1級建築施工管理技士 過去問
令和4年(2022年)
問60 (午後 ロ 問60)

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問題

1級 建築施工管理技術検定試験 令和4年(2022年) 問60(午後 ロ 問60) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート造建築物の小口タイル張り外壁面の調査方法と改修工法に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
  • 打診法は、打診用ハンマー等を用いてタイル張り壁面を打撃して、反発音の違いから浮きの有無を調査する方法である。
  • 赤外線装置法は、タイル張り壁面の内部温度を赤外線装置で測定し、浮き部と接着部における熱伝導の違いにより浮きの有無を調査する方法で、天候や時刻の影響を受けない。
  • タイル陶片のひび割れ幅が0.2mm以上であったが、外壁に漏水や浮きが見られなかったため、当該タイルを斫って除去し、外装タイル張り用有機系接着剤によるタイル部分張替え工法で改修した。
  • 外壁に漏水や浮きが見られなかったが、目地部に生じたひび割れ幅が0.2mm以上で一部目地の欠損が見られたため、不良目地部を斫って除去し、既製調合目地材による目地ひび割れ改修工法で改修した。
  • 構造体コンクリートとモルタル間の浮き面積が1箇所当たり0.2m2程度、浮き代が1.0mm未満であったため、アンカーピンニング全面セメントスラリー注入工法で改修した。

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この過去問の解説 (3件)

01

タイル張り外壁面の調査と改修については、公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)を一度参照するとよいでしょう。

選択肢1. 打診法は、打診用ハンマー等を用いてタイル張り壁面を打撃して、反発音の違いから浮きの有無を調査する方法である。

設問の通りです。打診用ハンマーは叩いて使用するのではなく先端の球体を滑らせながら使用します。

選択肢2. 赤外線装置法は、タイル張り壁面の内部温度を赤外線装置で測定し、浮き部と接着部における熱伝導の違いにより浮きの有無を調査する方法で、天候や時刻の影響を受けない。

×(正答肢)

赤外線を使用するので、天候や時刻の影響を受けやすいです。

選択肢3. タイル陶片のひび割れ幅が0.2mm以上であったが、外壁に漏水や浮きが見られなかったため、当該タイルを斫って除去し、外装タイル張り用有機系接着剤によるタイル部分張替え工法で改修した。

設問の通りです。タイル部分張替え工法で改修できます。

公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)4.4.7 タイル部分張替え工法

選択肢4. 外壁に漏水や浮きが見られなかったが、目地部に生じたひび割れ幅が0.2mm以上で一部目地の欠損が見られたため、不良目地部を斫って除去し、既製調合目地材による目地ひび割れ改修工法で改修した。

設問の通りです。目地ひび割れ改修工法で改修できます。

公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)4.4.16 目地改修工法

選択肢5. 構造体コンクリートとモルタル間の浮き面積が1箇所当たり0.2m2程度、浮き代が1.0mm未満であったため、アンカーピンニング全面セメントスラリー注入工法で改修した。

×(正答肢)

アンカーピンニング全面セメントスラリー注入工法は、構造体コンクリートとモルタル間の浮き面積が1箇所当たり0.25m2以上かつ、浮き代が1.0mm以上の場合に適応します。

浮き面積が1箇所当たり0.25m2以上の場合は、全面に行い、0.25m2未満は部分的に行います。セメントスラリー注入工法は、浮き代が1.0mm以上に適応し、1.0mm未満はエポキシ樹脂注入工法を採用します。

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02

鉄筋コンクリート造建築物の小口タイル張り外壁面の調査方法と改修工法に関する記述として、不適当なものを2つ選べ、という問題について解説します。

選択肢1. 打診法は、打診用ハンマー等を用いてタイル張り壁面を打撃して、反発音の違いから浮きの有無を調査する方法である。

打診法は一般的な調査方法であり、正確に浮きの有無を確認することができます。この記述は適当です。

選択肢2. 赤外線装置法は、タイル張り壁面の内部温度を赤外線装置で測定し、浮き部と接着部における熱伝導の違いにより浮きの有無を調査する方法で、天候や時刻の影響を受けない。

赤外線装置法は確かに熱伝導の違いを利用して浮きを調査しますが、天候や時刻の影響を受けやすいです。この記述は不適当です。

選択肢3. タイル陶片のひび割れ幅が0.2mm以上であったが、外壁に漏水や浮きが見られなかったため、当該タイルを斫って除去し、外装タイル張り用有機系接着剤によるタイル部分張替え工法で改修した。

ひび割れが0.2mm以上であれば、漏水や浮きがなくても部分張替え工法が適切です。この記述は適当です。

選択肢4. 外壁に漏水や浮きが見られなかったが、目地部に生じたひび割れ幅が0.2mm以上で一部目地の欠損が見られたため、不良目地部を斫って除去し、既製調合目地材による目地ひび割れ改修工法で改修した。

目地部のひび割れが0.2mm以上であれば、既製調合目地材を用いた改修が適切です。この記述は適当です。

選択肢5. 構造体コンクリートとモルタル間の浮き面積が1箇所当たり0.2m2程度、浮き代が1.0mm未満であったため、アンカーピンニング全面セメントスラリー注入工法で改修した。

浮き代が1.0mm未満である場合、アンカーピンニング全面セメントスラリー注入工法は過剰です。より適切な軽微な補修方法が選ばれるべきです。この記述は不適当です。

まとめ

この問題では、赤外線装置法が天候や時刻の影響を受けないという誤った記述が含まれており、浮き代が1.0mm未満の軽微な浮きに対して過剰な工法を選択しているため不適切です。他の選択肢は適切な調査方法や改修工法を示しています。

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03

タイル張り外壁は、経年劣化によりタイルが剝落し、人がけがをしたり、周囲のものを破損させる危険性があります。このため、タイル張り外壁の改修工事に関することを学ぶことは重要であり、試験でも頻出する分野です。必ず覚えましょう。では、問題を見てみましょう。

選択肢1. 打診法は、打診用ハンマー等を用いてタイル張り壁面を打撃して、反発音の違いから浮きの有無を調査する方法である。

打診用ハンマーを用いた調査方法は、原始的かつ一般的な調査方法となります。タイルを打診用ハンマーで打撃すると、剥落しかかっているタイルに関しては、正常なタイルに比べて、軽く高い音がします。この違いを聞き分けることにより、タイルの浮きの有無を調査することができます。人間が調査をする以上、調査結果に多少のばらつきがあるのが難点です。設問の内容は正しいといえます。

選択肢2. 赤外線装置法は、タイル張り壁面の内部温度を赤外線装置で測定し、浮き部と接着部における熱伝導の違いにより浮きの有無を調査する方法で、天候や時刻の影響を受けない。

赤外線装置法は、壁面の温度を測定する調査方法です。天候が変わると、壁面の温度が変化するため、天候の影響を受けるといえます。また、昼と夜では気温が違うため、時刻の影響を受けるといえます。設問は、全くの誤りです。

 

選択肢3. タイル陶片のひび割れ幅が0.2mm以上であったが、外壁に漏水や浮きが見られなかったため、当該タイルを斫って除去し、外装タイル張り用有機系接着剤によるタイル部分張替え工法で改修した。

タイル部分張替え工法は、読んで字のごとく、既存のタイルを新しいものに張替える工法ですので、ひび割れに対する改修方法としては、最も効果的な工法の一つです。外壁に漏水や浮きが見られないとのことですので、特別な処置なども必要ないでしょう。設問の内容は正しいといえます。

 

選択肢4. 外壁に漏水や浮きが見られなかったが、目地部に生じたひび割れ幅が0.2mm以上で一部目地の欠損が見られたため、不良目地部を斫って除去し、既製調合目地材による目地ひび割れ改修工法で改修した。

「不良目地部を斫って除去し、既製調合目地材による目地ひび割れ改修工法で改修した。」とありますが、簡潔に言えば、「古い目地を新しい目地にした。」といえるでしょう。最も効果的な工法の一つです。設問の内容は正しいといえます。

選択肢5. 構造体コンクリートとモルタル間の浮き面積が1箇所当たり0.2m2程度、浮き代が1.0mm未満であったため、アンカーピンニング全面セメントスラリー注入工法で改修した。

アンカーピンニング全面セメントスラリー注入工法は、浮き代が1.0mm以上の場合に適応される工法です。よって、この設問の内容は誤りといえます。ピンニングには様々な種類があり、状況に応じて、適用されるピンニングの種類も変わってきます。ピンニングの問題を解く際には、外壁の状況をよく確認する必要があります。

まとめ

タイル張り外壁の改修に関しては、外壁の状態によって、対処する内容が異なります。問題を解く際にも、ひび割れの状況や浮きの状況など、外壁がどのような状態なのかをよく確認した上で、解答するようにしましょう。

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