司法書士の過去問
令和3年度
午後の部 問51

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問題

令和3年度 司法書士試験 午後の部 問51 (訂正依頼・報告はこちら)

図面等の添付情報に関する次のアからオまでの記述のうち、第1欄に掲げる登記の申請又は嘱託をするときに、その申請情報又はその嘱託情報と併せて第2欄に掲げる情報を登記所に提供しなければならないものの組合せはどれか。
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  • アウ
  • アエ
  • イエ
  • イオ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

ア 提供を要しない

結論から申し上げますと、区分地上権の設定には図面の提供を要しません。

なぜなら、区分地上権は上下の空間なので図面ではなく上下の範囲を記載します。

例として、「範囲 東京湾平均海面の上100メートルから上30メートルの間」と記載します。

イ 提供を要する

原則として地役権を設定する場合は地役権図面を要します。

しかし、例外が一つだけあります。

それは承役地全部について地役権を設定する場合です。

登記申請書に、「範囲 全部」

と記載すれば地役権図面の添付は不要です。

つまり、本肢の場合は承役地の一部ですから地役権図面が必要です。

ウ 提供を要しない

結論から申し上げますと、

土地の工事の場合は図面は不要。

建物の工事の場合は図面が必要。

なぜなら、土地を工事しても大して変化はありませんが、

建物は劇的に変化する場合があるからです。

エ 提供を要しない

工場財団の所有権の保存登記と、工場財団目録の変更登記を申請する場合に工場図面の提供を要しますが、

抵当権の設定登記を申請する場合には、工場図面の提供を要しません。

なぜなら、抵当権を設定するときには保存登記の段階ですでに提供されていますし、工場財団に変更が生じる場合ではないからです。

ベクトルとして登記官はなるべく楽に仕事をしたい。つまり添付情報は必要最低限にしてほしいということを考えながら問題を解きましょう。

オ 提供を要する

表題登記がない不動産には、嘱託により所有権の処分の制限の登記(差押えも含む)をすることができます。

そして、この場合には土地の場合であれば、土地所在図面及び地積測量図、

建物の場合であれば、建物図面及び各階平面図を提供しなければなりません。

なぜなら、所有権保存登記がないと処分制限の登記ができません。

そこで親切なことに、登記官が職権で保存登記を申請してくれるのです。

そして、その際に上記の書面が必要になるのです。

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02

正解 4

ア 第2欄に掲げる情報を登記所に提供する必要はありません

区分地上権の設定登記を申請する際に、その範囲を明らかにする図面の提供を求める規定は存在しません。

イ 第2欄に掲げる情報を登記所に提供することが必要です

地役権の設定登記の申請において、地役権設定の範囲が承役地の一部であるときは、地役権図面を提供しなければなりません(不登令別表35添付情報ロ)。

ウ 第2欄に掲げる情報を登記所に提供する必要はありません

先例(昭56.1.26 民三.656)は、「宅地の造成工事に係る不動産工事の先取特権の保存登記の申請において、建物新築工事の先取特権の保存登記の申請における「新築する建物の設計書(図面を含む。)の内容を証する情報」を提供する不動産登記令別表43添付情報ロの規定は準用もしくは類推適用されない」としています。

宅地の造成工事に係る不動産工事の先取特権の保存登記の申請では、当該工事により新たな土地が作出されるものではなく、また、造成後にその部分のみが別個の不動産として、別途登記されることもないからです。

エ 第2欄に掲げる情報を登記所に提供する必要はありません

工場財団の所有権保存の登記を申請する場合、工場図面を提供しなければなりません(工場抵当法22条、工場抵当登記規則21条)。

このように、工場図面を提供しなければならないのは、工場財団の所有権保存登記を申請する場合であって、工場財団に対する抵当権の設定登記を申請するときではありません。

オ 第2欄に掲げる情報を登記所に提供することが必要です

表題登記がない建物について、所有権の処分制限の登記を嘱託する場合、当該表題登記のない建物についての建物図面および各階の平面図を提供しなければなりません(不登令別表32添付情報ロ)。

本肢の場合、上記規定の類推適用により、建物図面の提供が必要になります。

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03

ア 区分地上権の設定の登記申請において、地上の上下など、範囲を明らかにする図面の提供は必要ありません。

なお、地下の上下の範囲は地上権の目的として記載が必要です。

イ 地役権の設定の登記申請において、1筆の土地全てに地役権が及ぶ場合は図面を添付する必要はありません。しかし、イのように地役権が及ぶ範囲が限定されている場合は図面を添付しなければなりません。地役権の範囲を特定するためです。

ウ まず、宅地造成とは一般的に宅地でない土地を宅地にすることです。土地の不動産工事の先取特権の登記をするときは、新しく土地を作るわけではないので図面等の設計書の内容を証する情報は添付する必要がありません。

それに対して建物の不動産工事の先取特権の登記では図面等が必要なことを押さえておきましょう。

エ 工場財団を目的とした抵当権の追加設定の登記の場合は工場財団の場所がわかっているので工場図面の添付を必要としません。工場財団の所有権保存登記をするときは図面が必要です。

ちなみに工場財団とは工場抵当法によって、工場内の建物や機械などを一体の不動産とみなされているものです。

オ 未登記建物を差押さえるときには建物図面や平面図の添付が必要です。

裁判所で強制競売の決定が出たら登記官は職権で未登記建物の表題登記を行い、その後に差押えの登記を行います。

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