第一種電気工事士 過去問
令和5年度(2023年) 午前
問30 (一般問題 問30)

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問題

第一種電気工事士試験 令和5年度(2023年) 午前 問30(一般問題 問30) (訂正依頼・報告はこちら)

図は、自家用電気工作物構内の受電設備を表した図である。この図に関する各問いには、4通りの答えが書いてある。それぞれの問いに対して、答えを1つ選びなさい。
〔注〕図において、問いに直接関係のない部分等は、省略又は簡略化してある。

①に示す高圧引込ケーブルに関する施工方法等で、不適切なものは。
問題文の画像
  • ケーブルには、トリプレックス形6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルを使用して施工した。
  • 施設場所が重汚損を受けるおそれのある塩害地区なので、屋外部分の終端処理はゴムとう管形屋外終端処理とした。
  • 電線の太さは、受電する電流、短時間耐電流などを考慮し、一般送配電事業者と協議して選定した。
  • ケーブルの引込口は、水の浸入を防止するためケーブルの太さ、種類に適合した防水処理を施した。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、高圧配電用ケーブルの施工方法 について、不適切な施工方法を選ぶものです。ケーブルの配線では、適切な種類のケーブルを使用することはもちろん、電磁誘導の影響や放熱対策などを考慮した施工が求められます。特に、高圧ケーブルは長距離の配線になることが多く、誤った施工方法では電圧降下や絶縁劣化のリスクが高まるため、適切な施工が必要です。

選択肢1. ケーブルには、トリプレックス形6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルを使用して施工した。

トリプレックス形(3心一括シース)ケーブルは、高圧電力線として広く使用されており、耐熱ポリエチレン絶縁のものは高温環境にも耐えられる仕様です。この施工方法は適切です。
この選択肢は不正解です。

選択肢2. 施設場所が重汚損を受けるおそれのある塩害地区なので、屋外部分の終端処理はゴムとう管形屋外終端処理とした。

高圧ケーブルは温度の影響を受けやすいため、高温環境下では適切な断熱処理や放熱対策を施す必要があります。高温箇所で耐熱外装の措置を行わずに配線すると、絶縁劣化やケーブルの早期損傷の原因となる ため、この施工方法は不適切です。
この選択肢は正解です。

選択肢3. 電線の太さは、受電する電流、短時間耐電流などを考慮し、一般送配電事業者と協議して選定した。

高圧ケーブルの接続部では、電圧降下や接触抵抗を抑えるために、適切な圧縮接続端子を用いることが一般的です。この施工方法は適切です。
この選択肢は不正解です。

選択肢4. ケーブルの引込口は、水の浸入を防止するためケーブルの太さ、種類に適合した防水処理を施した。

高圧ケーブルの配線では、湿気の侵入による絶縁低下を防ぐために、防水処理を施すことが求められます。特に、立ち上げ部分の処理は重要であり、適切な防水対策を施すことは正しい施工方法です。
この選択肢は不正解です。

まとめ

高圧ケーブルの施工では、適切な耐熱対策、防水処理、圧縮接続端子の使用 などが必要です。特に、高温環境下での布設において 耐熱外装の措置を行わないことは、絶縁劣化を引き起こし、長期的な安全性に悪影響を与える ため、不適切な施工方法となります。

実務では、ケーブルの布設環境に応じて適切な材料と保護措置を講じることが重要です。施工基準や技術基準に基づいた適正な処置を行うことで、電力設備の信頼性を向上させることができます。

 

 

 

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02

高圧ケーブルの引込みについては、接続部の状況 (キュービクル内、屋内、屋外、塩害の有無)に応じた施工が求められます。終端接続部の処理には、(1)先端部をテープで巻く、(2)ゴムとう管で保護する、(3)がい管で保護するなどの方法があり、この順に環境の変化に強くなります。ゴムとう管は、雨覆とストレスコーン(電気的ストレスを緩和するためのケーブルの保護)を合体させた、ゴム製の一体成型部品であり、これをケーブル先端の接続部に施工するものです。

選択肢1. ケーブルには、トリプレックス形6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルを使用して施工した。

正しい施工方法です。

選択肢2. 施設場所が重汚損を受けるおそれのある塩害地区なので、屋外部分の終端処理はゴムとう管形屋外終端処理とした。

ゴムとう管は塩害に対する耐性が十分ではありません。塩害がある場所では、ゴムでなく陶器で成型した「がい管形終端接続」を用いるのが適当です。

選択肢3. 電線の太さは、受電する電流、短時間耐電流などを考慮し、一般送配電事業者と協議して選定した。

正しい施工方法です。

選択肢4. ケーブルの引込口は、水の浸入を防止するためケーブルの太さ、種類に適合した防水処理を施した。

正しい施工方法です。

まとめ

以下は少し古い資料ですが、終端処理の詳しい説明があります。
 

高圧ケーブル用終端接続部について、JCAA 技術報告第2号、1992年11月、
https://www.jpcaa.or.jp/pdf/gijyutu/report2.pdf

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03

自家用電気工作物構内の受電設備に関する問題です。

図からどのような場所と状況かを読み解けるようにしていきましょう。

選択肢1. ケーブルには、トリプレックス形6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルを使用して施工した。

誤:ケーブルにはトリプレックス形架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルを用います。

熱放射が良く、許容電流値が大きいためにメリットが多いです。

選択肢2. 施設場所が重汚損を受けるおそれのある塩害地区なので、屋外部分の終端処理はゴムとう管形屋外終端処理とした。

正:塩害地区には、耐塩害型を用います。

ゴムストレスコーンを用いています。

ゴムとう管形はゴムとう管の中にストレスコーンが収納されています。

ストレスコーンで高圧ケーブル末端の電位傾度を緩和します。

ケーブルヘッド(週末接続部)の事項でそれぞれの特徴を捉えて類似問題に備えましょう。

選択肢3. 電線の太さは、受電する電流、短時間耐電流などを考慮し、一般送配電事業者と協議して選定した。

誤:電線の太さは、受電する電流、短時間帯電流等を考慮し、一般送配電事業者と協議した上で選定します。

 

選択肢4. ケーブルの引込口は、水の浸入を防止するためケーブルの太さ、種類に適合した防水処理を施した。

誤:ケーブルの引込口は、ケーブルの太さ、種類に適合した防水処理を施します。

適合していないと漏電、電気火災等に繋がります。

まとめ

自家用電気工作物の高圧引込ケーブルに関する問題でした。

施工方法や事前の協議についてでしたが、しっかりしておかないと後々大きな災難になりかねます。

日々の管理も重要ですが、施工前のこうした対策で事故を事前に防ぐことが出来ます。

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