司法書士 過去問
令和6年度
問41 (午後の部 問6)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問41(午後の部 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  裁判所は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、その期日を経ずに、仮の地位を定める仮処分命令を発することができる。
イ  保全命令に対しては、その命令につき不服のある債務者は、即時抗告をすることができる。
ウ  保全命令が発せられた後であっても、保全命令の申立てを取り下げるには、債務者の同意を得ることを要しない。
エ  物の給付を命ずる仮処分の執行については、仮処分命令が債務名義とみなされる。
オ  不動産の占有移転禁止の仮処分命令の執行は、債務者に対してその不動産の占有の移転を禁止することを命ずるとともに、その旨の登記をする方法により行う。
  • アイ
  • アエ
  • イオ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (2件)

01

民事保全法が毎年1問出題されています。基本的な問題しか出ませんので落とさないようにしましょう。

 

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. アイ

ア: 仮の地位を定める仮処分は、原則として口頭弁論などの審尋の期日を経る必要があります。しかし口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、審尋の期日を経ることなく、仮処分命令を命令を発することができます。

 

イ: 保全命令の申立てを却下する裁判に対して、債権者は即時公告をすることができます。しかし、保全命令に対して債務者が即時公告をすることができるという規定はありません。

なお、保全命令に対して、債務者は保全異議又は保全取消をすることができます。

選択肢2. アエ

エ: 物の給付その他の作為又は不作為を命じる仮処分の執行については、仮処分命令が債務名義とみなされます。

選択肢3. イオ

オ: 不動産の占有移転禁止の仮処分命令の執行は、債務者に対してその不動産の占有の移転を禁止することを命ずるとともに、その旨を公示することによって行います。

選択肢4. ウエ

ウ: 保全命令などの取下げについては、相手方の同意を要しません。

選択肢5. ウオ

解説は他選択肢に記載しておりますので、そちらを参照してください。

まとめ

いずれも非常に基本的な問題ですので、民事保全法については基本的な知識の徹底にとどめ、深入りしないようにしましょう。

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02

民事保全は、訴訟での最終的な勝訴判決の実効性を確保するために、訴訟前または訴訟係属中に財産や権利の状態を仮に固定する制度です。仮差押えや仮処分の手続、保全命令に対する不服申立て、執行の方法など、条文や判例に基づく手続的なルールを正確に理解する必要があります。

選択肢3. イオ


仮の地位を定める仮処分でも、原則として債務者が出頭できる審尋の期日を設ける必要があります(民事保全法23条2項)。ただし、審尋を経ることで仮処分の目的を達成できなくなるおそれがある場合には、審尋を省略して命令を出すことも可能です。
この例外は法律に明記されており、本記述は正しいです。


保全命令に対しては、原則として即時抗告が認められています(民事保全法26条)。しかし、仮差押え命令や仮処分命令については、債務者だけでなく債権者も即時抗告が可能であることや、命令の種類によっては抗告が制限されるケースがあるため、「債務者が即時抗告できる」とだけ述べているこの記述は、一部の状況を除外しており不正確な表現です。

条文の趣旨を踏まえると本記述は誤りです。


保全命令の申立ては、命令発令後であっても取り下げが可能であり、その際に債務者の同意を得る必要はありません(民事保全法21条2項)。これは、保全手続があくまで債権者の申立てに基づくものだからです。
本記述は正しいです。


物の給付を命じる仮処分は、仮執行として行うことができる特殊な仮処分であり、その執行については、仮処分命令が債務名義とみなされます(民事執行法165条1項)。たとえば、動産の引渡しなどがこれに該当します。この制度は、一定の仮処分について実質的に強制執行と同様の効果を認めるものです。
本記述は正しいです。


不動産の占有移転禁止の仮処分は、債務者に対して占有の移転を禁止する旨の命令を出すことと、その旨を登記することで第三者に対抗できるようにすることが求められます(民事執行法54条)。本記述では「登記をする方法により行う」とのみ記載されており、
占有移転禁止の意思表示(命令)と登記の両方によって効力が生じるという点を欠いており不正確です。
本記述は誤りです。

まとめ

民事保全に関する問題では、仮処分の要件や手続の流れ、保全命令の取り下げ、命令に対する不服申立て、執行手続など、細かなルールが数多く存在します。仮差押えや仮の地位を定める仮処分など、制度の違いを意識しながら、条文の文言と運用の実態を結びつけて整理しておくことが重要です。

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