第一種電気工事士 過去問
令和4年度(2022年) 午前
問5 (一般問題 問5)

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問題

第一種電気工事士試験 令和4年度(2022年) 午前 問5(一般問題 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

図のような三相交流回路において、電源電圧は200V、抵抗は8Ω、リアクタンスは6Ωである。この回路に関して誤っているものは。
問題文の画像
  • 1相当たりのインピーダンスは、10Ωである。
  • 線電流Iは、10Aである。
  • 回路の消費電力は、3200Wである。
  • 回路の無効電力は、2400varである。

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この過去問の解説 (3件)

01

三相交流回路にかんする計算問題です。三相交流は特に計算問題の中でも難しい方ですが、いくつかのルールが分かっていれば解ける問題もあります。

まず、図の左側のように、線の間の電圧がすべて200[V]と書いてありますが、これを線間電圧と呼びます。一方で右側の抵抗とコイルが3セットありますが、1セットの両端(電線から中心の点まで)にかかる電圧を相電圧と呼び、線間電圧の1/√3 倍になります。

上記を踏まえてから各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 1相当たりのインピーダンスは、10Ωである。

インピーダンスは

Z=√(R2+X2)

なので 82+62=100=102

となるので正しいです。

電気工事士の問題では

・抵抗が3の倍数、リアクタンスが4の倍数、インピーダンスが5の倍数

・抵抗が4の倍数、リアクタンスが3の倍数、インピーダンスが5の倍数

のどちらかしか出ません。なので、(6,8,10)(9,12,15)ぐらいの組み合わせを覚えておくとよいと思います。

選択肢2. 線電流Iは、10Aである。

上記の通り相電圧は200/√3、インピーダンスは別の選択肢より10[Ω]となります。

ルートが入っていますので、計算しなくてもこの選択肢が間違いと分かります。

ちなみに、200/10√3=20/√3≒11.5[A]ぐらいになります。

選択肢3. 回路の消費電力は、3200Wである。

三相交流の電力はひとつの相の電力を求め、3倍します。

W(ワット)は抵抗側の電力(有効電力)のことです。従って、

P1=I2R

で、R=8、ほかの選択肢よりI=20/√3、I2=400/3となるので

P1=3200/3 です。3倍すれば分母がなくなるのでP=3200[W]で正しいです。

選択肢4. 回路の無効電力は、2400varである。

無効電力は、コイルorコンデンサにかかる電力を求めます。求め方は抵抗と同じです。

従って1相あたりの無効電力は

Q1=I2X

でX=6,I2=400/3

X1=2400/3 なのでXは3倍して2400[var]となりますので正しいです。

まとめ

この問題が分かればスター結線の三相交流に関する問題は大体解けると思います。

・線間電圧と相電圧の関係(1/√3)

・電力の求め方(1相をもとめて3倍する)

・インピーダンス(抵抗&リアクタンス)の比率(3:4:5)

を理解しておきましょう。

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02

スター結線と言われるものです。

この結線方式の解き方は中性線を1本追加してあげることがポイントになります。

その結果単相として解くことができます。

電流I=VP/Z

Z=√82+62=10Ω

VPは相電圧のことでVLは線間電圧で今回だと200Vです。

この関係性はVL=√3VPです。

Iを求めるとI=VP/Z=20/√3

以上から問題を解いていきます。

選択肢1. 1相当たりのインピーダンスは、10Ωである。

Z=√82+62=10Ωで問題ありません。

選択肢2. 線電流Iは、10Aである。

Z=√82+62=10Ω

VP=VL/√3=200/√3

I=VP/Z=20/√3

よって誤りです。

選択肢3. 回路の消費電力は、3200Wである。

一相分の有効電力がP=IRです。

3相なのでP=3IRになります。

P=3IR=3×(20/√3)2×8=3200W

問題ありません。

選択肢4. 回路の無効電力は、2400varである。

一相分の無効電力がQ=IXです。

3相なのでP=3IXになります。

P=3IX=3×(20/√3)2×6=2400var

問題ありません。

まとめ

中性線を引くことで簡単に問題を解くことができます。

電力を求めるときは最後に単相から3相にすることを忘れないようにしましょう。

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03

三相交流回路の問題は、スター結線の1相分の回路を抜き出して計算すると比較的簡単に問題を解くことができます。

 

選択肢1. 1相当たりのインピーダンスは、10Ωである。

抵抗R=6Ω、リアクタンスX=8Ωより、

インピーダンスZ=√(62+82)=10Ω

よって、この文章は正しい。

選択肢2. 線電流Iは、10Aである。

1相分の回路を抜き出して計算します。電源をスター結線に置き換え、中性線同士を線で結んで1相分の回路を抜き出します。

ここで、注意が必要なのが、スター結線で1相分回路を抜き出したとき、相電圧VPで考えなければなりません。

問題で与えられているのは線間電圧Vです。三相交流回路のスター結線の場合、

VP=V/√3=200/√3

となります。

インピーダンスZ=10Ωなので、相電流IPはオームの法則より、

IP=VP/Z=200/√3/10=20/√3

スター結線の場合、線電流I=相電流IPなので、

I=20/√3≠10

よってこの文章は誤り。

 

選択肢3. 回路の消費電力は、3200Wである。

三相交流回路の消費電力(有効電力)Pは

P=√3VIcosθ

で求められます。

cosθ=8/√(82+62)=0.8

よって、

P=√3×200×20/√3×0.8=3200W

よって,この文章は正しい

選択肢4. 回路の無効電力は、2400varである。

三相交流回路の無効電力Qは

Q=√3VIsinθ

で求められます。

sinθ=√(1-cos2θ)=√(1-0.82)=0.6

よって、

Q=√3×200×20√3×0.6=2400var

よってこの文章は正しい。

まとめ

三相交流回路は一層分を抜きだすと、比較的簡単に解けます。

その際、以下の関係は覚えておきましょう。

スター結線の場合、

線間電圧V=√3×相電圧VP

線電流I=相電流IP

Δ結線の場合、

線間電圧V=相電圧VP

線電流I=√3×相電流IP

 

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