二級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科3(建築構造) 問17

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問題

二級建築士試験 令和3年(2021年) 学科3(建築構造) 問17 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 高力ボルト摩擦接合において、両面とも母材と同等の摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種に関わらず、母材と同強度の鋼材とする。
  • 高力ボルト摩擦接合において、2面摩擦とする場合の許容耐力は、長期、短期ともに1面摩擦とする場合の2倍の数値とすることができる。
  • 曲げモーメントを伝える接合部のボルト、高力ボルト及び溶接継目の応力は、回転中心からの距離に比例するものとみなして算定する。
  • 溶接接合において、隅肉溶接のサイズは、一般に、薄いほうの母材の厚さ以下とする。
  • 応力を伝達する隅肉溶接の有効長さは、一般に、隅肉サイズの10倍以上で、かつ、40mm以上とする。

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この過去問の解説 (3件)

01

1:誤。

両面とも母材と同等の摩擦面としての処理を行なったフィラープレートは、接合する母材の鋼種に関わらず、400N/㎟級の鋼材とします。

2:正。

2面摩擦の許容耐力は、1面摩擦の許容耐力の2倍となります。

3:正。

曲げモーメントを伝える接合部のボルト、高力ボルトおよび溶接継目の応力は、回転中心からの距離に比例するものとみなして算定します。

4:正。

隅肉溶接のサイズは、一般に薄いほうの母材の厚さ以下とします。

5:正。

応力を伝達する隅肉溶接の有効長さは、隅肉サイズの10倍以上かつ40mm以上とします。

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02

鉄骨構造の接合に関する問題です。

選択肢1. 高力ボルト摩擦接合において、両面とも母材と同等の摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種に関わらず、母材と同強度の鋼材とする。

不適当な内容です。

フィラープレートの材質は、母材の材質に関わらず「400N/㎜2」級鋼材とします。

選択肢2. 高力ボルト摩擦接合において、2面摩擦とする場合の許容耐力は、長期、短期ともに1面摩擦とする場合の2倍の数値とすることができる。

正しい内容です。

高力ボルト摩擦接合において、2面摩擦とする場合の許容耐力は、長期、短期ともに1面摩擦とする場合の2倍の数値とすることができます。

選択肢3. 曲げモーメントを伝える接合部のボルト、高力ボルト及び溶接継目の応力は、回転中心からの距離に比例するものとみなして算定する。

正しい内容です。

曲げモーメントを伝える場合は、応力は距離に比例して大きくなります。

選択肢4. 溶接接合において、隅肉溶接のサイズは、一般に、薄いほうの母材の厚さ以下とする。

正しい内容です。

隅肉溶接のサイズは、薄いほうの母材の厚さ以下としなければなりません。

選択肢5. 応力を伝達する隅肉溶接の有効長さは、一般に、隅肉サイズの10倍以上で、かつ、40mm以上とする。

正しい内容です。

応力を伝達する隅肉溶接の有効長さは、一般に隅肉サイズの10倍以上で、かつ、40mm以上とします。

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03

最も不適当な選択肢は、

「高力ボルト摩擦接合において、両面とも母材と同等の摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種に関わらず、母材と同強度の鋼材とする。」

です。

フィラープレートは部材同士の摩擦力を適切に伝達するための部材なので、母材と同じ強度である必要は無く、母材よりも弱い400N/㎟級の鋼材で構いません。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

選択肢1. 高力ボルト摩擦接合において、両面とも母材と同等の摩擦面としての処理を行ったフィラープレートは、接合する母材の鋼種に関わらず、母材と同強度の鋼材とする。

不適当な選択肢です。

フィラープレートの強度は、接合する母材の強度に関わらず、400N/㎟級の鋼材として構いません。

なお、フィラープレートは板同士の摩擦力を適切に伝達する役割があり、両面とも母材と同等の摩擦面としての処理を行います。

選択肢2. 高力ボルト摩擦接合において、2面摩擦とする場合の許容耐力は、長期、短期ともに1面摩擦とする場合の2倍の数値とすることができる。

正しい選択肢です。

接合部を2面摩擦とする場合の許容耐力は、1面摩擦の2倍とします。

※参考

短期の許容耐力は、長期の1.5倍とします。

また、2面摩擦で短期の許容耐力は、1面摩擦で長期の場合の3倍(2×1.5)とします。

選択肢3. 曲げモーメントを伝える接合部のボルト、高力ボルト及び溶接継目の応力は、回転中心からの距離に比例するものとみなして算定する。

正しい選択肢です。

曲げモーメントを伝えるボルト、高力ボルト、溶接継手の応力は,回転中心からの距離に比例するものとみなして算定します。

選択肢4. 溶接接合において、隅肉溶接のサイズは、一般に、薄いほうの母材の厚さ以下とする。

正しい選択肢です。

厚さの異なる母材同士を隅肉溶接する場合、隅肉溶接のサイズは薄い方の母材の厚さに合わせます。

厚い方の母材に合わせて溶接しても薄い方の母材以上の強度は期待できず、薄い方の母材が変形するおそれがあります。

選択肢5. 応力を伝達する隅肉溶接の有効長さは、一般に、隅肉サイズの10倍以上で、かつ、40mm以上とする。

正しい選択肢です。

隅肉溶接の有効長さは、隅肉サイズの10倍以上かつ40mm以上とします。

※参考

溶接長さ(ロス部分を含めた実際に溶接する長さ)は、有効長さに隅肉サイズの2倍を加えた長さとします。

隅肉溶接の溶接部の有効のど厚は、隅肉サイズの0.7倍とします。

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