第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問24 (電力 問2)

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和6年度(2024年)上期 問24(電力 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

総落差200m、ポンプ水車・発電電動機1台よりなる揚水発電所がある。揚水時・発電時共に流量は100m3/s、損失水頭は揚水・発電共に総落差の2.5%、ポンプ効率・水車効率共に85%、発電効率・電動機効率共に98%とし、損失水頭及び上記4種の効率は、揚程、落差、出力、入力の変化によらず一定とする。

揚水時の電動機入力[MW]と、発電時の発電機出力[MW]の組合せとして、最も近いものを次のうちから一つ選べ。
  • 電動機入力:235[MW]  発電機出力:163[MW]
  • 電動機入力:235[MW]  発電機出力:159[MW]
  • 電動機入力:241[MW]  発電機出力:163[MW]
  • 電動機入力:241[MW]  発電機出力:159[MW]
  • 電動機入力:229[MW]  発電機出力:167[MW]

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この過去問の解説 (2件)

01

揚水発電所の揚水時と発電時の電力を計算します。

 

揚水時の電動機入力について考えます。

揚水時に必要な電力を計算するには、以下の式を使います。

Pmotor=ρ・g・Heffective・Q/ηpump・ηmotor

 

ここで、

ρ=1000 kg/m3(水の密度)

g=9.8m/s2(重力加速度)

損失水頭:落差の2.5% → 200 × 0.025 = 5 m

損失水頭5 mがあるため、
必要揚程 = 200 m + 5 m = 205 m

Heffective=205m(有効落差)

Q=100m3/s(流量)

ηpump=0.85(ポンプ効率)

ηmotor=0.98(電動機効率)

 

Pmotor=1000kg/m3・9.8m/s2・205m・100m3/s/0.85・0.98

Pmotor=2009000000/0.833W≈241MW

 

 

 

発電時の発電機出力について考えます。

発電時の出力を計算するには、水車効率と発電機効率を考慮します。

Pgenerator​=ρ⋅g⋅Heffective​⋅Q⋅ηturbine​⋅ηgenerator

 

ここで、​

ηturbine​=0.85(水車効率)

ηgenerator​=0.98(発電機効率)

損失水頭5 mがあるため、
Heffective=200 m − 5 m = 195 m(有効落差)

Pgenerator​=1000kg/m3⋅9.8m/s2⋅195m⋅100m3/s⋅0.85⋅0.98

Pgenerator=159186300W≈159 MW

 

計算結果に基づく結果は、

電動機入力:241[MW] 発電機出力:159[MW]です。

 

選択肢の中で計算結果に最も近いものは、

電動機入力:241[MW] 発電機出力:159[MW]です。

 

選択肢1. 電動機入力:235[MW]  発電機出力:163[MW]

この選択肢は誤りです。

選択肢2. 電動機入力:235[MW]  発電機出力:159[MW]

この選択肢は誤りです。

選択肢3. 電動機入力:241[MW]  発電機出力:163[MW]

この選択肢は誤りです。

選択肢4. 電動機入力:241[MW]  発電機出力:159[MW]

この選択肢は正しいです。

選択肢5. 電動機入力:229[MW]  発電機出力:167[MW]

この選択肢は誤りです。

まとめ

効率、流量、落差の単位をしっかり確認し、計算時に正確に反映させることが大切です。

落差は損失を考慮した「有効落差」として計算します。

揚水時と発電時では、効率を分けて計算する点に注意しましょう。

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02

この問題は、揚水発電所の「揚水して水を上げるのに必要な電力」と、「水を落として発電できる電力」を求めるものです。

正解は、電動機入力:241[MW]、発電機出力:159[MW]です。


損失水頭の計算
総落差200mの2.5%なので、損失水頭は、

 200 x 0.025=5[m]

これは揚水・発電のどちらでも同じです。


揚水時の電動機入力
水を押し上げる実質の高さ(揚程)は、総落差に損失水頭を加えたもので、

 200 + 5=205[m]
水を205m上げるのに必要な動力Pは、水の密度ρ、重力加速度g、揚程H、流量Qを用いて次の式で表されます。

 P=ρgQH

これにρ=1000[kg/m3]、g=9.8[m/s2]、Q=100[m3/s]、H=205[m]を代入して、

 P=1000 x 9.8 x 100 x 205=200900000[W]=200.9[MW]
この動力を得るためにポンプが必要とする入力Ppは、ポンプ効率ηp=0.85を用いて、

 Pp=P/ηp=200.9[MW]/0.85

電動機が必要とする入力Pmは、電動機効率ηm=0.98を用いて、

 Pm=Ppm=(200.9[MW]/0.85)/0.98=241[MW]
     
発電時の発電機出力
水車が利用できる実質の高さ(有効落差)は、総落差から損失水頭を引いたもので、

 200ー5=195[m]
195m落ちる水がもつ動力Pは、

 P=ρgQH=1000 x 9.8 x 100 x 195=191100000[W]=191.1[MW]
この動力から得られる電力Pgは、水車と発電機の効率を考慮して、元の動力より小さくなります。効率の数値をPに掛けて計算します。
 Pg=191.1 x 0.85 x 0.98=159[MW]

まとめ

揚水時は「揚程=総落差+損失」、発電時は「有効落差=総落差ー損失」を使って計算しましょう。
水が与える動力は、流量と有効な高さに比例することを理解しておきましょう。

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