司法書士の過去問
令和4年度
午前の部 問25
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問題
令和4年度 司法書士試験 午前の部 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
強制わいせつ罪又は強制性交等罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aは、成人男性であるBに暴行を加えて、その反抗を著しく困難にし、Bの肛門にAの陰茎を挿入した。この場合、Aには強制性交等罪が成立しない。
イ Aは、14歳の女性であるBから真意に基づく承諾を得た上、暴行又は脅迫を用いることなく、Bと性交をした。この場合、Aには強制性交等罪が成立する。
ウ Aは、児童ポルノを製造して対価を得る目的で、自己の性欲を満たす意図を持たずに、小学生の女性であるBにAの陰茎を触らせるとともに、Bの陰部を触った。この場合、Aには強制わいせつ罪が成立しない。
エ Aは、成人女性であるBに暴行を加えて、その反抗を抑圧し、Bと性交をした後、その場で畏怖しているBの様子を見て、強盗の犯意を生じ、Bが所持していた現金を強取した。この場合、Aには強盗・強制性交等罪が成立する。
オ Aは、成人女性であるBに暴行を加えて、その反抗を著しく困難にし、Bの膣内に陰茎の形をした性玩具を挿入した。この場合、Aには強制性交等罪が成立しない。
ア Aは、成人男性であるBに暴行を加えて、その反抗を著しく困難にし、Bの肛門にAの陰茎を挿入した。この場合、Aには強制性交等罪が成立しない。
イ Aは、14歳の女性であるBから真意に基づく承諾を得た上、暴行又は脅迫を用いることなく、Bと性交をした。この場合、Aには強制性交等罪が成立する。
ウ Aは、児童ポルノを製造して対価を得る目的で、自己の性欲を満たす意図を持たずに、小学生の女性であるBにAの陰茎を触らせるとともに、Bの陰部を触った。この場合、Aには強制わいせつ罪が成立しない。
エ Aは、成人女性であるBに暴行を加えて、その反抗を抑圧し、Bと性交をした後、その場で畏怖しているBの様子を見て、強盗の犯意を生じ、Bが所持していた現金を強取した。この場合、Aには強盗・強制性交等罪が成立する。
オ Aは、成人女性であるBに暴行を加えて、その反抗を著しく困難にし、Bの膣内に陰茎の形をした性玩具を挿入した。この場合、Aには強制性交等罪が成立しない。
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
本問では、強制わいせつ罪と強制性交罪(平成29年改正以前における強姦罪)についての条文、判例の知識の有無を問われています。強制わいせつ罪の成立において、必ずしも性的意図が必要ではないという点もおさえておくといいでしょう。
ア・・誤りです。
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をした者は、強制性交等の罪とし」(刑法177条前段)と規定されています。「13歳以上の者」は男女を問いません。したがって、Aには強制性交等罪が成立します。
イ・・誤りです。
刑法177条では「暴行脅迫を用いて」と規定しているので、本肢のように暴行脅迫を用いていない場合は、強制性交等罪の構成要件に該当しません。したがって、Aには強制性交等罪は成立しません。
ウ・・誤りです。
冒頭に記載したとおり、強制わいせつ罪(刑法176条)の成立要件として、性的意図は必ずしも必要とされていません(最大判平成29年11月29日)。Aには、性的意図がなく児童ポルノを製造して対価を得るという目的から行われたとしても、Aの行為自体は性的意味の強い行為であり、客観的にわいせつな行為です。さらに、被害者Bは小学生で13歳未満ですから、Aの行為は、13歳未満に対するわいせつな行為に該当します。したがって、AにはBに対する刑法176条後段の強制わいせつ罪が成立します。
エ・・正しいです。
強制性交等罪(未遂を含む)を犯した者が、強盗(未遂を含む)に及んだ場合、刑法241条1項の強盗・強制性交等罪が成立します。
オ・・正しいです。
刑法177条前段の「性交」は、「膣内に陰茎を挿入すること」を意味しており、性的玩具を使って女性器に挿入しても性交にはあたらないので、強制性交等罪(同条前段)は成立しません。したがって、Aには、強制性交等罪は成立しません。
以上より、エとオが正しい記述になります。
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02
強制性交等罪については刑法177条が「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」と定めています。近年改正がありました。
アは誤りです。「男性」「肛門」も対象です。
イは誤りです。14歳であれば「暴行又は脅迫を用い」なければ強制性交等罪は成立しません。
ウは誤りです。強制わいせつ罪については刑法176条が「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」と定めています。行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではないとされています(最判平29.11.29)。
エは正しいです。「強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪・・・若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。」(241条1項)と定められています。
オは正しいです。性玩具の挿入は「性交等」には当たりません。
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03
強制わいせつ罪又は強制性交等罪に関する問題です。
ア 誤りです。
男性が男性に対してしたとしても強制性交罪は成立します。
イ 誤りです。
13歳未満ならば真意に基づく承諾を得た上、暴行又は脅迫を用いることなく、Bと性交をした場合でも強制性交等罪は成立しますが、Bは14歳のため、暴行又は脅迫を用いることなく行ったのであれば強制性交等罪は成立しません。
ウ 誤りです。
行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではないのでAには強制わいせつ罪が成立します。
エ 正しいです。
強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪もしくはその未遂罪をも犯したとき、または強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは強盗・強制性交等罪が成立すします。(第241条)
オ 正しいです。
性玩具は陰茎ではないので強制性交罪は成立しません。
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