保育士の過去問
令和3年(2021年)後期
子どもの保健 問107

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問題

保育士試験 令和3年(2021年)後期 子どもの保健 問107 (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、注意欠如多動症(ADHD)に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A  動きの多さ(多動)は必ずみられる症状である。
B  自閉スペクトラム症(ASD)の症状があるケースは除外される。
C  成人期には多動傾向は軽減し、不注意症状が優性となり、男女の比率も小児期に比べると差異が少なくなる。
D  WISC などの発達検査はアセスメントをする上で補助的ツールとしての意味がある。
E  聴覚などの感覚過敏を必ず伴う。
  • A:○  B:○  C:○  D:○  E:○
  • A:○  B:○  C:○  D:×  E:×
  • A:○  B:×  C:○  D:×  E:×
  • A:×  B:×  C:○  D:○  E:×
  • A:×  B:×  C:×  D:×  E:×

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

注意欠如多動症(ADHD)は、脳の発達障害の一つです。

1.不注意(集中していられない、すぐ気が散るなど)

2.多動・衝動性(じっとしていられない、衝動的に行動してしまうなど)

という特性がみられます。

行動の現れ方は様々であり、上記の特性がすべて現れるとは限りません。

12歳までにいくつかの特性が現れることがADHDの診断基準の一つとなりますが、近年では大人になってから診断されるケースも増えています。

原因ははっきりと解明されていませんが、生まれつきの脳の特性であり、育児方法などの後天的な要因で起こるものではないとされています。

ADHDの特性がある子どもは、生活していく中で周囲になじめなかったりすることで、精神的に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。

親、教師、医師などが連携し、個人の特性に合わせた対応や環境づくりをしていくことが大切です。薬物療法を併用する場合もあります。

A.×

多動性はADHDの特性の一つであり、必ずしもすべてにみられるものではありません。

B.×

2013年にアメリカの精神医学会で、精神疾患の診断基準であるDSM-5が発表されました。

それ以前は別の疾患とされていたADHDと自閉スペクトラム症(ASD)は併存するということがこのDSM-5により認められました。

C.〇

成長するにつれ、多動性は軽減し不注意症状が強くみられる傾向があります。

成人期に症状が消失することもあります。

またADHDは女児より男児に多くみられますが、成人期では男女差はなくなります。

これは、男児のほうが多動性などによるトラブルが起きやすく、結果的に受診、診断につながるケースが女児より多いためといわれています。

D.〇

WISCは、知能検査としてよく使われています。

「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリー」の四つの指標があり、これらを数値化して発達の状態を見るために行います。

WISC検査のみではADHDの診断はできず、補助的なものとして行います。

対象年齢は5歳0か月から16歳11カ月です。

E.×

聴覚、嗅覚などの感覚過敏は、ADHDの特性を持つ人の中にみられることがありますが、すべての人に現れるものではありません。

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02

正解:4

ADHD(注意欠如多動症)は、女性より男性の方に多く見られ、不注意優勢型、他動・衝動性優勢型、混合型の大きく3つの型に分けられます。

不注意優勢型:気が散りやすく、忘れ物やうっかりミスが多い、勉強や遊びが最後までできない

他動・衝動性優勢型:(多動)じっと座っていられず席を離れる

(衝動)思いついたことをよく考えずに行動してしまう

混合型:不注意と他動・衝動性両方の症状を同程度ずつ持っている

上記の症状が6ヶ月以上継続し、DSM-5やWISC、田中・ビネー知能検査などの診断を元に、ADHDの診断がされます。

DSM-5:ADHDのほか、自閉スペクトラム症や知的能力障害などの精神疾患の併在診断が可能

WISC:5歳0か月~16歳11か月の子どもが対象。言語理解・知覚推理・処理速度・ワーキングメモリーの4つの指針とIQの数値化

田中・ビネー知能検査:2歳~成人が対象。言語、動作、記憶、知覚などを数値化

成人するころには多動傾向は軽減し、不注意症状が優勢となっていきます。感覚過敏はADHDの子どもより、自閉スペクトラム症の子どもに多く見られます。

A→×

多動症状より不注意症状が強く出る子どももいるため、必ず見られる症状とは言えません。

B→×

DSM-5により、ADHDと自閉スペクトラム症の併存診断が可能となったことから、この2つを併合している子どももいます。

C→○

成人期には多動症状よりも不注意症状が優性となることが多いです。

男女の比率も小児期と比べて差異は少なくなります。

D→○

WISCや田中・ビネー知能検査等の発達検査は、ADHD診断の補助をするために使われます。

E→×

感覚過敏は必ずしもADHDの子ども全員に見られるとは限りません。

参考になった数8

03

注意欠如多動症(ADHD)の原因は不明ですが、中枢神経系になんらかの要因による機能不全があるためと推定されています。

注意欠如多動症(ADHD)の特徴

不注意が多い

 活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど

多動性および衝動性が強い

 じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)

上記の症状のいくつかが12歳以前より認められること

・2つ以上の状況(家庭、学校、職場、その他の活動中など)で障害となっていること

・これらの症状によって、生活の様々な場面において影響があること

参考:「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」(DSM-5)

注意欠如多動症(ADHD)は成人期まで持続する疾患で、大人になってから判明する事例もあります。

また、注意欠如多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)をはじめ、様々な障害との併存も認められています。

【設問】A~Eを解説します。

A ×

特徴のひとつで、必ずしも多動の症状があるとは限りません。

B ×

注意欠如多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)との併存もあります。

他にも学習障害(LD)など、様々な障害と併存しやすいです。

C 〇

注意欠如多動症(ADHD)は成人期まで持続する疾患ですが、症状は減少することが多いです。主に、多動傾向が少なくなり、それに伴って不注意の傾向が強く見られます。

注意欠如多動症(ADHD)は学童期の子どもで3〜7%、男の子のほうが女の子より3〜5倍多いと言われています。成人では診断に該当する人の割合は2.5%となり、男女比は1:1程になります。

D 〇

WISC検査の目的は、子どもの得意なことと苦手なことを把握し、子どもに合った関わり方やより伸ばすと良いポイントを知ることです。そのため、発達障害を診断することはできませんが、アセスメントするうえで補助的なツールとして用いられます。

WISC(ウィスク)はウェクスラー式知能検査の1つで、幼児用:WPPSI、児童用:WISC、成人用:WAISがあります。

E ×

注意欠如多動症(ADHD)の特徴のひとつですが、必ず感覚過敏があるわけではありません。

よって正解は以下になります。

「A:× B:× C:○ D:○ E:×」

選択肢1. A:○  B:○  C:○  D:○  E:○

不正解です。

選択肢2. A:○  B:○  C:○  D:×  E:×

不正解です。

選択肢3. A:○  B:×  C:○  D:×  E:×

不正解です。

選択肢4. A:×  B:×  C:○  D:○  E:×

正解です。

選択肢5. A:×  B:×  C:×  D:×  E:×

不正解です。

まとめ

近年発達障害が増えていると言われています。注意欠如多動症(ADHD)やその他発達障害についても調べておきましょう。

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