第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)上期
問80 (法規 問16)

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)上期 問80(法規 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

人家が多く連なっている場所以外の場所であって、氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積60mm2、仕上り外径15mmの6600V屋外用ポリエチレン絶縁電線(6600V OE) を使用した高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の問に答えよ。
ただし、電線に対する甲種風圧荷重は980Pa、乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは6mmとする。

低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値[mm]として、最も大きいものを次のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (2件)

01

この問題を解くポイントは、甲種風圧荷重と乙種風圧荷重が適用される条件を比較し、適用可能な最大の外径を求めることです。

それでは問題を見ていきましょう。

選択肢2. 12

◎条件を整理します。

電線の公称断面積:60 mm²

電線の仕上がり外径:15 mm

甲種風圧荷重の圧力:980 Pa

乙種風圧荷重の計算に用いる氷雪の厚さ:6 mm

求めるのは、低温季に乙種風圧荷重が適用される外径の最大値です。


風圧荷重は以下の式で計算されます。

F = P × S

F:風圧荷重(N)

P:風圧(Pa)

S:垂直投影面積(m²)

垂直投影面積Sは次のように計算されます。
S = 外径 × 長さ


甲種風圧荷重の計算に用いる風圧はそのまま与えられているため、甲種の式は次の通りです。

F = 980 × 外径 × 長さ


乙種風圧荷重では、風圧が甲種の0.5倍になり、外径には氷雪の厚さが加わります。乙種の式は次の通りです。

F = (980 × 0.5)× (外径 + 氷雪の厚さ × 2)× 長さ

氷雪の厚さは6 mmなので、
F = 490 × (外径 + 12)× 長さ

 

以上の条件で計算します。
低温季では、乙種風圧荷重が適用されるためには、乙種の風圧荷重が甲種の風圧荷重より大きくなる必要があります。

この条件を式にすると、

490 × (外径 + 12) > 980 × 外径 

490 × 外径 + 5880 > 980 × 外径
5880 > 490 × 外径
外径 < 12 mm となります。

 

以上より、乙種風圧荷重が適用される最大の外径は12 mmです。

まとめ

風圧荷重の条件を整理し、乙種風圧荷重が甲種風圧荷重を超える範囲を計算しました。

最大値は12mmとなります。

一言知識

「乙種風圧荷重とは」
乙種風圧荷重は、氷雪が付着した場合に適用される特殊な風圧計算です。

雪や氷の影響を考慮して、甲種風圧荷重よりも条件が異なります。

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02

前問(https://kakomonn.com/denken3/questions/73178)からの続きとなります。

今回は低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値[mm]を求めていく問題です。

前問でも述べているようにこの問題の条件からいくと甲種風圧荷重または乙種風圧荷重のいずれか大きいものが風圧荷重となります。

さらにこの問題では風圧荷重を乙種としたいとあります。なので条件として風圧荷重[N]の値は乙種の方を大きくするか甲種=乙種としなければいけません。ここで乙種風圧荷重を求める式を下記にて記します。

・乙種風圧荷重=980×0.5×(d+6×2)

前問でも述べているように氷雪が付着した厚さ6mmを電線の上下に考慮する必要があります。

次に甲種風圧荷重を求める式を下記にて記します。

・甲種風圧荷重=980×d

 

この上記2式を同じ値とするならば、乙種から見て圧力は甲種の1/2なので電線の仕上がり外径は甲種の2倍となります。

よって乙種風圧荷重には氷雪が付着した状態の12mmを固定と考えたら、甲種の垂直投影面積は12㎡となります。なので乙種は2倍の24㎡すなわち電線のみの外径は12[mm]となります。

選択肢2. 12

こちらが適切な解答となります。

まとめ

今回はあえて方程式を立てずに問題を解いてみました。理屈を知っていれば暗算で求められ、問題を解く時間を短縮できます。なので勉強の理解度が高まったらこのような事も実践していく事も大切かと思います。

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