第一種電気工事士 過去問
令和5年度(2023年) 午前
問9 (一般問題 問9)

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問題

第一種電気工事士試験 令和5年度(2023年) 午前 問9(一般問題 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

図のように、三相3線式高圧配電線路の末端に、負荷容量100kV・A(遅れ力率0.8)の負荷Aと、負荷容量50kV・A(遅れ力率0.6)の負荷Bに受電している需要家がある。
需要家全体の合成力率(受電端における力率)を1にするために必要な力率改善用コンデンサ設備の容量[kvar]は。
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この過去問の解説 (2件)

01

力率改善に関する問題です。

問題を解くにあたり、まずは電力と力率について解説します。

 

交流回路には三種類の電力があり、次の通りです。

・皮相電力 S = VI[V・A]

・有効電力 P = Scosθ[W]

・無効電力 Q = Ssinθ[var]

 

上のベクトル図と一緒にイメージするとわかりやすいかもしれません。

 

次に力率についてですが、力率はcosθで求められ、力率改善とは、cosθの値を1に近づけることをいいます。

また、電圧に対して電流の位相が遅れる力率を遅れ力率といい、電圧に対して電流の位相が進む力率を進み力率といいます。

 

この問題では、需要家全体の合成力率を1にするために必要な、力率改善用コンデンサ設備の容量を問われています。

つまり、需要家全体の無効電力(負荷A、Bによって生じる無効電力)の大きさが答えになります。

 

 

負荷Aの有効電力PAは、

PA = SAcosθ

 = 100k×0.8

 = 80k[W]

ベクトル図より、負荷Aの無効電力QAは、

QA = √(1002 - 802)k

 = 60k[var] ・・・①

 

同様に、負荷Bの有効電力PBは、

PB = SBcosθ

 = 50k×0.6

 = 30k[W]

ベクトル図より、負荷Bの無効電力QBは、

QB = √(502 - 302)k

 = 40k[var] ・・・②

 

①と②の和、つまりQは

Q = 60k + 40k

 = 100[kvar]

となります。

選択肢3. 100

本肢が正解です。

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02

負荷 A、負荷 B、力率改善用コンデンサに流れる電流をそれぞれ、IA、IB、IC とします。受電端電圧をEとして、Eを位相の基準にとって、電流のベクトル図を描くと図のようになります。ここで、I = IA + IB + IC は配電線を流れる電流です。θA と θB はそれぞれ負荷Aと負荷Bにおける電流と電圧の位相差です。

 

 

問題の条件から次式が成り立ちます。
 

 cos θA = 0.8
 cos θB = 0.6

回路は負荷容量の限界で動作しているものとすると、
 

 |IA| = 100 × 103 / |E|
 |IB| = 50 × 103 / |E|

です。コンデンサの容量はこのときIとEが同相になるように決めればよいです。このためには次式が成り立てばよいです。
 

 |IC| = |IA| sin θA + |IB| sin θB 

  = 100 × 103 / |E| × √(1 − 0.82) + 50 × 103 / |E| × √(1 − 0.62

  = 100 × 103 / |E| [A]

よって、コンデンサの容量は |E||IC| = 100 × 103 [var] = 100 [kvar] となります。

選択肢1. 40

値が異なります。  

選択肢2. 60

値が異なります。 

選択肢3. 100

正解です。

選択肢4. 110

値が異なります。 

まとめ

力率改善の問題ですが、回路各部の電流・電圧のベクトル図を描いて考えれば、コンデンサの容量に関する条件がわかりやすくなります。

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