変圧器に使用される鉄心には、けい素鋼と非結晶構造のアモルファス合金が主です。
アモルファスとは、原子・分子・イオンの配列に規則性がない固体物質をいい、そのような物質を非結晶質と呼びます。
アモルファス合金の特徴としてけい素鋼よりも硬くて腐食に強く、鉄損が少ないという特徴がありますが、けい素鋼よりも硬いという点から加工性が劣り、価格は高価という短所もあります。
以上の事を踏まえた上で各選択肢を見ていきます。
選択肢1. けい素鋼帯を使用した同容量の変圧器に比べて、鉄損が大幅に少ない。
上記解説の冒頭でも述べているように、けい素鋼帯に比べてアモルファスは鉄損が少ないというのが特徴の一つです。なのでこの記述は適切です。
選択肢2. アモルファス鉄心材料は結晶構造である。
解説の冒頭でも述べているように、アモルファス鉄心材料は非結晶構造となります。なのでこの記述は不適切となります。
選択肢3. アモルファス鉄心材料は高硬度で、加工性があまり良くない。
上記解説の冒頭でも述べているように高硬度で、加工性があまり良くないのがアモルファス鉄心材料の短所となります。なのでこの記述は適切です。
選択肢4. アモルファス鉄心材料は比較的高価である。
上記解説の冒頭でも述べているように、比較的高価となります。なのでこの記述は適切です。
選択肢5. けい素鋼帯を使用した同容量の変圧器に比べて、磁束密度が高くできないので、大形になる。
アモルファス鉄心材料に含まれる原子の成分の影響を考慮すると、けい素鋼帯を用いた変圧器よりも磁束密度を高くすることはできません。なのでこの記述は適切です。
まとめ
この問題は変圧器に関する知識問題となりますが、かなり深い内容となっておりますので試験対策の重要度という観点から申し上げると低めでも問題ないと思います。ただ、変圧器の鉄損・銅損につきましては必ず必要となる知識なので、マスターする事をお薦め致します。