる登記の目的及び登記原因で登記の申請をすることができる。

和解による所有権の移転登記に係る登記原因は、「年月日和解」となります。

ウ 第2欄に掲げる登記の目的及び登記原因で登記の申請をすることができる。

先例(昭50.1.10 民3.316)は、「共有物の分割をしない旨の特約による所有権の変更登記は、登記の目的を「〇番所有権変更」とし、登記原因を「年月日特約」とする。」としています。

エ 第2欄に掲げる登記の目的及び登記原因で登記の申請をすることができる。

登記原因の更正登記に係る登記原因は「錯誤」となります。

オ 第2欄に掲げる登記の目的及び登記原因で登記の申請をすることはできない。

先例(令2.3.31)は、「錯誤に基づく取消しにより登記の抹消を申請するときは、その登記原因は「年月日取消」となる。」としています。

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