二級建築士 過去問
令和2年(2020年)
問87 (学科4(建築施工) 問12)

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問題

二級建築士試験 令和2年(2020年) 問87(学科4(建築施工) 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • ターンバックル付き筋かいを有する建築物であったので、その筋かいを活用して建入れ直しを行った。
  • 柱の現場溶接継手において、エレクションピースに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けた。
  • 高力ボルト接合による継手の仮ボルトは、本接合のボルトと同軸径の普通ボルトを用い、締付け本数は、一群のボルト数の1/3以上、かつ、2本以上とした。
  • 高力ボルト摩擦接合において、接合部の材厚の差により生じた肌すきが1.0mmであったので、フィラープレートを挿入せず、そのまま締め付けた。
  • 高力ボルト用の孔あけ加工は、接合面をブラスト処理する前に行った。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

最も不適当なものを選びます。

1. 記述は誤りです。

 ターンバックル付きの筋かいを有する構造物においては、そのターンバックル付き筋かいを用いて建入れ直しは行ってはなりません。

建入れ直しについては、架構の倒壊防止用ワイヤロープを兼用します。

2. 記述は正しいです。

 柱の現場溶接継手において、エレクションピースに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けます。
また、混合接合、併用継手に用いる仮ボルトは1群の1/2かつ2本以上とします。

3. 記述は正しいです。

 高力ボルト接合による継手の仮ボルトは、本接合のボルトと同軸径の普通ボルトを用い、締付け本数は、一群のボルト数の1/3以上、かつ、2本以上とします。

4. 記述は正しいです。

 高力ボルト摩擦接合において、接合部の材厚の差により生じた肌すきが1.0mmであった場合、フィラープレートを挿入せず、そのまま締め付けます。

5. 記述は正しいです。

 高力ボルト用の孔あけ加工は、接合面をブラスト処理する前に行います。

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02

正解は1です。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

1→ターンバックル付き筋交いを用いて建て入れ直しを行ってはいけません。

よって設問の内容は誤りです。

倒壊防止用のワイヤーロープを使用する場合は、ワイヤーロープを建て入れ直し用に兼用することができます。

2→設問の内容は正しいです。

柱の現場継手においてエレクションピースなどに使用する仮ボルトは高力ボルトを使用して全数締め付けます。

3→設問の内容は正しいです。

高力ボルト継手では1/3程度かつ2本以上をバランスよく配置し締め付けます。

4→設問の内容は正しいです。

接合部には出す気がある場合は、肌すきが1㎜以下では処理は不要です。

1㎜を超える場合はフィラープレートを入れる必要があります。

5→設問の内容は正しいです。

高力ボルトの孔あけ加工について、接合面をブラスト処理する場合、ブラスト前に孔あけ加工を行います。

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03

鉄骨工事に関する記述のうち、誤っているものを選びます。

鉄骨工事に関しては、建築工事標準仕様書(JASS6)や、公共工事標準仕様書に詳細が記載されています。

上記二つは記述に若干の違いがありますが、実務では設計図に記載がありますので、指定された仕様書を採用することになります。

選択肢1. ターンバックル付き筋かいを有する建築物であったので、その筋かいを活用して建入れ直しを行った。

建築工事標準仕様書(JASS6)に建て入れ直しに関する記述があります。

・部材をいためないように、加力部分を養生する

・ターンバックル付き筋交いを有する構造物の、筋交いを用いてひずみ直しを行ってはならない

よって、設問の記述は誤りです。

選択肢2. 柱の現場溶接継手において、エレクションピースに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けた。

公共工事標準仕様書の鉄骨工事、建方に仮ボルトに関する記述があります。

柱や梁を現場溶接接合とする場合、エレクションピースの仮ボルトは、高力ボルトを使用し、全て締め付ける。

とありますので、設問の記述は正しいです。

選択肢3. 高力ボルト接合による継手の仮ボルトは、本接合のボルトと同軸径の普通ボルトを用い、締付け本数は、一群のボルト数の1/3以上、かつ、2本以上とした。

公共工事標準仕様書の鉄骨工事、建方に仮ボルトに関する記述があります。

仮ボルトは、本接合のボルトと同軸径の普通ボルト等で、

数は、一群のボルト数の 1/3 以上、かつ、2本以上とする。

とありますので、設問の記述は正しいです。

選択肢4. 高力ボルト摩擦接合において、接合部の材厚の差により生じた肌すきが1.0mmであったので、フィラープレートを挿入せず、そのまま締め付けた。

フィラープレートとは、厚みの違う部材を接合する際に生じる隙間を埋めるためのプレートです。

また、この隙間を「肌すき」と呼びます。

公共工事標準仕様書に高力ボルトの組立に関する項目に、「1mmを超える肌すきがある場合は、フィラープレートを入れる」とあります。

よって、設問の記述は正しいです。

選択肢5. 高力ボルト用の孔あけ加工は、接合面をブラスト処理する前に行った。

ブラスト処理とは、細かい粒を噴射して、鋼材の表面を荒くして、摩擦を良くするための処理のことです。

穴あけ加工の後にブラスト処理を行うことで、穴あけの際にできてしまった、バリ等も除去することができます。

逆に、ブラスト処理の後に穴あけ加工をすると、穴あけ周囲にバリなどが残ってしまい、ボルトの摩擦力が十分に出ないことがあります。

よって、設問の記述は正しいです。

まとめ

設問を読む際に、「以上・以下・超える・未満」の意味の違いに気をつけましょう。

特に、「超える」「未満」はその数値を含まないので間違えやすいです。

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