二級建築士の過去問
令和5年(2023年)
学科1(建築計画) 問5

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問題

二級建築士試験 令和5年(2023年) 学科1(建築計画) 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

伝熱・断熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 壁体の総合熱伝達率は、「対流熱伝達率」と「放射熱伝達率」の合計である。
  • 断熱材の熱伝導抵抗は、一般に、水分を含むと大きくなる。
  • 外壁の構成材料とその厚さが同じであれば、断熱材を躯体の室内側に配置しても、屋外側に配置しても熱貫流率は等しくなる。
  • 鉄筋コンクリート造の建築物において、外断熱工法を用いると、躯体のもつ熱容量を活用しやすくなり、内断熱工法を用いるよりも室温の変動を小さくすることができる。
  • 木造の建築物において、防湿層を外壁の断熱層の室内側に設けることは、外壁の内部結露の防止に効果的である。

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、建物の伝熱・断熱に関する知識を問うものです。

伝熱には、対流、放射、伝導といった異なる熱の移動方法があり、断熱はこれらの熱移動を抑える役割を持ちます。

建物の断熱性能は、室内環境の快適性や省エネルギーにも関わる重要な要素であり、断熱材の配置や構造に基づいた熱的な効果がどのように変わるかが重要な要素です。

ポイントは、伝熱の原理と断熱の役割、そして断熱の配置が与える影響を正確に理解することです。

回答のコツとしては、まず、熱の移動の仕組みや断熱材の特性を理解し、それぞれの現象が建物内でどのように作用するかを考えることが重要です。

また、外断熱と内断熱の違いや、水分の影響についても正確に把握しておく必要があります。

選択肢1. 壁体の総合熱伝達率は、「対流熱伝達率」と「放射熱伝達率」の合計である。

この選択肢は適当です。

壁体の総合熱伝達率は、対流熱伝達率と放射熱伝達率の合計で表されます。

これにより、壁面での熱の移動を総合的に評価することができます。

対流と放射の両方を考慮することで、より正確な熱伝達の評価が可能になります。

選択肢2. 断熱材の熱伝導抵抗は、一般に、水分を含むと大きくなる。

この選択肢は不適当です。

断熱材は水分を含むと、その断熱性能が低下し、熱伝導抵抗はむしろ小さくなります

水は高い熱伝導率を持つため、水分が断熱材に含まれると熱を通しやすくなり、断熱効果が下がるのです。

したがって、断熱材の効果を維持するためには、水分の侵入を防ぐことが重要です。

選択肢3. 外壁の構成材料とその厚さが同じであれば、断熱材を躯体の室内側に配置しても、屋外側に配置しても熱貫流率は等しくなる。

この選択肢は適当です。

断熱材の配置位置が同じ厚さの構成材料であれば、熱貫流率は変わりません。

断熱材の位置が室内側か屋外側かにかかわらず、構造体全体の熱貫流率は同じになります。

選択肢4. 鉄筋コンクリート造の建築物において、外断熱工法を用いると、躯体のもつ熱容量を活用しやすくなり、内断熱工法を用いるよりも室温の変動を小さくすることができる。

この選択肢は適当です。

外断熱工法は、建物の外部を断熱材で覆うため、内部の熱容量を活用しやすく、外部温度の影響を受けにくくなります。

これにより、室内の温度変動が抑えられ、より安定した室温を維持できます。

選択肢5. 木造の建築物において、防湿層を外壁の断熱層の室内側に設けることは、外壁の内部結露の防止に効果的である。

この選択肢は適当です。

防湿層を室内側に設けることで、室内の湿気が外壁の内部に侵入するのを防ぎ、内部結露を防止する効果があります。

湿気が壁体内で結露すると、材料の劣化や断熱性能の低下を招くため、防湿層は重要な役割を果たします。

まとめ

この問題のテーマは、伝熱・断熱に関する基本的な知識と、それに関連する設計手法の理解です。

特に、断熱材の配置位置による熱貫流率の変化、断熱材の性能への水分の影響、外断熱と内断熱の違いなど、建物の断熱性能を最適化するための要点を把握することが重要です。

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