二級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科4(建築施工) 問25

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問題

二級建築士試験 令和4年(2022年) 学科4(建築施工) 問25 (訂正依頼・報告はこちら)

中央建設業審議会「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」における監理者が行う業務に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 設計図書等の内容を把握し、設計図書等に明らかな矛盾、誤謬(ごびゅう)、脱漏、不適切な納まり等を発見した場合は、受注者に通知する。
  • 設計内容を伝えるため発注者と打ち合わせ、適宜、この工事を円滑に遂行するため、必要な時期に説明用図書を発注者に交付する。
  • 受注者から工事に関する質疑書が提出された場合、設計図書等に定められた品質確保の観点から技術的に検討し、当該結果を受注者に回答する。
  • 設計図書等の定めにより受注者が作成、提出する施工計画について、設計図書等に定められた工期及び品質が確保できないおそれがあると明らかに認められる場合には、受注者に対して助言し、その旨を発注者に報告する。
  • 工事と設計図書等との照合及び確認の結果、工事が設計図書等のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに受注者に対してその旨を指摘し、工事を設計図書等のとおりに実施するよう求めるとともに発注者に報告する。

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この過去問の解説 (2件)

01

「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」は、建設工事の請負契約に関わる関係者の権利や義務の関係性をまとめたもので、建設業法で定められています。

(建築士法の規定に基づく、工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務 とは異なります)

当問題を正答するためには、発注者・監理者・受注者の違いと役割を理解することが重要です。

発注者(行政、デペロッパー、施主など)

施主として工事を依頼する立場の者です。

監理者(設計者など)

発注者からの委託を受けた者です。

設計図書等の把握、工事の指導や助言、請負代金の審査などを行います。

受注者(ゼネコンなど)

工事を行う立場の者です。

最も不適当な選択肢は、

「設計内容を伝えるため発注者と打ち合わせ、適宜、この工事を円滑に遂行するため、必要な時期に説明用図書を発注者に交付する。」です。

設計の内容や工事の説明は、設計を行った監理者が、工事を行う受注者に対して行います。

選択肢1. 設計図書等の内容を把握し、設計図書等に明らかな矛盾、誤謬(ごびゅう)、脱漏、不適切な納まり等を発見した場合は、受注者に通知する。

正しい選択肢です。

設計図書の明らかな矛盾や不適切な納まり等を発見した場合は、受注者に通知することとします。

※参考

「工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務」では、

「設計図書の内容を把握し、設計図書に明らかな矛盾、誤謬、脱漏、不適切な納まり等を発見した場合には、建築主に報告し、必要に応じて建築主を通じて設計者に確認する。」としています。

選択肢2. 設計内容を伝えるため発注者と打ち合わせ、適宜、この工事を円滑に遂行するため、必要な時期に説明用図書を発注者に交付する。

不適当な選択肢です。

監理者は、設計内容を伝えるため受注者と打ち合わせ、適宜、この工事を円滑に遂行するため、必要な時期に説明用図書を受注者に交付します。

選択肢の内容は、発注者と受注者が入れ替わっています

監理者は、発注者からの委託を受け、受注者の工事の内容を確認し、指導する立場です。

なので、設計内容の打合せや工事の説明用図書のやりとりは、監理者と受注者で行うことになります。

選択肢3. 受注者から工事に関する質疑書が提出された場合、設計図書等に定められた品質確保の観点から技術的に検討し、当該結果を受注者に回答する。

正しい選択肢です。

受注者から工事に関する質疑書が提出された場合は、設計図書等に記載の品質を確保できるように検討し、受注者に回答することとします。

※参考

「工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務」では、

「工事施工者から工事に関する質疑書が提出された場合には、設計図書に定められた品質(形状、寸法、仕上り、機能、性能等を含む。)確保の観点から技術的に検討し、必要に応じて建築主を通じて設計者に確認のうえ、回答を工事施工者に通知する。」としています。

選択肢4. 設計図書等の定めにより受注者が作成、提出する施工計画について、設計図書等に定められた工期及び品質が確保できないおそれがあると明らかに認められる場合には、受注者に対して助言し、その旨を発注者に報告する。

正しい選択肢です。

受注者が作成、提出した施工計画では設計図書の工期・品質を確保できないおそれがある場合は、受注者への助言と、発注者への報告を行います。

※参考

「工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務」では、

「設計図書の定めにより、工事施工者が作成し、提出する施工計画(工事施工体制に関する記載を含む。)について、工事請負契約に定められた工期及び設計図書に定められた品質が確保できないおそれがあるかについて検討し、確保できないおそれがあると判断するときは、その旨を建築主に報告する。」としています。

選択肢5. 工事と設計図書等との照合及び確認の結果、工事が設計図書等のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに受注者に対してその旨を指摘し、工事を設計図書等のとおりに実施するよう求めるとともに発注者に報告する。

正しい選択肢です。

工事が設計図書等のとおりに実施されていない場合は、直ちに受注者に対してその旨を指摘し、設計図書のとおりに工事を行うように求めるとともに、発注者にも報告します。

※参考

「工事監理に関する標準業務及びその他の標準業務」では、

「工事と設計図書との照合及び確認の結果、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する。」としています。

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02

監理者が行う義務に関する問題です。

選択肢1. 設計図書等の内容を把握し、設計図書等に明らかな矛盾、誤謬(ごびゅう)、脱漏、不適切な納まり等を発見した場合は、受注者に通知する。

正しい内容です。

民間建設工事標準請負契約約款(甲)第9条第1項に規定されています。

選択肢2. 設計内容を伝えるため発注者と打ち合わせ、適宜、この工事を円滑に遂行するため、必要な時期に説明用図書を発注者に交付する。

誤った内容です。

設計内容を伝えるため受注者と打ち合わせ、適宜、この工事を円滑に遂行するため、必要な時期に説明用図書を発注者に交付します。

民間建設工事標準請負契約約款(甲)第9条第2項に規定されています。

選択肢3. 受注者から工事に関する質疑書が提出された場合、設計図書等に定められた品質確保の観点から技術的に検討し、当該結果を受注者に回答する。

正しい内容です。

民間建設工事標準請負契約約款(甲)第9条第3項に規定されています。

選択肢4. 設計図書等の定めにより受注者が作成、提出する施工計画について、設計図書等に定められた工期及び品質が確保できないおそれがあると明らかに認められる場合には、受注者に対して助言し、その旨を発注者に報告する。

正しい内容です。

民間建設工事標準請負契約約款(甲)第9条第8項に規定されています。

選択肢5. 工事と設計図書等との照合及び確認の結果、工事が設計図書等のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに受注者に対してその旨を指摘し、工事を設計図書等のとおりに実施するよう求めるとともに発注者に報告する。

正しい内容です。

民間建設工事標準請負契約約款(甲)第9条第6項に規定されています。

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