二級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科3(建築構造) 問16

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

二級建築士試験 令和3年(2021年) 学科3(建築構造) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 露出形式の柱脚において、柱のベースプレートの厚さは、一般に、アンカーボルトの径の1.3倍以上とする。
  • 柱及び梁材の断面において、構造耐力上支障のある局部座屈を生じさせないための幅厚比は、炭素鋼の基準強度(F値)により異なる。
  • 「建築構造用圧延鋼材SN400」は、溶接接合を用いる建築物の場合、一般に、A種を用いる。
  • 母屋などに用いる水平材において、長期に作用する荷重に対するたわみは、通常の場合、仕上げ材に支障を与えない範囲で、スパンの1/300を超えることができる。
  • トラスにおいて、ウェブ材の構面内座屈は、材端支持状態が特に剛である場合を除き、節点間距離をもって座屈長さとする。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

1:正。

ベースプレートの厚さはアンカーボルトの径の1.3倍以上とします。

2:正。

幅厚比は「幅/厚」です。基準強度が大きくなると、幅厚比を小さくする必要があります。

3:誤。

A種はB種やC種に比べて、溶接性に劣ります。

4:正。

梁材のたわみは、通常の場合スパンの1/300以下です。片持梁の場合は、スパンの1/250以下となります。

5:正。

トラスにおいてウェブ材の構面内座屈は、接点間距離を持って座屈長さとします。

参考になった数17

02

最も不適当な選択肢は、

「建築構造用圧延鋼材SN400」は、溶接接合を用いる建築物の場合、一般に、A種を用いる。

です。

建築構造用圧延鋼材(SN材)にはA,B,C種があり、A種は性能が低く、C種の方が性能が高いです。

SN材のA種は溶接に向いていないため、B種またはC種を用います。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

選択肢1. 露出形式の柱脚において、柱のベースプレートの厚さは、一般に、アンカーボルトの径の1.3倍以上とする。

正しい選択肢です。

柱のベースプレートの厚さは、ベースプレートが変形しないように、アンカーボルトの径の1.3倍以上とします。

※参考

柱脚の種類は、露出・根巻・埋込の3種類があります。

これらのうち、露出形式だけはベースプレートが露出しており、ベースプレートが変形する可能性があるため、ベースプレートの厚さに関する規定があります。

選択肢2. 柱及び梁材の断面において、構造耐力上支障のある局部座屈を生じさせないための幅厚比は、炭素鋼の基準強度(F値)により異なる。

正しい選択肢です。

局部座屈を生じさせないための幅厚比の制限値は、炭素鋼の基準強度(F値)によって異なります。

※補足

幅厚比は部材の幅/厚から求めることができ、幅厚比が小さいほど靭性が高く、局部座屈が起きにくくなります。

また、鋼材の性質として、鋼材に含まれる炭素が増えると、靭性が低下します。

つまり、炭素鋼の基準強度(F値)が大きいほど、靭性が低下します。

そして、幅厚比には変形性能を示すランク(FA~FD)があり、このランクを判定するために幅厚比の制限値があります。

幅厚比の制限値は、炭素鋼の基準強度(F値)に反比例します。

炭素鋼の基準強度(F値)が大きいと靭性が下がるため、幅厚比の制限値を小さくして靭性を確保し、ランクが下がらないようにします。

選択肢3. 「建築構造用圧延鋼材SN400」は、溶接接合を用いる建築物の場合、一般に、A種を用いる。

不適当な選択肢です。

建築構造用圧延鋼材(SN材)のA種は溶接性が劣るため、溶接が不要な小梁等で採用します。

溶接接合を用いる場合は、B種またはC種を用います。

※参考

建築構造用圧延鋼材には、SN400A、SN400B、SN400C、SN490B、SN490Cの5種類があります。

Aは溶接性が保証できず、小梁や間柱に使います。

Bは一般的な鋼材として最も使われています。

Cはで、ダイアフラムなど構造上重要な部分に使います。

なお、「400」や「490」は、引張強さの下限値を表しています。

選択肢4. 母屋などに用いる水平材において、長期に作用する荷重に対するたわみは、通常の場合、仕上げ材に支障を与えない範囲で、スパンの1/300を超えることができる。

正しい選択肢です。

水平材(梁材)について、長期に作用する荷重に対するたわみは、スパンの1/300以下(片持ち梁の場合1/250以下)とします。

ただし、母屋や胴縁などに用いる場合は、仕上げ材に支障を与えない範囲で、上述の限界を超えることができます。

選択肢5. トラスにおいて、ウェブ材の構面内座屈は、材端支持状態が特に剛である場合を除き、節点間距離をもって座屈長さとする。

正しい選択肢です。

トラスの座屈長さは、構面内座屈(トラス個々の座屈)と構面外座屈(トラス面が一体となって起きる座屈)で考え方が変わります。

構面内座屈の場合、節点間距離を座屈長さとします。

構面外座屈の場合、支点間距離を座屈長さとします。

節点間=トラス同士がつながっている点と点の間のこと

支点間=トラス自体を支える支点と支点の間のこと

参考になった数6

03

鉄骨構造に関する問題です。

選択肢1. 露出形式の柱脚において、柱のベースプレートの厚さは、一般に、アンカーボルトの径の1.3倍以上とする。

正しい内容です。

ベースプレートの厚さは、アンカーボルトの径の1.3倍以上とします。

また、アンカーボルトの定着長さは径の20倍以上とします。

選択肢2. 柱及び梁材の断面において、構造耐力上支障のある局部座屈を生じさせないための幅厚比は、炭素鋼の基準強度(F値)により異なる。

正しい内容です。

設問の通りです。

鋼材の基準強度(F値)が大きくなるほど、幅厚比の上限値は小さくなります。

選択肢3. 「建築構造用圧延鋼材SN400」は、溶接接合を用いる建築物の場合、一般に、A種を用いる。

不適当な内容です。

A種は溶接性に劣るため「B種またはC種」を採用します。

選択肢4. 母屋などに用いる水平材において、長期に作用する荷重に対するたわみは、通常の場合、仕上げ材に支障を与えない範囲で、スパンの1/300を超えることができる。

正しい内容です。

長期に作用する荷重に対するたわみは、仕上げ材に支障を与えない範囲で、スパンの1/300を超えることができます。

選択肢5. トラスにおいて、ウェブ材の構面内座屈は、材端支持状態が特に剛である場合を除き、節点間距離をもって座屈長さとする。

正しい内容です。

座屈長さは、水平移動拘束、両端ピンで1.0倍となり、節点間距離と同じとなります。

参考になった数3