保育士の過去問
令和5年(2023年)前期
社会的養護 問3
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問題
保育士試験 令和5年(2023年)前期 社会的養護 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文は、「児童養護施設運営指針」(平成24年3月厚生労働省)の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
子どもの入所理由の背景は単純ではなく、複雑・重層化している。ひとつの虐待の背景をみても、経済的困難、両親の不仲、精神疾患、( A )など多くの要因が絡み合っている。そのため、入所に至った直接の要因が改善されても、別の課題が明らかになることも多い。
こうしたことを踏まえ、子どもの背景を十分に把握した上で、必要な( B )も含めて養育を行っていくとともに、( C )も丁寧に行う必要がある。
子どもの入所理由の背景は単純ではなく、複雑・重層化している。ひとつの虐待の背景をみても、経済的困難、両親の不仲、精神疾患、( A )など多くの要因が絡み合っている。そのため、入所に至った直接の要因が改善されても、別の課題が明らかになることも多い。
こうしたことを踏まえ、子どもの背景を十分に把握した上で、必要な( B )も含めて養育を行っていくとともに、( C )も丁寧に行う必要がある。
- A:危機管理能力 B:心のケア C:家庭環境の調整
- A:危機管理能力 B:教育的指導 C:里親委託への移行
- A:養育能力の欠如 B:心のケア C:里親委託への移行
- A:養育能力の欠如 B:教育的指導 C:里親委託への移行
- A:養育能力の欠如 B:心のケア C:家庭環境の調整
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この過去問の解説 (2件)
01
「児童養護施設運営指針」からの出題です。
「児童養護施設運営指針」-「4.対象児童」-「(1)子どもの特徴と背景 ①複雑な背景」より
本問は、この指針を読んだことがなくても文脈で判断できる部分が大きいかと思います。
A:「危機管理能力」は、「不測の事態に対し、的確・迅速に対応できる能力」という意味で、人として持ち合わせておくべき能力ですから、文脈上当てはまらないと判断できます。
B:「教育的指導」とは、「誰知識や技能を教えたり、精神的に成長させたりする」という意味ですが、子どもに対して行う場合は、学校教育における生徒指導という意味合いが強いと言えます。ここでは「子どもが児童養護施設に入所するに至った背景を十分に把握することの重要性」について述べているのですから、文脈上当てはまりません。
C:「里親委託への移行」については、確かに国は、施設養護(児童養護施設、乳児院等)から家庭養護(里親、ファミリーホーム)への移行*を推進しています。しかし、ここでは「児童施設へ入所するに至った背景を十分に把握した上で養育を行っていく」という、まだ養育方針が完全には定まっていない言わば手探り状態の段階について述べています。そのような段階で当該児童の里親委託ありきだとするのは不適切です。(里親委託は親権者の同意も必要ですし、段階を踏んで行うものです。)里親への委託を検討する前に、まずは親子関係の調整を含めた「家庭環境の調整」を行うことが必要です。
以上より、正解は「A:養育能力の欠如 B:心のケア C:家庭環境の調整」です。
***********************
*施設養護(児童養護施設、乳児院等)から家庭養護(里親、ファミリーホーム)への移行の推進について
2012(平成24)年から児童養護施設や乳児院には、里親委託の推進および里親支援の充実を図ることを目的とし、「里親支援専門相談員」が配置されています。
2022(令和4)年に成立した改正児童福祉法により、今後さらに里親委託および養子縁組を推進していく方向にあります。
保育士試験では今後も里親制度に関する出題が予想されますので、厚生労働省およびこども家庭庁のホームページなどで最新の情報を確認しておいてください。
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02
「児童養護施設運営指針」(平成24年3月厚生労働省)からの出題です。
設問の部分をピックアップしてみてみましょう。
4.対象児童 (1)子どもの特徴と背景 ①複雑な背景
・また、子どもの入所理由の背景は単純ではなく、複雑・重層化している。ひとつ の虐待の背景をみても、経済的困難、両親の不仲、精神疾患、養育能力の欠如 など多くの要因が絡み合っている。そのため、入所に至った直接の要因が改善 されても、別の課題が明らかになることも多い。
・こうしたことを踏まえ、子どもの背景を十分に把握した上で、必要な心のケアも 含めて養育を行っていくとともに、家庭環境の調整も丁寧に行う必要がある。
よって、正解は「A 養育能力の欠如 B 心のケア C 家庭環境の調整」です。
(用語)
危機管理能力:トラブルが生じた際に被害を最小限に抑えたり回避したりする
能力のことです。
リスク管理能力は、トラブルを予測する能力のことです。
(Bingより)
里親委託:
厚生労働省の里親委託ガイドラインをご覧ください。
3.里親委託する子ども
○里親委託する子どもは、保護者の養育の可能性の有無や、新生児から高年齢児まで子どもの年齢にかかわらず、また、施設入所が長期化している子どもや、短期委託が必 要な子どもなど、すべての子どもが検討の対象とされるべきである。
○障害等や非行の問題など個別的な支援を必要とする子どもも、適切に養育できる専門里親等が確保できる場合には検討する。
○施設での専門的なケアが望ましい場合、保護者や子どもが明確に里親委託を反対している場合、対応の難しい保護者の場合、里親と子どもが不調となり施設ケアが必要な 場合などは、当面は施設措置を検討する。
このケースの場合、まず家庭環境の調整を行うことが適切です。
教育的指導:子どもの入所理由の背景は単純ではなく、複雑・重層化しているので、虐待などの行為の背景は複雑です。教育的指導は保護者や子どもから反感をかったり、追い詰めたりする可能性もあります。保護者や子どもに寄り添って、事情を聞くことによって、原因を探すことから始め、職員全員・専門家の意見も聞きながら、社会的資源利用を含めて適切な対応をすることが優先です。
Aが誤りです。
正解は「A 養育能力の欠如」です。
A、B、Cのすべてが誤りです。
正解は「A 養育能力の欠如 B 心のケア C 家庭環境の調整」です。
Cが誤りです。
正解は「C 家庭環境の調整」です。
B、Cが誤りです。
正解は「B 心のケア C 家庭環境の調整」です。
正解の選択肢です。
「児童養護施設運営指針」(平成24年3月厚生労働省)に目を通し、内容を確認しておきましょう。
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