保育士の過去問
平成24年(2012年)
精神保健 問56

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問題

保育士試験 平成24年(2012年) 精神保健 問56 (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
10歳の男児。母親によると本児にはこだわり行動があるという。部屋に入るときには咳払いをし。ドアのノブに2度触れなくてはならず、さらに頭を左右に傾けたり、何回もまばたきをしたりしなければならない。この行為は2年程前に始まり、最初はまばたきだけであったが、その後、他の症状が引き続き起こり、症状が強くなったり弱くなったりの経過をたどっている。最近では、突然卑猥な言葉を叫ぶことがあるという。本人は、ドアのノブに触れる事が苦痛ではないといい、身体的神経学的検査では異常は認められなかった。

【設問】
この子どもで最も疑われる精神医学的問題を一つ選びなさい。
  • 強迫性障害
  • ド・ラ・トゥレット症候群
  • 慢性運動性チック
  • 身体表現性障害
  • 協調運動障害

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この過去問の解説 (3件)

01

正解…「2」
ド・ラ・トゥレット症候群
チックという一群の神経精神疾患のうち、音声や行動の症状を主体とし慢性の経過をたどるものを指します。小児期に発症し、18歳までにチックが消失、または予後は良いとされています。

1・強迫性障害
同じ行為や同じ思考を自分の意に反して繰り返してしまう精神疾患の一種です。


3・慢性運動性チック
瞬き、首振り、顔しかめ、物にさわる、飛び上がるなどの症状が12ヶ月以上持続し、3ヶ月以上持続してチックが消失することがない障害です。

4・身体表現性障害
痛みや吐き気、しびれなどの自覚的な身体症状があり、日常生活を妨げられているものの、それを説明するような一般の身体疾患、何らかの薬物の影響、ほかの精神疾患などが認められず、むしろ心理社会的要因によって説明される障害です。

5・協調運動障害
諸種の別々の動作を一つにまとめる協調性運動がぎこちない、あるいは全身運動や微細運動がとても不器用な障害を言います。そのために、学習や日常生活に大きな影響を及ぼしている場合のことです。

参考になった数8

02

【正解】 2

1 強迫性障害 ×
同じ行為や思考を、非合理的だと分かりながら自分の意に反して何度も繰り返す精神疾患です。
本人が苦痛としていないので、今回の事例には当てはまりません。

2 ド・ラ・トゥレット症候群 ○
3 慢性運動性チック △
「チック」とは突然起こる反復性の運動や発声のことで、運動(性)チックと音声(性)チックに分けられます。運動チックでは、瞬き・首ふり・ジャンプなど、音声チックでは、咳払い・奇声などがみられます。運動チックと一つ以上の音声チックが長期に渡り続く場合に「トゥレット症候群」と診断されます。
今回の事例では、運動チックの他に音声チックもみられるので、2のド・ラ・トゥレット症候群と推測するのが適切です。

4 身体表現性障害 ×
身体の痛みや吐き気などの身体症状があり、それにより日常生活が妨げられ、その症状をコントロールできないと考えている状態をさします。

5 協調運動障害 ×
協調運動障害とは、手と足を同時に動かすなどの協調的運動がぎこちない、または手先が非常に不器用な障害で、学習や日常生活に大きな影響を及ぼしている場合をいいます。

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03

正解は2です。

ド・ラ・トゥレット症候群とは、小児期に見られる神経発達障害の一つで運動チックと音声チックが慢性的に見られる症状が特徴です。事例の男児には、頭を左右に傾けたり、何回もまばたきをしたりするという運動チックの他、突然卑猥な言葉を叫ぶという汚言症を伴う音声チックが見られるので、「ド・ラ・トゥレット症候群」が適切な答えだと言えます。

以下はその他の用語の解説です。

1 強迫性障害とは同じ行動や思考を自分の意に反して繰り返してしまう精神疾患の一つです。症状としては一日に何度も手を洗う、お風呂に繰り返し入る、戸締まりやガス栓の確認を何度も行うなどの行動が見られます。

3 慢性運動性チックは瞬き、首振り、顔しかめ、物にさわる、飛び上がるなどの運動チックが慢性的に続く症状です。上記の「トゥレット症候群」と似ていますが、トゥレット症候群が運動チックと音声チックの両方を持っているのに対し、運動性チックには音声チックは見られません。

4 身体表現性障害は身体の痛みや吐き気などの自覚的な身体症状が起こり、それがコントロールできず日常生活に支障をきたしている状態を言います。

5 協調運動障害は手足の運動を同時に行うことが難しいなどの運動機能に不器用さが見られる障害を言います。

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