第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)上期
問59 (機械 問17)

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)上期 問59(機械 問17) (訂正依頼・報告はこちら)

図1は、単相インバータで誘導性負荷に給電する基本回路を示す。負荷電流iOと直流電流idは図示する矢印の向きを正の方向として、次の問に答えよ。

出力交流電圧の1周期に各パワートランジスタが1回オンオフする運転において、図2に示すように、パワートランジスタS1~S4のオンオフ信号波形に対して、負荷電流iOの正しい波形が(ア)~(ウ)、直流電流idの正しい波形が(エ)、(オ)のいずれかに示されている。その正しい波形の組合せを次のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • (ア)と(エ)
  • (イ)と(エ)
  • (ウ)と(オ)
  • (ア)と(オ)
  • (イ)と(オ)

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この過去問の解説 (2件)

01

単相インバータの誘導性負荷に給電する基本回路で、パワートランジスタが1回オンオフする信号波形に対して、負荷電流iO直流電流idの正しい波形を選択する問題となります。

 

まずは、負荷電流iOの方から見ていきます。

 

負荷電流iO

①S1、S4がオンになると電源電圧E(+)から電流がパワートランジスタS1を通り、抵抗とリアクタンスの誘導性負荷を経由し、パワートランジスタS4に行き、電源電圧E(-)に還る(正の向き)。

 

図2のタイムチャートより、S1、S4がt0になる前はオフなので電流は(負の向き)でt0になるとオンになり上記①の動作を行うことで(正の向き)に変化します。

 

図2のタイムチャートt0+T/2になると再びS1、S4はオフになり電流は(負の向き)になります。

 

④上記③の動作になると電流は電源電圧E(-)から還流ダイオードD4を通り、抵抗とリアクタンスの誘導性負荷を経由し、還流ダイオードD1に行き、電源電圧E(+)に還る(負の向き)。

 

以上の動作より負荷電流iOは-(負)の値からスタートし、+(正)の値に上昇しますがt0+T/2になると-(負)に向かいますが、ここでの変換は緩やかに変化していきます。それは何故かというと、誘導性負荷(リアクトル)は電流維持作用がある為、急激な変化を嫌います。なので緩やかに変化します。ただ時間の経過と共に電流維持作用は薄れていくので最終的に-(負)となります。

 

以上を踏まえると負荷電流iOの波形は(ア)が該当します。

 

直流電流id

電源電圧Eに流れる直流電流idは電圧の波形と比例するため、-(負)から徐々に電流が上昇し、+(正)の値に上昇します。t0+T/2になるとS1、S4がオフとなる為、電圧は急激に変化をし-(負)の値となります。以上を踏まえると直流電流idの波形は(エ)が該当します。

選択肢1. (ア)と(エ)

解説の冒頭の内容と一致するので適切です。

まとめ

インバータ回路に関する問題は、パワーエレクトロニクスの分野では頻出していますので色々な問題を解いて慣れる事をお薦め致します。

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02

単相インバータの誘導性負荷に関して、正しい波形の組み合わせを選択する問題です。

選択肢1. (ア)と(エ)

問題で与えられた回路図で、S1とS4をONにした時、S2とS3をONにした時のそれぞれの条件において、どの向きで電流が流れているかを整理していきます。

 

なお、負荷電流と直流電流の向きの正負については、問題の回路図で与えられた向きを正として考えています。

 

◆S1とS4をONにした直後(緑色)

io<0

id<0

※リアクトルから蓄えられたエネルギーが放出※

 

◆S1とS4をONにして十分に時間が経過した時(赤色)

io>0

id>0

 

◆S2とS3をONにした直後(紫色)

io>0

id<0

※リアクトルから蓄えられたエネルギーが放出※

 

◆S2とS3をONにして十分に時間が経過した時(青色)

io<0

id>0

 

以上のことを回路図と波形で表すと、下図のようになります。

 

 

したがって、負荷電流の波形が(ア)、直流電流の波形が(エ)の組み合わせが正しいということになります。

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