第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)上期
問60 (機械 問18)
問題文
図1は、単相インバータで誘導性負荷に給電する基本回路を示す。負荷電流iOと直流電流idは図示する矢印の向きを正の方向として、次の問に答えよ。
この設問は、<前問>の続きの設問となります。
単相インバータの特徴に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。

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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)上期 問60(機械 問18) (訂正依頼・報告はこちら)
図1は、単相インバータで誘導性負荷に給電する基本回路を示す。負荷電流iOと直流電流idは図示する矢印の向きを正の方向として、次の問に答えよ。
この設問は、<前問>の続きの設問となります。
単相インバータの特徴に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。

- 図1は電圧形インバータであり、直流電源Eの高周波インピーダンスが低いことが要求される。
- 交流出力の調整は、S1~S4に与えるオンオフ信号の幅T/2を短くすることによって交流周波数を高くすることができる。又は、Eの直流電圧を高くすることによって交流電圧を高くすることができる。
- 図1に示されたパワートランジスタを、IGBT又はパワーMOSFETに置換えてもインバータを実現できる。
- ダイオードが接続されているのは負荷のインダクタンスに蓄えられたエネルギーを直流電源に戻すためであり、さらにダイオードが導通することによって得られる逆電圧でパワートランジスタを転流させている。
- インダクタンスを含む負荷としては誘導電動機も駆動できる。運転中に負荷の力率が低くなると、電流がダイオードに流れる時間が長くなる。
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この過去問の解説 (2件)
01
前問から引き続きの知識問題となります。
各選択肢を見ていきましょう。
図1を見るとパワートランジスタSと並列で還流ダイオード(フリーホイリングダイオード)が設置されているので、こちらは電圧形インバータになります。
電圧形インバータの特徴として低い高周波インピーダンスで電圧を出力する事ができます。
よってこの記述は適切です。
周期T=1/周波数f[Hz]より、周期を短くすると交流周波数は高くすることが出来ます。
また、直流電圧を高くすると比例して交流電圧を高くすることが出来ます。
なのでこの記述は適切です。
図1に示されたバルブデバイスをパワートランジスタからIGBT又はパワーMOSFETに置換えてもインバータを実現する事が出来ます。
パワーMOSFET及びIGBTは共に電圧駆動形のデバイスであり、自己消弧形素子でもあるので図1の電圧形インバータに適用可能です。なのでこの記述は適切です。
インバータに設置されるダイオードの役割はパワートランジスタに負の方向(-)から来る電流を流せないようにする為です。
仮にダイオードがない場合、オン・オフ時に負の方向(-)からくる電流はパワートランジスタに流れ高い電圧が発生し焼損させてしまう恐れがあるからです。
なのでこの記述は不適切です。
負荷の力率が低くなるとインダクタンスが大きくなってしまいます。そうなるとインダクタンスに発生するエネルギーも増加し流れる電流も増えます。なのでダイオードに流れる時間が長くなってしまいます。
よってこの記述は適切です。
近年、パワーエレクトロ二クスの中でもインバータに関する問題が頻出されております。今後も注目されていく分野なので覚えるのは大変ですが、諦めずに学習していく事をお薦め致します。
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02
単相インバータの特徴を記述した中で、誤っているものを選択する問題です。
単相インバータにダイオードが接続されている理由は
・負荷インダクタンスに蓄えられたエネルギーを直流電源に戻すため
・パワートランジスタの回路を保護するため
の2点があります。
パワートランジスタの回路保護について、詳しく説明します。
パワートランジスタは大容量電流電圧を制御できる素子です。
そのためダイオード無しでスイッチングした場合、急激に電流の向きが変わり回路への負荷が大きく、破損する可能性もあります。
ダイオードは、その破損を防ぐために接続されています。
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