問題
(注)図において、問いに関連した部分及び直接関係のない部分等は、省略又は簡略化してある。
②に示す避雷器の設置に関する記述として、不適切なものは。
答えは(2)です。
もし限流ヒューズが施設されていた場合、雷によって受電設備に、
異常電圧が発生した時ヒューズが溶断され、受電設備電路から避雷器が、
切り離された場合、異常電圧を地表に逃がすことが出来なくなってしまう為、
(2)が不適切です。
(1)は図を見ると。避雷器の一次側に断路器(DS)が接続されている為、正しいです。
(3)は避雷器にはA種接地工事が正しいです。
(4)は受電電力が500kW未満だと設置義務はありませんが、雷が多い地域で、
異常電圧が発生する可能性が高いと思われる場合は、引き込み口付近に、
避雷器を設置することを推奨されている為、正しいです。
答えは(2)番です。
避雷器とは、
SPDやLAとも言われる物で、
高圧回路における異常電圧事故は雷によるものが多く、
その際に発生するサージ電圧と言う瞬間異常電圧から
回路を守る機器です。
※避雷器と言われていますが負荷の開閉時に起る
開閉サージに起因する異常電圧等からも回路を守る事が出来ます。
避雷器は電柱などから引き込みを行う場合、
PASなどの開閉器と一緒に設置される事が多いです。
関係基準としては下記があげられます。
高圧、特高の電路中次に該当する部分には避雷器を設置しなければいけない。
・発電所、変電所これに準ずる架空電線の引込口
・架空電線路に設置する変圧器の高圧側
・500kW以上の需要場所の引込口
・特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口
(上記の場所であっても電線が短い場合等一部条件下ではこの規定によらない)
避雷器にはA種接地工事を施す。
これらを踏まえて各選択肢を解説します。
1 .保安上必要なため、
避雷器には電路から切り離せるように断路器を施設した。
これは正しいです。
避雷器は開閉器と一緒に設置される事が多いです。
2 .避雷器には電路を保護するため、
その電源側に限流ヒューズを施設した。
避雷器の点検の為にヒューズでは無く素通し銅線を使って
限流ヒューズを施設する場合がありますが、
(これはあくまで断路機能のみの利用を目的としています)
回路保護の為には施設しません。
避雷器以前で回路を開放してしまうと
避雷器本来の働きの妨げになってしまいます。
よってこれは誤りです。
3 .避雷器の接地はA種接地工事とし、
サージインピーダンスをできるだけ低くするため、
接地線を太く短くした。
記述通り避雷器はA種接地工事です。
サージインピーダンスというのは雷サージによる接地抵抗は
接地に含まれるインダクタンスなどの関係で実際の抵抗値が変わります。
よって、その差を無くすことが望ましいですが
対応としては使用電線を太く短くすることが効果的です。
4 .受電電力が500kW未満の需要場所では避雷器の設置義務はないが、
雷害の多い地域であり、
電路が架空電線路に接続されているので、
引込口の近くに避雷器を設置した。
500kW未満の需要場所では避雷器の設置義務はありませんが
雷害の多い地域であれば避雷器の設置が推奨されます。
よってこの記述は正しいです。
答えは(2)「避雷器には電路を保護するため、その電源側に限流ヒューズを施設した。」です。
避雷器は異常衝撃が機器に侵入することを防止するために、線路と大地間に接続する装置です。
限流ヒューズを施設すると避雷器の保護回路が適切に動作しません。
【避雷器】
架空送配電線路に接続する機械器具を雷電圧その他の異常電圧による絶縁破壊から保護するための電気機器です。
受電設備の避雷器は引込口に近い場所に施設します。
【限流ヒューズ】
定格電流によって溶断するときに高いアーク電圧を発生し、電流の増加を抑えます。