二級建築士の過去問
令和4年（2022年）
学科2（建築法規） 問17

A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、「11.25ｍ」です。

建築物の高さの最高限度は、下記３つの高さ制限を計算・比較して、一番厳しい値とします。

道路斜線制限（法第56条 第１項 第1号）

隣地斜線制限（法第56条 第１項 第２号）

北側斜線制限（法第56条 第１項 第３号）

道路斜線制限

道路幅員×斜線勾配1.25（住居系） で求めます。

また、境界線からの後退距離の緩和を含めて計算します。

なお、二面道路でそれぞれの道路幅が異なる場合は、それぞれの道路幅で２方向の道路斜線制限を計算しますが、

下記の範囲については、幅の広い方の道路幅に置き換えて計算します。

・大きい方の道路の境界線から「道路幅×２」かつ「35ｍ」以内

・大きい方の道路の中心線から10ｍを超える

Ａ点は南側の幅の広い方の道路から６mの位置で、「道路幅6ｍ×２かつ35ｍ」以内なので、

東面の道路幅を６ｍ（南側と同じ）として計算します。

以上より、

南側道路斜線

（ 水平距離６ｍ ＋ セットバック３ｍ ＋ 道路６ｍ ） × 1.25

＝ 15ｍ × 1.25

＝ 18.75ｍ

東側道路斜線

（ 水平距離２ｍ ＋ セットバック１ｍ ＋ 道路６ｍ ）× 1.25

＝９ｍ × 1.25

＝11.25ｍ

隣地斜線制限

※高さ20ｍ以上の場合に検討する制限であり、選択肢に20m以上が無いことから、計算を省略できます。

なお、計算式は、住居系の場合、20ｍ＋隣地境界線までの距離×斜線勾配1.25（住居系） で求めます。

北側斜線制限

10ｍ＋北側の境界線までの距離×1.25 で求めます。

10ｍ ＋ ｛5ｍ × 1.25（住居系） ｝＝ 16.25ｍ

最高高さに関する問題です。

下記の考え方で導きます。

①道路高さ制限(法第56条第1項第1号)

　法別表第3、1の項により、最大幅員6ｍ道路の斜線の適用距離は、(は)欄で法第56条2項による有効後退距離を加えて20ｍとなります。そこで、Ａ点の所には(に)欄により1.25が掛かります。今回は、6ｍ道路と4ｍ道路を比較すると、後退距離・建築物の距離ともに6ｍ道路の方が安全側のため、4ｍ道路に関してのみ求めます。

　また、前面道路は2本あるため、令第132条第1項の適用で4ｍ道路と6ｍ道路の交わる角から2倍までは6ｍ道路があるものとみなされます。そして、有効後退距離(1ｍ)と建築物のＡ点の距離(1ｍ)を加え、道路斜線を求めます。

｛6ｍ+(1ｍ✕2)+1ｍ｝✕1.25＝11.25ｍ・・・①

②北側高さ制限(同条項第3号)

　①と同様に計算すると、

10ｍ+(1+1+3)✕1.25＝16.25ｍ・・・②

よって、①＜②となり、11.25ｍが正答です。

法第56条第１項第１号より道路斜線制限、法第56条第１項第２号より隣地斜線制限、法第56条第１項第３号より北側斜線制限を求めます。

法第56条第１項第１号より、計算式は

道路幅員×斜線勾配1.25です。

南側道路斜線は、

「6m（道路）＋6m（水平距離）+ 3m（セットバック）」×1.25 = 18.75m

東側道路斜線は、

「6m（道路）＋2m（水平距離）+ 1m（セットバック）」×1.25 = 11.25m

（令第132条より、南側の道路の方が幅が広く6m、A点は道路幅6m×2かつ35m以内のため、東側の道路幅は南側と同じ6mとします。）

法第56条第１項第２号より、

高さが20mを超える部分を有するものの場合に検討します。

法第56条第１項第３号より、計算式は

「北側の境界線までの距離×1.25」+ 10mです。

「5m×1.25」+ 10m = 16.25m

よって、求めた数値のうち一番低い11.25mが最高限度となります。