二級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科1(建築計画) 問9
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問題
二級建築士試験 令和4年(2022年) 学科1(建築計画) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
吸音・遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 壁を構成する材料の一部に、音響透過損失の著しく小さい部分がわずかでも含まれていると、その壁全体の音響透過損失は著しく小さくなる。
- 中空二重壁の共鳴透過について、壁間の空気層を厚くすると、共鳴周波数は低くなる。
- 多孔質材料は、一般に、低音域よりも高音域の吸音に効果がある。
- 吸音材料は、一般に、音の透過率が低いので、遮音性能は高い。
- 吸音率は、「壁の内部に吸収される音のエネルギー」と「壁を透過する音のエネルギー」の和を、「壁に入射する音のエネルギー」で除したものである。
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この過去問の解説 (2件)
01
最も不適当な選択肢は、
「吸音材料は、一般に、音の透過率が低いので、遮音性能は高い。」です。
防音対策には「吸音」と「遮音」の考え方があり、それぞれの特徴を持った材料があります。
吸音材は音を吸音して減衰する効果があるのですが、音自体を遮るわけではないため、透過率は高く、遮音性能は低いです。
各選択肢の解説は以下のとおりです。
正しい選択肢です。
音響透過損失とは、壁やガラスなどの遮音の程度を数値で表したもので、大きいほど遮音性能が高く、音を遮ることを示します。
複層壁の場合、壁材の間に厚さの薄い中空層(空気層)などの遮音効果の低い層があると、その層を介して共鳴透過が発生し、音響透過損失が著しく小さくなることがあります。
正しい選択肢です。
中空二重壁の空気層は、十分な厚さがあれば遮音性能が期待できますが、十分な厚さを確保できないと共鳴透過が発生し、一部の周波数で遮音性能が低くなることがあります。
(共鳴透過が発生しやすい周波数のことを、共鳴周波数と呼びます。)
空気層の厚さ(波長)と周波数は反比例の関係なので、空気層が厚い(波長が長い)ほど共鳴周波数は低くなります。
正しい選択肢です。
多孔質材料とは、細かい孔が多数空いている材料のことで、代表的な建材としては、グラスウールやロックウールなどがあります。
細かい孔が高音域(高周波数、短波長)の音を吸音するため、高音域の吸音に効果があるといえます。
※参考
多孔質材料は、高音域の吸音には効果がありますが、低音域の吸音率にはそれほど効果がないです。
一方、板状材料は、低音域の吸音に効果があり、高音域の吸音にはそれほど効果がないです。
不適当な選択肢です。
吸音材は、音を吸収して減衰する効果があります。
代表的な材料としては、グラスウールなどがあります。
吸音材は、音を小さくすることはできますが、音自体を遮るわけではなく、一部は材料の反対側へ透過するため、透過率が高く、遮音性能は低いです。
※参考
吸音材に似たものとして、遮音材があります。
遮音材は、音を反射して材料の反対側へ音が透過しないようにする効果があります。
代表的な材料としては、石膏ボードなどがあります。
遮音材は反対側への音の透過は防げますが、音は減衰せずに反射するため、反射を繰り返してエコーのような状態になります。
正しい選択肢です。
壁の吸音を考えるとき、「入射する音」と「吸収・透過・反射する音」は下記の関係になります。
「入射する音」
= 「壁に吸収される音」
+「壁を透過する音」
+「壁を反射する音」
吸音率は、入射する音のうち吸収された(反射しなかった)音の割合なので、
吸音率=(吸収音+透過音)/入射音 です。
吸収音だけでなく、透過音も含まれることに注意して下さい。
※参考
反射率は、入射する音のうち反射した音の割合なので、
反射率=反射音/入射音 です。
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02
吸音、遮音は現象を理解しましょう。
音響透過損失の著しく小さい部分をガラスとすると、ガラスから音が漏れ、音響透過損失が著しく小さくなる現象のことと同じことを言っているので、記述の通りで正しいです。
中空二重壁の空気層を厚くすると、空気層が揺れにくくなり、低い周波数で共鳴するので、記述の通りで正しいです。
多孔質材料では、材料内で振動、摩擦が起き、音を吸音します。
特に高周波数域で吸音が高いので、記述の通りで正しいです。
吸音率の高いということは、吸収音と透過音が高いということで、透過率も高い場合があります。
遮音が高いとは言えないので、記述は誤りです。
吸音率は、入射する音に対して、反射する音以外の音(吸収される音)+透過する音の比率なので、記述の通りで正しいです。
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