保育士の過去問
令和4年(2022年)後期
教育原理 問7

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問題

保育士試験 令和4年(2022年)後期 教育原理 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」(令和元年12月3日文部科学省・国立教育政策研究所)における日本の結果として、不適切な記述を一つ選びなさい。
  • 数学的リテラシー及び科学的リテラシーは、引き続き世界トップレベルである。
  • 読解力は、OECD平均より高得点のグループに位置するが、前回より平均得点・順位が統計的に有意に低下した。
  • 読解力の問題で、日本の生徒の正答率が比較的低かった問題には、テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題などがあった。
  • 生徒質問調査から、日本の生徒は「読書は、大好きな趣味の一つだ」と答える生徒の割合がOECD平均より高いなど、読書を肯定的にとらえる傾向がある。
  • 社会経済文化的背景の水準が低い生徒群で、習熟度レベルの高い生徒の割合が他のOECD加盟国よりも顕著に多かった。

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この過去問の解説 (2件)

01

OECD(経済協力開発機構)による、

生徒の学習到達度調査(PISA)です。

2000年から3年ごとに、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野で実施されています。

15歳(日本では高校一年生)が対象です。

選択肢1. 数学的リテラシー及び科学的リテラシーは、引き続き世界トップレベルである。

誤りはありません。

科学的リテラシー→平均529点(1位/37か国) 前回(平均538点、1位

数学的リテラシー→平均527点(1位/37か国) 前回(平均532点、1位

となっており、引き続き世界トップレベルを維持しています。

選択肢2. 読解力は、OECD平均より高得点のグループに位置するが、前回より平均得点・順位が統計的に有意に低下した。

誤りはありません。

読解力→OECD平均487点、日本平均点504点(11位/37か国)

前回平均516点(6位/35か国)

となっています。

平均点・順位共に前回から低下していますが、OECD平均より高得点であることが読み取れます。

選択肢3. 読解力の問題で、日本の生徒の正答率が比較的低かった問題には、テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題などがあった。

誤りはありません。

「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」(令和元年12月3日文部科学省・国立教育政策研究所)内に、

情報を探し出す問題や評価し、熟考する問題について正答率が低いという記述があります。

選択肢4. 生徒質問調査から、日本の生徒は「読書は、大好きな趣味の一つだ」と答える生徒の割合がOECD平均より高いなど、読書を肯定的にとらえる傾向がある。

誤りはありません。

日本を含むOECD全体での傾向として、

本を読む頻度は2009年と比較して減少傾向にあります。

しかし「読書は、大好きな趣味の一つ」と答える生徒が

日本45.2%(3.2ポイント増)、OECD平均33.7%(0.4ポイント増)

と、読書を肯定的に捉える生徒がOECD平均より多いことが分かっています。

選択肢5. 社会経済文化的背景の水準が低い生徒群で、習熟度レベルの高い生徒の割合が他のOECD加盟国よりも顕著に多かった。

文章に誤りがあります。

ESCS(社会経済文化的背景)・・・保護者の学歴や家庭の所有物に関する質問から値を出すものです。

この値が高いほど、社会経済文化的水準が高いとみなされます。

日本、OECD共にESCSの値が大きいほど習熟度レベルが高い生徒の割合が多いです。

しかし日本はESCSの値の水準が低くても高くても、習熟度レベルの差は他国に比べて最も小さいです。

ですので、選択肢の文章は不適切といえます。

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02

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

 

OECDが進めているPISAと呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査であり、日本では高校一年生を対象に読解リテラシー、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに本調査を実施しています。

選択肢1. 数学的リテラシー及び科学的リテラシーは、引き続き世界トップレベルである。

科学的リテラシー→平均529点(1位/37か国) 前回(平均538点、1位)

数学的リテラシー→平均527点(1位/37か国) 前回(平均532点、1位)

 

引き続き世界トップレベルを維持しているため、誤りはありません。

 

選択肢2. 読解力は、OECD平均より高得点のグループに位置するが、前回より平均得点・順位が統計的に有意に低下した。

読解力→OECD平均487点、日本平均点504点(11位/37か国)

前回平均516点(6位/35か国)


平均点・順位共に前回から低下していますが、OECD平均より高得点であることが読み取れるため、誤りはありません。
 

選択肢3. 読解力の問題で、日本の生徒の正答率が比較的低かった問題には、テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題などがあった。

「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」(令和元年12月3日文部科学省・国立教育政策研究所)内に、「読解力の自由記述形式の問題において、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに、引き続き、課題がある。」と記載があるため、誤りはありません。
 

選択肢4. 生徒質問調査から、日本の生徒は「読書は、大好きな趣味の一つだ」と答える生徒の割合がOECD平均より高いなど、読書を肯定的にとらえる傾向がある。

日本を含むOECD全体の傾向として、本の種類にかかわらず本を読む頻度は2009年と比較して減少傾向にあります。OECD平均と比較すると、
・「読書は、大好きな趣味の一つ」:日本45.2%(3.2ポイント増)、OECD平均33.7%(0.4ポイント増)
・「どうしても読まなければならない時しか、読まない」:日本39.3%(8.2ポイント減)、OECD平均49.1%(7.8ポイント増)
と、日本は読書を肯定的にとらえる生徒の割合が多い傾向にあり、誤りはありません。
 

選択肢5. 社会経済文化的背景の水準が低い生徒群で、習熟度レベルの高い生徒の割合が他のOECD加盟国よりも顕著に多かった。

社会経済文化的背景(ESCS)…保護者の学歴や家庭の所有物に関する質問から作成します。この値が大きいほど、社会経済文化的水準が高いです。
日本、OECD平均ともに、ESCSが高い水準ほど習熟度レベルが高い生徒の割合が多く、反対にESCSが低い水準ほど習熟度レベルが低い生徒の割合が多いです。
日本は、OECD加盟国内で、社会経済文化的水準の生徒間の差が最も小さく、2018年調査においても同様の傾向が見られます。よって、誤りがあります。

 

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