賃貸不動産経営管理士の過去問
令和元年度(2019年)
問20

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問題

賃貸不動産経営管理士試験 令和元年度(2019年) 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

サブリース方式による賃貸管理業務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 所有者が転貸借を承諾している場合、所有者と転借人(入居者)の間に契約関係が生じる。
  • 所有者が転貸借を承諾しており、賃貸借契約の月額賃料が 10 万円、転貸借契約における月額賃料が 12 万円の場合、所有者が転借人(入居者)に対して 12 万円の支払を請求したときは、転借人(入居者)は 12 万円の支払義務を負う。
  • 所有者が転貸借を承諾していない場合、転貸借契約は無効である。
  • 所有者が転貸借を承諾しており、その転貸借契約が終了した場合、所有者は転借人(入居者)に対して敷金返還義務を負わない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解 4

肢1→✕
サブリース方式では所有者と転借人の間には賃貸借契約は生じない。「所有者と転借人(入居者)の間に契約関係が生じる」という部分が間違いになります。


肢2→✕
所有者が転貸借を承諾しており、賃貸借契約の月額賃料が 10 万円、転貸借契約における月額賃料が 12 万円の場合、所有者が転借人(入居者)に対して 12 万円の支払を請求したときでも、転借人(入居者)は 10 万円の支払義務を負うことになっています。 「12 万円の支払義務を負う」という部分が間違いになります。

肢3→✕
所有者が転貸借を承諾していない場合でも、転貸借契約は有効になるので、「転貸借契約は無効である」という部分が間違いになります。

肢4→○
肢の通り。所有者が転貸借を承諾しており、その転貸借契約が終了した場合、所有者は転借人(入居者)に対して敷金返還義務を負うわけではありません。

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02

 賃貸管理業務には、「管理受託方式」と「サブリース方式」があり、本問は後者のサブリース方式についての理解を問う問題です。

 サブリース方式は法形式としては賃貸目的物の所有者とサブリース業者との原賃貸借契約と、サブリース業者と入居者の間の転貸借契約という形をとりますが、たとえその実質が管理委託であっても、法形式に従い、賃貸借契約に関する規律に服することになります。

1 正しいとはいえない

 適法な転貸借がなされると、転借人は原賃貸借契約の賃貸人(所有者)に対して直接に義務を負うことになります(民法第613条第1項前段)。しかし、賃貸人に対する権利を取得するとも、賃貸人との関係で契約関係に入るとも規定されておりません。あくまでも義務を負うのみです。

2 正しいとはいえない

 適法な転貸借がなされた場合、原賃貸借契約の賃貸人は、原賃貸借契約の賃借人に対して原賃貸借契約で定めた賃料を請求できるほか、転貸借契約の転借人に対しても、原賃貸借契約の賃料と転貸借契約の賃料のうち、いずれか低い方の金額を限度として請求することができます。転借人は、転貸借契約に基づく賃料債務を賃借人に対して負うとともに、原賃貸借契約の賃貸人からも請求を受け得ることになり、この場合、賃借人に対する賃料の前払いをもって賃貸人からの請求を拒むことはできません(同法同条同項)。

3 正しいとはいえない

 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、賃借権の譲渡及び転貸をすることができず(同法第612条第1項)、無断譲渡・転貸がなされれば、賃貸人は契約を解除することができます(同法同条第2項)。もっとも、賃貸人の承諾なき賃借権の譲渡及び転貸も、当該譲渡・転貸の当事者間では債権的に有効です。また、無断譲渡・転貸がなされれば必ず解除権が発生するとも限らず、当該無断譲渡・転貸が、賃貸人との関係で、背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合には解除権は発生しないという最高裁判所の判例もあります。ゆえに、転借人による目的物の使用によっても使用形態に変更がなく、上記特段の事情があると評価できる場合であれば解除権は発生しません。

4 正しい

 賃貸借契約が終了した場合、賃貸人は賃借人に対して敷金返還債務を負う場合があります。もっとも、たとえ管理委託の実質を有するとしても、転貸借契約はサブリース業者と入居者の間で締結されており、転貸借契約の終了に伴い入居者に敷金返還債務を負うのは目的物の所有者ではなく転貸人たるサブリース業者です。

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03

正解は4です。

本問はサブリース方式による賃貸管理に関する問題です。

1→誤り。
所有者が転貸借を承諾していても、所有者と転借人(入居者)の間に契約関係は生じません。

2→誤り。
転借人(入居者)は所有者との間に契約関係が生じていなくても、所有者に対して賃料支払義務があります。所有者に対して支払う賃料は賃貸借契約と転貸借契約のうち、少ない方の金額となり、本問の場合は10万円となります。

3→誤り。
転貸借契約は所有者の承諾に関わらず、有効となります。

4→正しい。
所有者は転借人(入居者)に対して敷金返還義務は負いません。

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