技術士の過去問
平成28年度(2016年)
基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問23
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問題
技術士 第一次試験 平成28年度(2016年) 基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問23 (訂正依頼・報告はこちら)
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あるが、アミノ酸1個に対してDNAを構成する塩基3つが1組となって1つのコドンを形成して対応し、コドンの並び方、すなわちDNA塩基の並び方がアミノ酸の並び方を規定することにより、遺伝子がタンパク質の構造と機能を決定する。しかしながら、DNAの塩基は4種類あることから、可能なコドンは4×4×4=64通りとなり、アミノ酸の数20をはるかに上回る。この一見して矛盾しているような現象の説明として、最も適切なものはどれか。
- 64-20=44のコドンのほとんどは20種類のアミノ酸に振分けられ、1種類のアミノ酸に対していくつものコドンが存在する。
- 基本となるアミノ酸は20種類であるが、生体内では種々の修飾体が存在するので、64-20=44のコドンがそれらの修飾体に使われる。
- 64のコドンは、DNAからRNAが合成される過程において配列が変化し、1種類のアミノ酸に対して1種類のコドンに収束する。
- 生物の進化に伴い、1種類のアミノ酸に対して1種類のコドンが対応するように、64-20=44のコドンはタンパク質合成の鋳型に使われる遺伝子には存在しなくなった。
- コドン塩基配列の1つめの塩基は、タンパク質の合成の際にはほとんどの場合、遺伝情報としての意味をもたない。
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この過去問の解説 (3件)
01
各項目の内容は以下の通りです。
1.正しいです。
1種類のアミノ酸を指令するコドンが複数あるので、
コドンが64通りあっても、指令するアミノ酸は20種です。
2.誤りです。
コドンはアミノ酸の修飾体を指令するものではないので、間違いです。
3.誤りです。
DNAからRNAに遺伝情報を転写する際には、DNAのアンチセンス鎖を鋳型にして、
RNAに遺伝情報を複製します。
そのため、配列が変化し、64通りが20通りになるわけではありません。
4.誤りです。
進化の過程で欠落が起きたのであれば、欠落途中の生物が発見される筈ですが、
現在、殆どの生物でコドンは共通なことが分かっています。
したがって、44通りが使われなくなったとは考え難いです。
また、1種のアミノ酸を指令するコドンが複数あることが分かっています。
5.誤りです。
コドンは塩基3つが1セットとなり、アミノ酸を指令するので、
1つ目の塩基が意味を持たないというのは不適当です。
また、1つ目のコドンはアミノ酸を指令する以外に、
タンパク質の合成(翻訳)を開始する開始コドンとしての意味があります。
以上から、1が正解です。
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02
正解は1です。
まず、アミノ酸は20種類あるといっているのは、アラニン・アルギニン・アスパラギン…(中略)…セリン、チロリンのことです。
DNA塩基が4つあるといっているのはアデニン(A)チミン(T)グアニン(G)シトシン(C)のことです。
問題文の
===
アミノ酸1個に対してDNAを構成する塩基3つが1組となって1つのコドンを形成して対応し、コドンの並び方、すなわちDNA塩基の並び方がアミノ酸の並び方を規定することにより~~~
===
というのは要するに、DNA塩基4つのうち3つを順番に並べたものがあるアミノ酸に対応するということで、例えばAGCならばセリン、GCAならばアラニン…といった具合です。
問題は、4つの塩基を好きに選んで3つを順番に並べるパターンは64通りあるけど、アミノ酸は20種類しかないのはなぜか?と聞かれています。
各選択肢はざっくりいうと、「1つのアミノ酸に複数のコドン(パターン)が対応している」「アミノ酸以外の修飾体に対応している」「変化の過程で20パターンに収束する」「生物の進化によって使われなくなったコドンがある」「一番目の塩基は役に立たない(AGCならばGCしか意味がない)」とそれぞれ言っています。
正しいのは「1つのアミノ酸に複数のコドン(パターン)が対応している」で、たとえばアラニンにはGCA、GCC、GCG、GCTが対応しています。
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03
1.適切です
64種類のうち61種類のコドンがアミノ酸の種類を決定しており、アミノ酸1種類の中には、複数のコドンが存在しています。
2.不適切です
コドンは服飾体に用いられるものではないので、誤りです。
3.不適切です
選択肢1に記述した通りであり、アミノ酸1種類中に複数のコドンが存在することから、誤りです。
4.不適切です
選択肢3と同様の理由で誤りです。
5.不適切です
一つ目の塩基も遺伝情報としての意味を持っているので、誤りです。
よって、1が正解です。
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