保育士の過去問
令和2年(2020年)後期
社会的養護 問36
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問題
保育士試験 令和2年(2020年)後期 社会的養護 問36 (訂正依頼・報告はこちら)
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
児童養護施設に勤務するJ保育士( 25歳、男性)は、実父からの激しい身体的虐待が原因で入所したK君( 17歳、男児)を担当している。ある日、職員不在の場面でK君が同じ施設に入所している同室のL君( 16歳、男児)の携帯電話を無理矢理に取り上げ、使い始めた。取り返そうとしたL君に対して押し倒し、3回蹴飛ばした。L君は悲痛な表情でJ保育士に事情を伝えに来た。すぐにJ保育士はK君とK君の自室で2人で話をすることにした。J保育士の注意に対してK君は悪びれる様子もなく、「あいつ、うざいんだよ。職員に言いつけやがって。今度殺してやる。」と話した。日頃から他児に対して暴力を振るうことが多かったK君に対してJ保育士は腹を立て、K君の胸ぐらをつかみ、「自分がしていることを分かっているのか。反省しろ。」と怒鳴った。その後、罰としてK君にその日の夕食を与えないこととした。
【設問】
J保育士のこの対応の説明として、適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 「民法」により親権者の懲戒権は認められており、時には子どもの行動を正すために、胸ぐらをつかみ、怒鳴ったり、食事を与えない程度であればしつけとして認められている。
B K君の行動は実父からの虐待が要因として考えられるため、J保育士のこうした対応は暴力を肯定することにつながるとともに、フラッシュバックを生じさせる可能性がある。
C K君の行動は実父からの虐待が要因として考えられるため、J保育士はK君の暴力を肯定するべきであった。
D J保育士のこの対応は、被措置児童等虐待にあたる可能性があるため、K君を含めこの状況を発見した者は児童相談所等に通告することとされている。
【事例】
児童養護施設に勤務するJ保育士( 25歳、男性)は、実父からの激しい身体的虐待が原因で入所したK君( 17歳、男児)を担当している。ある日、職員不在の場面でK君が同じ施設に入所している同室のL君( 16歳、男児)の携帯電話を無理矢理に取り上げ、使い始めた。取り返そうとしたL君に対して押し倒し、3回蹴飛ばした。L君は悲痛な表情でJ保育士に事情を伝えに来た。すぐにJ保育士はK君とK君の自室で2人で話をすることにした。J保育士の注意に対してK君は悪びれる様子もなく、「あいつ、うざいんだよ。職員に言いつけやがって。今度殺してやる。」と話した。日頃から他児に対して暴力を振るうことが多かったK君に対してJ保育士は腹を立て、K君の胸ぐらをつかみ、「自分がしていることを分かっているのか。反省しろ。」と怒鳴った。その後、罰としてK君にその日の夕食を与えないこととした。
【設問】
J保育士のこの対応の説明として、適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 「民法」により親権者の懲戒権は認められており、時には子どもの行動を正すために、胸ぐらをつかみ、怒鳴ったり、食事を与えない程度であればしつけとして認められている。
B K君の行動は実父からの虐待が要因として考えられるため、J保育士のこうした対応は暴力を肯定することにつながるとともに、フラッシュバックを生じさせる可能性がある。
C K君の行動は実父からの虐待が要因として考えられるため、J保育士はK君の暴力を肯定するべきであった。
D J保育士のこの対応は、被措置児童等虐待にあたる可能性があるため、K君を含めこの状況を発見した者は児童相談所等に通告することとされている。
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この過去問の解説 (3件)
01
A ×
保育士には親権者の懲戒権は認められていません。施設長に限り、懲戒の権限はその児童の福祉に反しない限り認められます(親権者のいない児童に関しては親権者の代行もします)。しかし、身体的苦痛や人格を貶めるなどの行為は禁止されています。
B ○
暴力で対応するのではなく、K君の心理的背景を鑑み、職員間で今一度K君への対応を再考するなどします。
C ×
暴力の肯定はせず、話し合いで解決できる方法を示すなどします。暴力で自分の意見を伝える方法は、人とより良い関係を築くには不要です。特にK君は実父の暴力によって心に傷を負っている状態なので、追体験をさせるような行為は慎みます。
D ○
子どもの権利として、K君自身も通告出来ます。
元々家庭での養育は適当でなく、様々な理由で入所してきた子ども達です。心のケアと、人への信頼感を復帰させるべく愛情を持って接する場である養護施設において、虐待にもあたるような行為をして更に心や体を傷付けることは、倫理に反します。当事者や発見者は通告する義務にあります。
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02
A 不適切です。「民法」第822条により,親権者の懲戒権は認められています。しかし、2019(令和元)年の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」により、 「親権者は、児童のしつけに際して体罰を加えてはならないこととする。児童福祉施設の長等についても同様とする。」と改正されているため、この対応はよくありません。
B 適切です。身体的虐待を受けた子どもは、自分がされたことと同じことを他者にしてしまう傾向があります。また保育士が実父と同じようにK君を脅すような行為をするとそれがフラッシュバックしK君の心身に悪影響を与えてしまう恐れがあります。まずは、K君の気持ちが落ち着くのを待ち、思いに寄り添うことが大切です。暴力や暴言など、子どもを脅すような対応は保育者・養育者として絶対にしてはならないことです。
C 不適切です。K君の暴力が実父からの影響であることがわかっていてもその行為自体を肯定してはいけません。K君に暴力はいけないことだということを丁寧に伝えていかなければなりません。
D 適切です。J保育士のこの対応は、被措置児童等虐待にあたる可能性があると考えられます。被措置児童等虐待とは、被措置児童に対する施設職員や里親からの虐待のことを言い、その場にいる職員を含め施設長等には通告義務があります。
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03
A × 不適切です。
「民法」第822条により,親権者の懲戒権は認められていますが、2019(令和元)年の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」により、 「親権者は、児童のしつけに際して体罰を加えてはならないこととする。児童福祉施設の長等についても同様とする。」と改正されました
B ○ 適切です。
C × 不適切です。
実父からの虐待がK君の行動に影響していることは考えられますが、暴力を肯定することは認められません
D ○ 適切です。
被措置児童虐待とは,被措置児童に対する,施設職員や里親からの虐待のことを言います。
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