第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)上期
問79 (法規 問15)

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)上期 問79(法規 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

人家が多く連なっている場所以外の場所であって、氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積60mm2、仕上り外径15mmの6600V屋外用ポリエチレン絶縁電線(6600V OE) を使用した高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の問に答えよ。
ただし、電線に対する甲種風圧荷重は980Pa、乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは6mmとする。

低温季において電線1条、長さ1m当たりに加わる風圧荷重の値[N]として、最も近いものを次のうちから一つ選べ。
  • 10.3
  • 13.2
  • 14.7
  • 20.6
  • 26.5

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この過去問の解説 (2件)

01

高圧架空電線路の風圧荷重に関する計算問題となります。風圧荷重とは架空電線路の構成材に加わる風圧による荷重(構成材の垂直投影面積1㎡についての風圧を基礎として計算したものです。)

問題の条件を整理すると、人家が多く連なっている場所以外の場所(要するに人家が少ない場所)で氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方の低温季においての風圧荷重を求める形となります。

この条件でいくと、適用する風圧荷重は甲種風圧荷重または乙種風圧荷重のいずれか大きいものとなります。

なので、それぞれの値を求めて比較して上で値が大きい方がこの高圧架空電線路の風圧荷重となります。

まずは甲種風圧荷重を求めていきます。

甲種風圧荷重は構成材に加わる圧力を基礎として計算したもので、風速40m/s以上を想定した風洞実験に基づいた値となります。今回の問題の条件では構成材に加わる圧力は980㎩となります。さらに架空電線の仕上り外径は15mmであるので1㎡あたりの垂直投影面積は次のようになります。

・垂直投影面積=15×10-3×1=0.015㎡

上記の垂直投影面積を考慮した甲種風圧荷重は次のようになります。

・甲種風圧荷重=980×0.015=14.7[N]

 

次に乙種風圧荷重を求めます。

乙種風圧荷重は架空線の周囲に厚さ6mmの氷雪が付着した状態で、甲種風圧荷重の0.5倍(1/2)。つまり風速20m/s以上を想定した値となります。

まずは架空線の外径に厚さ6mmの氷雪を考慮した値を求めていきますが、ここで気を付けなければならないのは単純に電線の外径に厚さ6mmを足すだけではいけません。なぜなら架空線の周囲とあるので、電線を断面で考えた時に上下に氷雪が付着した状態の絵となります。よって外径15mmに厚さ6mm×2を足した値が全体の外径となります。なので垂直投影面積は次のようになります。

・垂直投影面積=(15+6×2)×10-3×1=0.027㎡

上記の垂直投影面積を考慮した乙種風圧荷重は次のようになります。

・乙種風圧荷重=980×0.5×0.027=13.23[N]

それぞれの値を比較すると、甲種風圧荷重の14.7[N]が大きいのでこちらが風圧荷重となります。

選択肢3. 14.7

こちらが適切な解答となります。

まとめ

風圧荷重に関する問題は頻出していますし、ある程度パターンを覚えれば得点源となるので重点的に学習する事をお薦め致します。

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02

この問題を解くポイントは、甲種風圧荷重と乙種風圧荷重の違いを理解し、

計算に基づいてどちらが大きいかを正確に判断することです。

それでは問題を見ていきましょう。

選択肢3. 14.7

◎条件を整理します。
• 電線の公称断面積:60 mm²
• 電線の仕上がり外径:15 mm
• 甲種風圧荷重の圧力:980 Pa
• 乙種風圧荷重の氷雪の厚さ:6 mm
求めるのは、低温季における電線1 mあたりの風圧荷重の値です。

 

甲種風圧荷重の計算をします。
甲種風圧荷重の計算式は次の通りです。
F = P × S
• F:甲種風圧荷重(N)
• P:風圧(Pa)
• S:垂直投影面積(m²)
垂直投影面積Sは次のように求めます。
S = 縦 × 横
縦 = 電線の外径(15 mm = 15 × 10⁻³ m)
横 = 電線の長さ(1 m)
計算すると、
S = 15 × 10⁻³ × 1
S = 15 × 10⁻³ m²


次に、甲種風圧荷重Fを計算します。
F = 980 × 15 × 10⁻³
F = 14.7 N

 

乙種風圧荷重の計算をします。
乙種風圧荷重も同様の式で求めますが、垂直投影面積Sを以下のように再計算します。
S = (外径 + 氷雪の厚さ × 2)× 横
外径 = 15 mm
氷雪の厚さ = 6 mm × 2 = 12 mm
計算すると、
S = (15 + 12)× 10⁻³ × 1
S = 27 × 10⁻³ m²
 

次に乙種風圧荷重Fを計算します。
F = (P × 0.5)× S
F = (980 × 0.5)× 27 × 10⁻³
F = 13.23 N

 

甲種と乙種の比較をします。
甲種風圧荷重F = 14.7 N
乙種風圧荷重F = 13.23 N
甲種風圧荷重のほうが大きいため、最終的にFを採用します。

計算結果より、低温季における電線1 mあたりの風圧荷重は14.7 Nです。

まとめ

甲種と乙種の両方を計算し、どちらが大きいかを判断することで正解にたどり着きました。

一言知識
「風圧荷重とは?」
風圧荷重は、風が物体に加える力を表します。電線の設計や安全性を確保するために重要な値です。

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