二級建築士の過去問 令和3年(2021年) 学科3(建築構造) 問18
この過去問の解説 (3件)
1:誤。
重心と剛心との距離はできるだけ小さくなるように耐力壁を配置します。
重心と剛心が離れていると、地震時に水平方向の変形やねじれを生じます。
よって、重心と剛心との距離はできるだけ小さくなるように耐力壁を配置する必要があります。
2:正。
多雪区域以外の区域における規模が比較的大きい緩勾配の鉄骨構造屋根については、積雪後の降雨の影響を考慮するために、「屋根の勾配」および「屋根の最上端から最下端までの水平投影長さ」に応じて積雪荷重を割り増しします。
3:正。
木造軸組工法の建築物は構造耐力上主要な柱の所要断面積の1/4を欠込みした場合、欠込みした部分を補強します。
4:正。
ピロティ階の必要保有水平耐力は、「剛性率による割増し係数」と
「ピロティ階の強度割増し係数」のうち大きいほうの値を用いて算出します。
5:正。
建築物の基礎の構造は、地盤の長期許容応力度が20kN/㎡未満の場合、
基礎杭を用いた構造を採用します。
構造計画に関する問題です。
不適当な内容です。
重心と剛心の距離は、ねじれが生じないよう「できるだけ小さくなるように」計画します。
正しい内容です。
多雪区域以外の区域における規模が比較的大きい緩勾配の鉄骨造屋根については、積雪後の降雨の影響を考慮するために、屋根の勾配及び、屋根の最上端から最下端までの水平投影長さに応じて積雪荷重を割り増しします。
正しい内容です。
構造耐力上主要な柱を欠込む場合は柱の小径の1/3以内とします。
正しい内容です。
ピロティ階の必要保有水平耐力については、剛性率による割増し係数とピロティ階の強度割増し係数のうち、大きいほうの値を用いて算出します。
正しい内容です。
地盤の長期許容応力度が20kN/m2未満の場合は基礎杭を用いた基礎構造とします。
最も不適当な選択肢は、「建築物の各階における重心と剛心との距離ができるだけ大きくなるように、耐力壁を配置した。」です。
重心と剛心との距離が大きいと偏心が発生し、ねじれるような変形が生じやすくなり、建物の一部分に力が集中してしまうおそれがあります。
そのため、重心と剛心はできるだけ近づけるように計画します。
各選択肢の解説は以下のとおりです。
不適当な選択肢です。
重心と剛心との距離が大きいと偏心が発生し、ねじれが生じやすくなるため、重心と剛心はできるだけ近づけるように計画します。
なお、重心とは建物重量の中心のことで、剛心とは建物の剛性の中心のことです。
選択肢のように耐力壁を配置することで、剛心の位置を調整することができます。
正しい選択肢です。
下記の条件すべてに該当する屋根は、積雪後の降雨を見込んで積雪荷重を割り増して計算します。
①多雪区域以外の区域(積雪量が15cm以上)
②屋根重量が軽い(RC造・SRC造以外)
③緩勾配の屋根
④大スパン(棟から軒までの水平投影長さが10m以上)
積雪荷重に割り増しする係数は、「屋根の勾配」と「屋根の最上端から最下端までの水平投影長さ」から求めます。(算定式は複雑なため省略)
正しい選択肢です。
構造耐力上主要な柱の場合、柱の所要断面積の1/3以上の欠込みをした場合は欠込み部分を補強しなければならないです。
柱の所要断面積の1/4の場合は、補強が無くても構わないですが、補強を禁止している訳でもないので、補強を行っている当該選択肢は正しいと言えます。
正しい選択肢です。
ピロティ階の必要保有水平耐力を求める場合は、「剛性率による割増し係数」と「ピロティ階の強度割増し係数」のうち、大きいほうの値を用いて算出します。
※参考
必要保有水平耐力Qunは、Ds × Fes × Qud で計算できます。
Ds:各階の構造特性係数
Fes:各階の形状係数
Qud:各階に生じる大地震時の地震力
Dsは構造に関する係数、Fesは平面・立面形状のバランスに関する係数、Qudは地震に関する係数です。
各階の形状係数Fesは、Fs × Fe で計算できます。
Fs:剛性率による形状係数
Fe:偏心率による形状係数
Fsは剛性や高さ方向のバランスに関する係数、Feは平面上の偏心に関する係数です。
ピロティ階がある場合は、偏心率による形状係数Fsを算定する際に「剛性率による割増し係数」と「ピロティ階の強度割増し係数」を比較し、大きい方を採用して算出します。
正しい選択肢です。
基礎の構造は、地盤の長期許容応力度に応じて採用できる範囲が変わります。
20kN/㎡未満 基礎杭
20kN/㎡以上 30kN/㎡未満 基礎杭、べた基礎
30kN/㎡以上 基礎杭、べた基礎、布基礎
選択肢では20kN/㎡未満なので、基礎杭を用いた構造を採用します。
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