保育士の過去問
令和5年(2023年)前期
教育原理 問8

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問題

保育士試験 令和5年(2023年)前期 教育原理 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文は、2019(令和元)年12月に文部科学省から示された政策についての説明である。その政策の名称として、正しいものを一つ選びなさい。

・1人1台端末及び高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する。
・多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる。

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この過去問の解説 (2件)

01

  • 2018年に学習指導要領が改訂され、新学習指導要領では外国語教育やプログラミング教育が強化されました。

本問は学校でのプログラミング教育の強化に向けた政府の取り組みに関して問うものです。

************************************

  • 正解は、「GIGAスクール構想」です。
  • キーワードは、「1人1台端末及び高速大容量の通信ネットワーク」、「公正に個別最適化された学び」です。

GIGAスクール構想

2019年開始の文部科学省による取り組み

・リーフレット「GIGAスクール構想の実現へ」(文部科学省発行)より

1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する

正解以外の選択肢についても確認しておきましょう。

SDGs教育プロジェクト

文部科学省は、2030年までにSDGs(持続可能な開発目標)達成するべく、ESD(持続可能な開発のための教育)を主導しています。

ESDは、小学校から大学に至るまでのすべての教育段階において推進されており、新学習指導要領にもESDの目的である「持続可能な社会の創り手の育成」が掲げられています。

プログラミング教育プロジェクト

2020年から小学校でプログラミング授業が必修化されたことに伴い、文部科学省は総務省、経済産業省とともに企業と連携して効果的なプログラミング教育を実施する取り組みを行っています。

なお、小学校におけるプログラミング教育では「プログラミング的思考」の習得を重視しています。

ICT活用教育プロジェクト

文部科学省は、教育現場における、PCや電子黒板、eラーニング、デジタル教科書などICT(情報通信技術)の積極的な活用を推進しています。

選択肢1. SDGs教育プロジェクト

誤りです。

選択肢2. プログラミング教育プロジェクト

誤りです。

選択肢3. ICT活用教育プロジェクト

誤りです。

選択肢4. GIGAスクール構想

正解です。

選択肢5. デジタルスクール構想

誤りです。

まとめ

小学校のプログラミング教育で学習する「プログラミング的思考」とは、

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力(文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」より)

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02

2019(令和元)年12月に文部科学省から示された政策について問われています。

まず、選択肢の各政策はどのようなものかみていきましょう。

1.SDGs教育プロジェクト:

2015年、「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が採択されました。

SDGsの達成に貢献する「持続可能な開発のための教育(ESD)」

持続可能な開発のための教育(ESD)とは、

・ 持続可能な社会づくりの担い手を育むため、現代社会における地球規模の諸課題を自らに関わる問題として主体的に捉え、その解決に向け自分で考え、行動する力を身に付けるとともに、新たな価値観や行動等の変容をもたらすための教育。

・国際理解、環境、文化多様性、人権、平和等の個別分野を持続可能な開発の観点から 統合した分野横断的な教育。

4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。(「SDGs実現に向けた文部科学省の取組」より)

教育は社会を変えていくためのあらゆる行動の根幹をなすものです。そのため、ESDはターゲットのひとつとして位置付けられているだけでなく、SDGsの17すべての目標の実現の鍵を握ると言われ、重要視されています。

文科省では、2017年に公示された幼稚園教育、小中高等学校の学習指導要領において、「持続可能な社会の創り手」の育成を掲げています。(SDGs ACTION!サイトより引用)

2.プログラミング教育プロジェクト

. 文部科学省、総務省及び経済産業省では、小学校プログラミング教育の実施に向けた準備を推進するため、2019年9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間(通称:みらプロ)」と設定しました。 令和2年度においては、新学習指導要領が全面実施されることに伴い、小学校プログラミング教育の充実を図るため、「みらプロ」として、実施月を特定せず通年で、「企業と連携し、「プログラミングが社会でどう活用されているか」に焦点を当てた総合的な学習の時間における指導案等の提供を行う取組」を実施します。

 プログラミング的思考(物事を順序立てて論理的に考える力)や、プログラミングの知識・技術を学ぶための教育のことです。

小学校では2020年から必修化、中学校では2021年からプログラミングに関する授業内容が充実し、高等学校では2022年から必修化(生徒全員が学ぶ「情報Ⅰ」が新設された)になりました。

プログラミング教育を必修化する目的・ねらいは、大きく下記の3つに分かれます。

  1. プログラミング的思考を育む(思考力、判断力、表現力など)
  2. 生活がコンピューターによって支えられていることに気付き、身近な問題解決のためにプログラミングを活用したり、より良い社会を築こうとしたりする態度を育む(知識および技能)
  3. 各教科のなかでプログラミング教育をおこなう場合は、各教科の学びをより確実なものにする

 

①「プログラミング的思考」を育むこと

②プログラムの働きやよさ、情報社会がコ ンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと

③各教科 等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすること

3.ICT活用教育プロジェクト

子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて ~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~ 

・1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の「スタンダード」

多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む

・特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げる

・学校における働き方改革

・ICT 環境の整備は手段

・子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、 予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成していくことが必要

・ネットリテラシーなどの情報活用能力を育成していくことも重要

(文部科学大臣メッセージの一部引用  令和元年(2019 年)12 月 19 日)

新学習指導要領に基づき、資質・能力の三つの柱をバランスよく育成するため、 子供や学校等の実態に応じ、各教科等の特質や学習過程を踏まえて、 教材・教具や学習ツールの一つとしてICTを積極的に活用し、 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげることが重要。

【留意点】 ○資質・能力の育成により効果的な場合に、ICTを活用する。

○限られた学習時間を効率的に運用する観点からも、ICTを活用する。

<資質・能力の三つの柱>

①学びを人生や社会に 生かそうとする 学びに向かう力、 人間性等の涵養

②生きて働く知識及び 技能の習得

③未知の状況にも対応 できる 思考力、判断力、 表現力等の育成

※一斉学習における学習課題等の大型提示装置を活用した効果的・効率的な提示・説明などのICTの活用も、引き続き重要である

※災害や感染症の発生等により学校の臨時休業等が行われる場合においても、ICTを活用した家庭学習により、 児童生徒の学びの保障が可能になる

4.GIGAスクール構想

文部科学省では、子どもたちに向けて、1人1台の端末をはじめICT環境の整備(せいび)を行っています。

 社会のあらゆる場所でICTの活用が日常(にちじょう)のものとなっている今の時代を生きる子どもたちにとって、ICT端末(たんまつ)は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムです。

 インターネットなどを使って、何かを調べ議論(ぎろん)したり、良識(りょうしき)のある情報発信をしていくためのものです。

 授業(じゅぎょう)の中で、わかる授業や魅力(みりょく)ある授業の実現(じつげん)に役立てていきます。

(これまでの教育)×(ICT) 

(学習活動がより充実!、 1人1人に合わせた教育 、自分の考えを広げて深める教育)

文部科学省では、全ての子どもたちの可能性を引き出し、質の高い学びの実現に向け、ICT環境の整備(せいび)を進めていきます。

文部科学省のGIGAスクール構想とは、全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する取り組みである。GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略で、世界につながる革新的扉を意味する。この構想は、教育格差をなくし、子どもたちの個性に合わせた個別最適な学びと創造性を育む教育環境を実現することを目指している。

2019年に提唱され、2021年度から本格的な運用が始まっている。 (Bingより引用)

〇令和時代における学校の「スタンダード」として,小学校から高等学校において,学校における高速大容量のネットワーク環境(校内 LAN)の整備を推進するとともに,令和2(2020)年度中に義務教育段階の全学年の児童生徒1人1台端末環境の整備を目指し,家庭への持ち帰りを含めて十分に活用できる環境の整備を図ることとなった。

〇この GIGA スクール構想の実現により,災害や感染症の発生等による学校の臨時休業等の緊急時においても不安なく学習が継続できることを目指すとともに,これまでの実践と ICT の活用を適切に組み合わせていくことで,これからの学校教育を大きく変化させ,様々な課題を解決し,教育の質を向上させることが期待される。

(「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)【本文】より)

5.デジタルスクール構想

教育のデジタル化とは、教育現場におけるICT(情報通信技術)環境を整えることを目的とした政府方針です。教育現場でのICTにはパソコンや電子黒板、無線LAN、デジタル教科書などがあります。

次のような5つのメリットがあります。

・視覚・聴覚を刺激する学び|より分かりやすい授業を実現

・ 双方向型の学び|教育の質が向上する

・ デジタル機器に慣れる|21世紀スキルへの対応

・ 教職員の業務効率アップ|負担を軽減できる

・ペーパーレスを実現|生徒の通学時にかかる負担を軽減

(UMUユームテクノロジージャパン株式会社 コラムより引用)

設問のキーワードは、「1人1台の端末」、「高速大容量の通信ネットワーク」、「誰一人取り残すことのない」、「個別最適化」、「持続的」です。

これより、「GIGAスクール構想」が正解です。

選択肢1. SDGs教育プロジェクト

誤りです。

選択肢2. プログラミング教育プロジェクト

誤りです。

選択肢3. ICT活用教育プロジェクト

誤りです。

選択肢4. GIGAスクール構想

正解の選択肢です。

選択肢5. デジタルスクール構想

誤りです。

まとめ

学校教育関連のプロジェクトや構想について、主な名称と内容を整理して把握しておきましょう。

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