二級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科3(建築構造) 問19

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問題

二級建築士試験 令和3年(2021年) 学科3(建築構造) 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 建築物の各階の剛性率は、「各階の層間変形角の逆数」を「全ての階の層間変形角の逆数の相加平均の値」で除した値である。
  • 中程度の(稀に発生する)地震動に対して、建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じないことは、耐震設計の要求性能の一つである。
  • 耐震設計における二次設計は、建築物が弾性限を超えても、最大耐力以下であることや塑性変形可能な範囲にあることを確かめるために行う。
  • 鉄骨造の建築物において、保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。
  • 杭基礎において、基礎の根入れの深さが2m以上の場合、基礎スラブ底面における地震による水平力を低減することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

1:正。

剛性率は、「各階の層間変形角の逆数」を「全ての階の層間変形角の逆数の相加平均の値」で除した値となります。

2:正。

中程度の地震動に対して、建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じないことは、耐震設計の一次設計として要求されます。

3:正。

耐震設計における二次設計は、建築物が弾性限を超えても最大耐力以下であることや塑性変形可能な範囲にあることを確かめるために行います。

4:誤。

保有耐力接合は、大地震時に構造物が終局状態に達するまで構造部材の接合部が破壊しないように、部材が持っている耐力を発揮できるように接合することです。

接合部の耐力が母材の耐力より大きくなるように破断の検討を行います。

局部座屈を防止するためではないので、誤りです。

5:正。

杭基礎において、基礎の根入れ深さが2m以上の場合、基礎スラブ底面における地震による水平力を低減することができます。

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02

最も不適当な選択肢は、

「鉄骨造の建築物において、保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。」

です。

保有耐力接合の検討では、母材の耐力が十分に発揮できるように、接合部の耐力が母材の耐力を上回ることを確認します。

局部座屈の検討は関係ありません。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

選択肢1. 建築物の各階の剛性率は、「各階の層間変形角の逆数」を「全ての階の層間変形角の逆数の相加平均の値」で除した値である。

正しい選択肢です。

剛性率は、「各階の層間変形角の逆数」/「全ての階の層間変形角の逆数の、相加平均の値」です。

剛性率が大きい方が建築物のバランスが良く、剛性率を0.6以上とすることが定められています。

選択肢2. 中程度の(稀に発生する)地震動に対して、建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じないことは、耐震設計の要求性能の一つである。

正しい選択肢です。

耐震設計では、地震の規模に応じて2段階(中程度、最大級)の性能が要求されています。

中程度の(稀に発生する)地震に対しては、建築物の構造耐力上主要な部分が損傷しないことを検証します。

※一部の構造の損傷や非構造部材の損傷は許容します

最大級の(極めてまれに発生する)地震に対しては、建築物が倒壊、崩壊等しないことを検証します。

※建築物が倒壊、崩壊等しない程度の、構造耐力上主要な部分の損傷は許容します

選択肢3. 耐震設計における二次設計は、建築物が弾性限を超えても、最大耐力以下であることや塑性変形可能な範囲にあることを確かめるために行う。

正しい選択肢です。

耐震設計における二次設計は、建築物が大地震時に崩壊、倒壊しないことを確認するために行います。

具体的には、建築物が弾性限度を超えて、弾塑性変形・塑性変形が始まっても、耐力を維持し、粘り強い変形を続けられるか確かめます。

※参考

建物の破壊は、以下の流れで発生します。

弾性(力を取り除くと元に戻る)

→弾塑性(弾性と塑性の中間)

→塑性(力を取り除いても変形が残る)

→崩壊

弾性域を超えた後の弾塑性・塑性域の範囲が広くなるように耐震設計を行うことで、建物が損傷した後でも粘り強く持ちこたえ、崩壊まで十分な猶予がある安全な建物を計画することができます。

選択肢4. 鉄骨造の建築物において、保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。

不適当な選択肢です。

保有耐力接合の検討では、母材の耐力が十分に発揮できるように、接合部の耐力が母材の耐力を上回ることを確認します。

接合部の耐力と母材の耐力を比較し、接合部>母材 を検討するものなので、局部座屈とは関係がありません。

なお、局部座屈の検討は、母材の幅厚比から行います。

※参考

鉄骨造の場合、大スパンの母材をそのまま現場へ搬入するのは困難であるため、母材を短く分割し、継手を設けて母材を接合します。

一方、構造計算上は、接合部は十分な耐力を持つため破断しないという前提で、継手の無い1本の母材として検討を行います。

上述の前提から、接合部の耐力が母材の耐力よりも大きいことを確かめる必要があり、このことを「保有耐力接合の検討」と言います。

選択肢5. 杭基礎において、基礎の根入れの深さが2m以上の場合、基礎スラブ底面における地震による水平力を低減することができる。

正しい選択肢です。

杭基礎の場合、水平力に対しては原則として杭のみで支持します。

ですが、基礎の根入れ深さが2m以上の場合は、基礎の根入れ部分でも水平力を負担させることができるため、基礎スラブ底面(杭)における水平力を低減することができます。

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03

耐震設計に関する問題です。

選択肢1. 建築物の各階の剛性率は、「各階の層間変形角の逆数」を「全ての階の層間変形角の逆数の相加平均の値」で除した値である。

正しい内容です。

剛性率は、各階の層間変形角の逆数を全ての階の層間変形角の逆数の相加平均の値で除した値のことで、値が大きいほど安全側です。

選択肢2. 中程度の(稀に発生する)地震動に対して、建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じないことは、耐震設計の要求性能の一つである。

正しい内容です。

耐震設計の要求性能の一つに、中程度の(稀に発生する)地震動に対して、建築物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じないことがあります。

選択肢3. 耐震設計における二次設計は、建築物が弾性限を超えても、最大耐力以下であることや塑性変形可能な範囲にあることを確かめるために行う。

正しい内容です。

最大級の(極めて稀に発生する)荷重に対して、倒壊・崩壊を防ぎ、人・物品の安全を最低限守ることを目的とし、塑性変形を許容(安全限界の検証)します。

選択肢4. 鉄骨造の建築物において、保有耐力接合の検討は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するために行う。

不適当な内容です。

鉄骨造における保有耐力接合の検証は、柱及び梁部材の局部座屈を防止するためではなく、「急激な部材の耐力の低下を防止する」ためとなります。

選択肢5. 杭基礎において、基礎の根入れの深さが2m以上の場合、基礎スラブ底面における地震による水平力を低減することができる。

正しい内容です。

杭基礎において、基礎の根入れの深さが2m以上の場合、基礎スラブ底面における地震による水平力を低減することができます。

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