第一種電気工事士 過去問
令和5年度(2023年) 午前
問18 (一般問題 問18)
問題文
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問題
第一種電気工事士試験 令和5年度(2023年) 午前 問18(一般問題 問18) (訂正依頼・報告はこちら)
- 電流容量が大きく、送電容量が増加する。
- 電線表面の電位の傾きが下がり、コロナ放電が発生しやすい。
- 電線のインダクタンスが減少する。
- 電線の静電容量が増加する。
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この過去問の解説 (3件)
01
多導体方式とは、高電圧・大電力の送電において、1つの相に複数の導体を使用する方式です。
これは、特に長距離の高電圧送電で利用される技術であり、電力損失の低減や電力容量の増加、電圧降下の抑制などに寄与します。
多導体方式を採用することで、電線表面の電位の傾き(電場強度)は下がり、コロナ放電が発生しにくくなるため、誤りです。
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02
この問題は、単導体方式と比較した場合の 多導体方式(バンドル導体) の特性について問うものです。多導体方式は、送電線に複数の導体を並列に配置する方式であり、高電圧送電線でよく採用されます。この方式には、送電容量の向上やインダクタンスの低減、静電容量の増加などの特性があります。各選択肢を確認し、誤った記述を特定します。
多導体方式では、単導体と比べて 電流容量が増加し、送電容量も向上 します。これは、インダクタンスの低減と静電容量の増加による影響です。この記述は正しいです。
この選択肢は不正解です。
多導体方式の利点の一つは、電線表面の電位傾度を低減し、コロナ放電の発生を抑制 することです。この選択肢の「コロナ放電が発生しやすい」という記述は誤りです。
この選択肢は正解です。
多導体方式では、相互誘導の影響によって インダクタンスが減少 します。これにより、電力損失が低減し、送電効率が向上します。この記述は正しいです。
この選択肢は不正解です。
多導体方式を採用すると、導体間の静電容量が増加します。これは、導体間の距離が近くなり、電荷がより蓄えやすくなるためです。この記述は正しいです。
この選択肢は不正解です。
多導体方式は、コロナ放電を抑制する効果がある ため、「コロナ放電が発生しやすい」という記述は誤りです。多導体方式の特性として、送電容量の増加、インダクタンスの低減、静電容量の増加 などが挙げられます。送電線の設計に関する基本的な特性を正しく理解し、誤った記述を見抜けるようにしましょう。
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03
多導体方式の架空送電線路に関する正誤問題です。多導体方式とは1つの相の電力を複数の電線で送る方式のことです。導体全体の表面積が増えるので、導体表面の電界が小さくなり、コロナ放電が起こりくいという特長があります。
断面の半径がrである1つの導体を、合計が同じ断面積となる2つの導体に分割すると、分割後の導体の半径は、r/2ではなく r/√2 です。(断面は円であると仮定しています。)つまり、半径は1/2にはならず、1/√2 = 0.7倍にしかなりません。
また、表面積は半径に比例するので、2つの導体の表面積の合計は、もとの導体の(1/√2)×2=√2=1.4 倍になります。一般に、物体は、分割すればするほど、その表面積は増えます。
以上のことを念頭において、それぞれの設問を見ていきます。
この記述は正しいです。
他の設問にありますが、多導体方式では、電線の単位長さあたりのインダクタンスが減少します。このため、電流の大きさが同じならば、電線による電圧降下が減少します。同じ電圧降下を許容するならば、相対的に多くの電流が流せることになるでしょう。また、電流が導体の中心よりも表面近くを流れる表皮効果が強ければ、表面積の大きい多導体方式のほうが、多くの電流を流せると考えられます。
この記述は誤りです。電線表面の電位の傾きが下がることは正しいですが、コロナ放電が発生しやすいというのは誤りです。電位の傾きが下がるということは、一定距離間の電位差(電圧)が下がるということなので、空気中の電流の流れ(放電)は起きにくくなります。
一般に、導体の表面積が増えると、導体表面の電界は小さくなる傾向にあります。なぜなら、単導体方式でも多導体方式でも、導体の電圧が同じならば導体に出入りする全電束は変わらないので、導体の表面が広くなると、その分だけ、単位面積あたりの電束(電束密度という)は小さくなるからです。電界(電位の傾き)は電束密度に比例するので、表面積が増えると、電界もやはり小さくなります。実際には、導体表面の電界は同じ大きさではなく、強いところと弱いところがあり、単導体方式と多導体方式ではその偏り方も異なります。また、放電で問題となるのは電界の強いところです。しかし、電界の偏りに違いがあったとしても、表面積が大きい方が、最大の電界も小さくなるであろうことは想像できます。
この記述は正しいです。
電線の単位長さあたりのインダクタンスは、導体の半径が小さくなれば、大きくなります。したがって、多導体方式の1本の電線のインダクタンスは単導体方式の電線のインダクタンスより大きいです。また、導体を複数にすれば、互いに他の導体からの影響を相互インダクタンスという形で受けることになります。
しかし、一方で、多導体方式はとても大きな並列回路で電気を送っているのと同じことです。1つの電線のインダクタンスをLとし、これをもし2本並列につないだとすれば、その合成インダクタンスはL/2になります。ですから、Lが単導体方式の電線のインダクタンスより大きいにしても、その2倍よりも小さければ、合成インダクタンスの方が、もとの電線のインダクタンスよりも小さいことになります。実際、導体の半径が小さくなったことと他の導体が存在することによる (1本の電線の)インダクタンスの増加は、単導体の方式のインダクタンスの2倍を超えることはなく、多導体方式の合成インダクタンスは単導体方式のインダクタンスより小さくなります。
この記述は正しいです。
表面積が増えると、静電容量は大きくなる傾向にあります。これは、静電容量は、電荷のたまりやすさであり、導体と大地間の静電容量はこの間に一定の電圧をかけたときに、導体の表面に誘導される電荷の総和で定義されるからです。同じ電圧をかけても、表面積が広いと、電荷間の反発が緩和されるので、多くの電荷が誘導されます。実際に誘導される電荷は導体表面に同じ密度で生じるわけではなく、多いところと少ないところができますが、その総和は面積が広い方が大きくなるだろうことは想像できます。
架空送電線の多導体方式の特徴をまとめておきます。
1. 電線表面の電位の傾き (電界) が減少する。
2. 単位長さ当たりの静電容量が増加する。
3. 単位長さ当たりのインダクタンスが減少する。
4. 送電容量が増加する。
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