司法書士の過去問
令和4年度
午後の部 問35
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問題
令和4年度 司法書士試験 午後の部 問35 (訂正依頼・報告はこちら)
一般社団法人の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 一般社団法人の設立の登記の申請書には、公証人による認証を受けた定款を添付することを要しない。
イ 公益認定を受けた一般社団法人は、公益社団法人についての設立の登記及び一般社団法人についての解散の登記を申請しなければならない。
ウ 監事設置一般社団法人の設立の登記の申請書には、設立時理事及び設立時監事が一般社団法人の設立の手続が法令又は定款に違反していないことを調査したことを証する書面を添付しなければならない。
エ 一般社団法人は、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の登記をすることができない。
オ 2以上の一般社団法人が新設合併をした場合においては、新設合併消滅法人が債権者保護手続に係る公告を官報及び定款の定めに従って主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法によりしたときであっても、知れている債権者がいない場合を除 き、新設合併による設立の登記の申請書には、知れている債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付しなければならない。
ア 一般社団法人の設立の登記の申請書には、公証人による認証を受けた定款を添付することを要しない。
イ 公益認定を受けた一般社団法人は、公益社団法人についての設立の登記及び一般社団法人についての解散の登記を申請しなければならない。
ウ 監事設置一般社団法人の設立の登記の申請書には、設立時理事及び設立時監事が一般社団法人の設立の手続が法令又は定款に違反していないことを調査したことを証する書面を添付しなければならない。
エ 一般社団法人は、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の登記をすることができない。
オ 2以上の一般社団法人が新設合併をした場合においては、新設合併消滅法人が債権者保護手続に係る公告を官報及び定款の定めに従って主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法によりしたときであっても、知れている債権者がいない場合を除 き、新設合併による設立の登記の申請書には、知れている債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付しなければならない。
- アイ
- アオ
- イウ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
一般社団法人,一般財団法人については,会社法と共通する事項が多いので,会社法の知識を万全にすれば,それほど勉強する必要はないと言われます。
しかし,そうはいっても一般社団(財団)法人に特有な事項もありますので,勉強しないわけにもいきません。そこで,以下の2点に留意すると勉強がはかどると思います。
1つ目は,会社法と異なる点(公告方法を指定しなければならない等)を意識します。
2つ目は,定款の記載事項であっても,登記事項にはならない項目などに注意します。
これらについては,どの基本書にも載っているので確認しましょう。
法人に関する法律の条文については,過去問等で出てきた条文をチェックするくらいで良いと思います。
ア・・誤りです。
一般社団法人の設立時定款には,公証人の認証が必要です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「法人法」といいます)13条)。
一般財団法人の設立時定款についても公証人の認証が必要です。
なお,公証人の認証が不要なのは,持分会社のみです。
イ・・誤りです。
公益認定を受けた一般社団法人は,公益認定による名称の変更の登記をしなくてはいけません(法人法303条。平成20年9月1日民商2351号)。
そして,登記申請書には,公益認定を受けたことを証する書面を添付します(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律9条2項)。
なお,登録免許税は非課税です(登録免許税法5条14号,平成20年9月1日民商2351号通達)。
ウ・・誤りです。
設立時理事及び設立時監事は,選任後,遅滞なく,設立手続に法令若しくは定款に違反していないか調査しないといけません(法人法20条1項)。
しかし,その調査に関する書面を登記申請に添付する必要はありません。
エ・・正しいです。
監事を設置する一般社団法人には,監事の監査の範囲を会計に限定する旨を定款で定めることはできません(法人法99条ないし106条参照)。
そして,一般社団法人では,監事の監査の範囲を会計に限定する旨の定めは,登記事項ではありません(法人法301条2項8号参照)。
オ・・正しいです。
一般社団法人(財団法人)の公告方法は,
1 官報
2 日刊新聞紙
3 電子公告
4 法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示
という4つの方法があります(法人法331条1項,法人法施行規則88条1項)。
そして,法人法258条1項,2項において,債権者保護手続を規定しており,各別の催告を要求しています。
さらに,同条3項において「前項の規定にかかわらず、新設合併消滅法人が同項の規定による公告を、官報のほか、第331条第1項の規定による定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。」と規定し,これらの場合は,各別の催告を不要としています。
したがって,法人法331条1項4号の方法による公告方法の場合は,各別の催告を省略できません。
本肢の登記申請の場合は,新設合併消滅法人の知れている債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付する必要があります(法人法323条6号)。
以上から,エとオが正しいといえます。
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02
一般社団法人の登記に関する問題です。
アは誤りです。
一般的な会社と同様に公証人の認証を受けた定款は必要です。
イは誤りです。
この場合は公益認定による名称変更登記が必要になります。
わざわざ解散して設立しなおす必要はありません。
ウは誤りです。
設立時理事、設立時監事は選任後遅滞なく一般社団法人の設立の手続が法令又は定款に違反していないことを調査しなければなりません。
しかし証する書面は添付書類にはなりません。
エは正しいです。
監事を設置する一般社団法人には,会計監査限定の設定をすることはできません。
オは正しいです。
一般社団法人の新設合併において新設合併消滅法人の債権者保護手続きをしたことを証する書面は添付書類になります。
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03
商業登記法(一般社団法人の登記)に関する問題です。商業登記法に関する分野で、一般社団法人に関する問題はほぼ毎年1問出題されます。
(ア)一般社団法人の定款は、公証人の認証を受けなければその効力を生じません。そして、一般社団法人の設立登記には、公証人の認証を受けた定款を添付する必要があります。従って、本肢は誤りです。
(イ)公益認定を受けた一般社団法人又は一般財団法人は、その名称中、一般社団法人又は一般財団法人を、それぞれ公益社団法人又は公益財団法人と変更する定款の変更をしたものとみなされます。そのため、名称変更の登記を申請する必要があります。従って、本肢は誤りです。
(ウ)設立しようする一般社団法人が監事設置一般社団法人である場合、設立時理事及び設立時幹事は、遅滞なく一般社団法人の設立の手続きが法令又は定款に違反していないことを調査しなければなりません。しかしこの調査報告書は、設立登記の添付書面とはなっていません。従って、本肢は誤りです。
(エ)一般社団法人の監事は、業務監査権限と会計監査権限を有します。監事の権限に関して、一般社団法人の監事の監査の範囲を会計に関するものに限定することを認める規定は存在しません。よって、そのような限定をする旨は一般社団法人の登記事項とはされていません。従って、本肢は正しいです。
(オ)新設合併における債権者保護手続きに係る公告を、官報のほか、定款の定めに従い、時事に関する事項を掲載する日刊新聞誌又は電子公告によってした場合、債権者に対する格別の催告を省略することができます。しかし、本肢のように、公告を一般社団法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法によって行っています。この場合は、格別の催告を省略することはできません。従って、新設合併の設立登記には、知れている債権者に格別の催告をしたことを証する書面が必要なため、本肢は正しいです。
(ア)(イ)の論点は、非常に初歩的な論点なので、すぐに誤りだと判定できたと思います。そうすると、5択のうち、1番2番3番の選択肢が消去法で消えます。4番5番のうちのどちらかが正解になります。共通する(エ)は正しいとすぐにわかります。後は、(ウ)が間違いであるか、(オ)が正しいこと、どちらかを判別できれば、正解が導けます。
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